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旧、明日の天気は。  作者: 揺り桜
舞台裏、巡る季節数え
9/68

雫に反射し葉がきらめく

ふわっと広がるドレス。

青空の色をしたスカート部分には繊細な蝶の刺繍とひらひらとしたレース。

白いタキシードにも、小さく蝶の刺繍がされている。

どちらも着ている人物によく似合っていた。


「まほくんまほくん、わたし、だいじょうぶかなぁ?」

「だいじょうぶだよ、まな。とってもきれいだよ」

「わぁ、よかった!まほくんもとってもにあってるわ」


あぁ、ほのぼのする。ここがパーティの会場じゃなければよかったのに。くるり、と振り返った双子様が言う。


「「あやめもよくにあってるよ!」」

「ありがとうございます、おにいさま、おねえさま」


息ぴったりですね、真秀様、真菜様。

ところで、私、もうこの場から離れてもいいですか?

奥様、旦那様とだけは会話したくないので。


「あ、まほ!」

「まなちゃん!」

「りい」

「めいさん」


後ろから声がして、振り返ってみると真秀様、真菜様のご友人、宇月原家の双子様。梨衣様と芽依様がいた。

真菜様と芽依様は手と手を取り合ってジャンプしている。うん、嬉しいのはよくわかるのですが、落ち着いてくださいな。



「そうだわ!あやめ、こっちにおいで」

「ん、どうしたの、ですか?」

「めいさん、わたしのいもうとの、あやめですの」


つまり、真菜様のお友達に私を紹介してくださっている、ということ、ですね。私の方はお庭から姿を拝見していたから知っていたけど、芽依様達はそんなこと知らないだろうし。

妹、と言われたことに、すこしだけ驚いたけれど、表情にだしてはいけない。


「ぁ、ゆいぞのあやめ、です。よろしくおねがい、いたします」

「あ、まなちゃんのおともだちの、うつきはらめいなのです!よろしくなの!」


「ん、こっちはぼくのゆうじんの、りいだよ」

「りいです。めいのふたごのおとうと、だよ。よろしく」

「ぇと、よろしくおねがいいたします」


まな、さっきのしょうかいのしかたは、ちょっとちがうよ、と真秀様が言う。

あ、妹じゃないってことですか。


「まちがいなんてないわ!」

「ぼくのいもうとでもある、から」


すこし離れたところで真菜様と真秀様が話している。

内容は、聴こえなかった。え、や、どこが違ったんですか?やっぱり妹の部分でしょうか?


「あやめ、あやちゃん、あーちゃん、あめちゃん、ね、なにがいい?」

「ふぇ?ぇと、なにが、ですか?」

「んー?よびかたなの!」


なるほど、呼び方。え、呼び方?


「ぁ、おすきに、よんでください、です」

「あーもー、あやめさんがこまってるよ、めい」

「むー、りい、うるさい、じゃあ、あやちゃん、ってよぶの!」


そんなふうに呼ばれるのは初めてで、どんな反応をしたらいいのかわからなかった。

こちらでは由井園様、お嬢様、だったし、前と変わっていないのは幼馴染様のあやめちゃん、という呼び方だけだろう。

あ、でも、真菜様と真秀様は違うんだよなぁ。


「はい、うれしいです、めいさま」

「あれ、わたしたちがいないあいだになにおはなししてたの?」

「ぼくたちがいないあいだに、なにをしてたのかな?」


にっこり、とひまわりのような笑顔の真菜様と天使のように微笑む真秀様。


「うーん、まほくんにはヒミツなの!」

「ねぇ、りい、なんのはなし?」

「あやめさんをなんてよぶかのはなしだよ」

「もー、なんでいっちゃうの!」


ぽかぽかと芽依様が梨衣様を叩く。

と、そこで声がかかった。


「芽依、梨衣、そろそろご挨拶に…」


どうやら芽依様と梨衣様のご両親みたいだ。



「めい、まなちゃんたちとおはなししてるの、おとうさま、おかあさま」

「りいも。まほとはなしてるね」


双子様がご両親に言う。

双子様のご両親は奥様と旦那様にご挨拶をしてから、双子様をお願いしてもいいかと聞いていた。



双子様のお母様は奥様とこの場に残ることになったようで、楽しそうにお話をしている。


と、そこで、嫌な予感がしたので、そっと、真菜様達から離れて壁の方へ移動する。


「あやめちゃん!」


そう、私に声をかけてきたのは幼馴染様だ。

そして、幼馴染様の隣にいる人物がおそらく、響野浬(ひびのかいり)様、だろう。




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