表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/46

特別企画『エイプリルフール』

お久し振りです!!



 俺――鍛埜雄志はウキウキしていた。

 何をそんなに嬉しそうにしているか、って聞かれたならば応えてあげるが俺の慈愛。絶賛自分に酔ってる状態なので、思考内(モノローグ)でも言ってることがかなり凄いのは自覚ある。

 さて、今日が何の日か知ってるかい、諸君(脳内だから俺一人しかいないけど)!?

 今日はなんとエイプリルフールだ。

 嘘をついても許される画期的な日。

 普段から人権ない俺が、唯一人間名乗って良い日でもある!


「お早うさん!」


「おう」


「良き朝であるな」


「やっほー」


 教室へ行けば、中野と斎藤、橋ノ本が繋げた机を囲って座っていた。机の上には、何やら数式を書き綴ったノートと参考書が広がっている…………HAHA!早速のジョークかい?


「今日も皆で学校、当たり前だけど嬉しいぜ!」


「コイツ嘘ついてんぞ」


「てか全国でも四月一日はまだ春休みであるが?」


 中野と橋ノ本から冷めたツッコミが飛ぶ。

 そんな物はお求めじゃない、せっかく君らのジョークにジョークを重ねて面白味(コメディ)トークを加速させてやっていたのに。


「エイプリルフールだから良いんじゃね?まあ、特別な日じゃなくても俺は輝いてるけどな!」


「はい、ダウト」


「これはホント」


 何やら斎藤が主張しているが無視する。勝手にキラキラしててくれ。


「さて、バカ共。今日は何でも嘘をついて良い日なんだぜ」


「それがどうした?」


「ここは一つゲームしよう。嘘か本当か、見分けるゲームだ。一人が三つ話をして、当てたり嘘を信じ込ませたらプラス一ポイント、看破されたり外したらマイナス一ポイント、最終的にポイントの高かったヤツに敗者三人が貢ぐ!」


「それ、まさかエイプリルフール前日に考えて楽しみにしてたんだろ」


「さっき思いついた」


「はい、ダウト」


 中野くん、早速ワンポイントゥッ!!

 道中ウキウキしていたのは、昨夜から考えていたこのゲームを皆でやりたくて高揚(ウキウキ)していたのだ。

 ま、君らが学校にいなくても一人でやってたけどね!…………嘘です、皆がいるの特別企画だから知ってました。はい、俺にもプラス一ポイントッ!!


「じゃあ、順番決めようか。さっき作った、このクジで決めよう」


「ウソつけ、やっぱ昨日考えついたんだろ」


「中野、いつまで過去に縋るつもりだ!今を見ろ、そこにお前は生きてる!」


「たしかに」


 何がたしかに、やねん。

 ともあれ、缶に入る割り箸四本にはそれぞれ一から四の番号を予め書いている。引いた者の番号順に、ゲームを開始していくつもりだ。

 結果。

 俺が一、斎藤が二、中野が三、橋ノ本が四。

 さて、俺か。


「じゃあ、先ずは俺から」


 作り話か。

 実のところ、ゲームの存在やルール、クジも昨日考案・作成した物だが、俺自身は何を話すかなど全く事前準備していない。

 どうしようか、普段から嘘ばっかり付いてるからここぞという時に出てこない。そもそも、俺って真実に生きてきたのか…………あれ、俺ってそもそも人間から生まれたのか………俺自体がエイプリルフールなんじゃね?

 いかん、いかん。

 危うく嘘の坩堝(ループ)に嵌まるところだった。


 しかし、ルールからして嘘をつかなくても良いのだ。要は相手を惑わせる話であれば良い。

 例えば…………。


「俺は昨日、買い物の荷物が重くて困っていたお婆さんの荷物持ちを家まで手伝ってあげた」


「嘘」


「ふっ、見え透いた罠」


「俺の曇りなき眼が嘘だと言っているぅ」


「あれ??」


 三者一様の反応が返ってきた。

 可怪しいぞ、俺って普段そんなに無慈悲なヤツに見られてたかな。まあ、でもこの三人は優しくする価値が無いから別に良いか。


「はい、三人共マイナス一。次の話行くぜ」


 次のカード。

 今度こそ嘘で行きたいな。

 流石に全員マイナス一なのは幸先悪くて可愛そうなので、皆が分かる嘘にしておこう。


「はい。俺、鍛埜雄志は県外で美少女と名高い同年の女子高生のナンパに成功したことがある!」


 さあ、俺の慈悲をありがたく受け取れ。


「ほう、やりやがったな?」


「死刑に処す、処す!」


「俺を差し置いて、いい度胸だぜ鍛埜」


「ふぇッ!!?」


 いつの間にか三人に関節を極められていた。

 あれ??これは嘘が無いはず…………あ、花蓮さんのときの前科(エクスペリエンス)があったか。


「はい、全員マイナス一」


 俺がそう告げると、三人は笑顔で着席した。

 いや、お前らマイナスニポイントなんですよ?少しは悔しがれや。


「それじゃ最後」


 俺はうん、と唸った。

 ここはもう一発嘘でいこう。


「俺、鍛埜雄志は幼馴染と結婚する予定です!!」


「あ、おめでとう」


「まあ、薄々分かってたでござる」


「どうぞ、どうぞ。俺は琴凪派じゃないし」


 んぅあれぇええええ?

 何故だ、なぜ俺の嘘は通じない?

 混乱していると、後ろの方で何やらカバンの落ちる音がした。三人でそちらに振り返ると――顔を赤くした春が口を手で覆って固まっている。隣では花蓮が青ざめた顔をしていた。

 何そのカワイイ反応、何か見ちゃいけない物でも見せちゃった?…………チャックは開いてない、なら大丈夫!


「おはよう、春」


「ユウくん、あと一年待とう」


「へ?」


「十八になれば、ね?」


 春にも通じてなかった。


「雄志、くん?」


「はい?」


「私、頑張るからね?」


「え、ええ?」


 花蓮さんはよく分からない。何を頑張るの?

 ともあれ、現状では俺以外がマイナス三ポイントだ。君らポンコツ過ぎん?



 …………To be continue.




アクセスして頂き、誠に有り難うございます。


次の企画も更新予定っス!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ