幕間:ある幽霊さんの気迫
私を置いて外出した事が許せない。
私に何も言わず外出したのを許さない。
そして――私の知らぬ内に、叶桐夏蓮と遊んでいた事を断じて許さない。
創立記念日という休暇に彼が外出する用事は無かった筈だ。
折角、一日の独占を許されたかと思って油断した矢先、この失態である。
あまりの仕打ちに立腹し、脅迫メールを送るも飄々と躱された。
別に良いよ、ユウくん……帰ったらお仕置きだから。
彼が帰宅した時に備えて、ご飯を作らねばならない。友達の連絡網を用いて要因を探ると、体育祭実行委員会に抜擢されたのだという。
今日は予定として、たしか器宮の方で会議があるとか。広瀬翔、あの男に唆されて仕事に出掛けてしまうとは。
ユウくんの性格からして、メール内容から十全に私を回避すべく夕方の帰宅となるだろう。鍛埜雄志の生態を把握している私だからこそなせる予測である。
体育祭という行事は、親睦を深めるのに最適な場所。
私としては、何気なく長年の空白を埋める為の機会ではあるが、逆に夏蓮にも挑戦権を与えてしまう。
何としても、ユウくんを死守しなくてはならない。
特に、彼の人柄に吸い寄せられて器宮東高校の連中も着いて来ないように。
取り敢えず、帰って来たら、沢山甘やかしてあげるからね、ユウくん……?
アクセスして頂き、誠に有り難うございます。
春ちゃんの回も増やしていきます。次回は久方ぶりにおバカ四人と新しい女の子の登場となります。
次回も宜しくお願い致します。
 




