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この転生者、俺TUEEEしすぎて自重する気ないんですが!? だから目立たないでって言ってるでしょっ! 作者:時の勇者
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第十話 シラベの村で歓待を受けよう!

 この村はシラベの村という名前の漁村だった。
 多くの海の幸が並ぶ料理は、この寂れた漁村には似つかわしくないくらい豪勢なもので、無理をしているのは明らかだった。
 まぁ、遠慮なく食べるけど。うわ、この世界でも生魚って食べられるんだな。刺身というよりはカルパッチョに近い料理で、とても美味しい。
「ハジメよ。魚を生で食べるのか? 寄生虫等の心配はないのか?」
「まぁ、俺なら毒とか効かないから、平気だけど。不安なら軽く炙ってやろうか?」
「それなら自分でできる」
 キアラはそう言うと、バーナーくらいの火の魔法を生み出して魚を軽く炙った。
 すると、
『おぉぉぉぉぉっ!」
 村人たちから歓声が沸いた。
 どうしたんだ?
「さすがは勇者様のお仲間。まさか火の魔法を無詠唱で使うとは――」
 あぁ、そういうことか。
 無詠唱魔法っていうのは珍しいそうだからな。
 でも、旅人で自称最強を名乗っただけでここまで歓待してくれて勇者扱いとは。
 まぁ、勇者召喚されたから勇者であるのは間違いないんだけどな。
 じゃあ、俺もちょっと――
「《ライトボール》」
 巨大な光の球を天へと放ち、
「《アイスアロー》」
 続いて氷の矢を放った。矢といっても、バリスタによって放たれた矢のような巨大な物だ。
 天に放たれた矢が光の球を射抜く。と同時に氷の矢も弾けさせた。
 すると、粉々になった氷と弾けた砕けた光の球が乱反射を起こし、空にとても幻想的な光景を生み出す。
 夜なら花火にしてもよかったのだけど、昼間だからこの魔法にした。
 ……ってあれ?
 妙に静かだな。
 てっきり、さっき以上の歓声が沸き起こると思ったのに。
 全員、開いた口が塞がらない様子で空を見上げている。
「ハジメ……貴様、今同時にふたつの魔法を使わなかったか?」
「ん? いや、同時じゃないだろ。時間差少しあったし」
「バカを言え。詠唱省略をしても時間を省略できるわけではない。あんなほぼノータイムで使えるものではないのだぞ」
「え? そうなのか?」
 もしかしたら、キアラの詠唱省略や無詠唱と、目標ノートで貰った無詠唱とでは違うのかもしれない。
「じゃあ、村の人たちが驚いているのもそれが理由?」
「否。貴様の魔力が強すぎるのだ。まったく、いまの《アイスアロー》も本来ならばドラゴンを退治できる威力の魔法だぞ。下手すれば勇者扱いから化け物扱いされ――」
『うぉぉぉぉぉっ! 本当だぁぁぁ、勇者様だぁぁぁぁっ!』
「ないようだな。この村の人間は全員人が好いのか、それともただのバカなのか」
「えっと、なんとなくわかってたんだけど。村長さん。俺たちに願いがあるのかな。近くの魔物退治とか」
 俺が尋ねると、最初に出会った老人(この漁村の村長らしい)は大仰に驚き俺を見た。
「さすがは勇者様。ワシたちの考えなどお見通しというわけですか」
「……いやいや、わかるって。で、その魔物ってのはどこにいるんだ?」
「この近くのイグニス火山という山です」
「イグニス火山!?」
 目標ノートに書いてあった山じゃないか。
「そこにどんな魔物が――」
「ファイヤドラゴンというドラゴンです。住みついたというわけではなく、(いにしえ)より山の守り神として敬われていたのですが、最近になり急に村を襲うようになりました。冒険者ギルドに救助依頼を出したのですが、先週ランク40の名うての冒険者一行が全滅しまして。幸い死者は出なかったのですが――」
 ん? どこかで聞いたような。
 当然だが、つい最近のことだ。
 そうだ、思い出した。
 冒険者ギルドでシェスカが話していたんだ。
 ドラゴン退治の依頼って、このイグニス火山のドラゴン退治だったのか。
「そのパーティが全滅してから、冒険者ギルドは他の冒険者を派遣しなくなり、国の騎士団も動いてくれず――我々はいつドラゴンに襲われるかと思って枕を高くして眠ることもできません。どうか、勇者様――」
「いいよ。ドラゴン退治引き受けた」
「ドラゴン退治を――え? よろしいのですか? ですが、実は村はこのありさまで、報酬のほうが――」
「あぁ、わかった。報酬は、船を一艘貸してくれたらそれでいいや」
「え?」
 予想外だったのか、村長は尋ね返した。
 恐らく、それなりの報酬を用意していたんだろうが。
「ドラゴンを退治して手に入る素材があれば十分だから。あれって結構高く売れるんだろ?」
「ああ。ファイヤドラゴンの素材はとても高い。一頭丸々となると大きさにもよるが五千万ダラズは下らん」
「よし来たっ! それで十分っ! じゃあ早速――」
「待て、ハジメ。さすがに夜の山道は危険だ。今晩は泊めてもらおう」
「そうか……そうだな」
 もう太陽も傾きかけている。
 確かに、女の子に夜の山道を歩かせるのは危険か。
「それでは、勇者様方はどうぞワシの家にお泊り下さい。自慢の風呂がございますので、今すぐ準備を致します」
 村長がそう言って、俺たちを村の中の一番大きな家へと案内した。
 そうか、風呂があるのか。それは助かるな。

 俺たちは村長の家に案内された。
「それでは、勇者様――風呂をどうぞ」
「キサラが先に入っていいぞ」
「否。私は後から入ろう」
 このまま譲り合っていても埒が明かないから、俺は言葉に甘えて先に風呂に入らせてもらう事にした。
 脱衣場は狭くてあまり期待していなかったのだが――
「おぉ、檜風呂かよっ!」
 三人くらい入れる大きな檜風呂があった。
 洗い場もそこそこ広いし、お湯も綺麗だ。
 これは思わぬ幸運だな。
 明日、ファイヤドラゴン退治が終わってから、そして明後日バールを倒してからも風呂を利用させてもらいたいものだ。
 お湯の温度も丁度いい。
 俺は掛け湯をして風呂に入った。
「ハジメ、湯加減はどうだ?」
「いい気持ちだぞ、キアラ」
「そうか。では次に私も入らせてもらうとするか」
 そう言うと、キアラはそのまま浴室の扉を開け、一糸纏わぬ姿で中に入ってきたのだった。
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