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この転生者、俺TUEEEしすぎて自重する気ないんですが!? だから目立たないでって言ってるでしょっ! 作者:時の勇者
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第一話 女神様と会いました

「あなたは死にました……あの、どうして目を輝かせて私を見ているのですか?」
 目の前にいる美しさをそのまま具現化したかのような白い服を着て白く長い髪の女性は、黙って正座をする紺ジャージ姿の俺に対しそんな疑問を投げかけた。
「騒いだほうがいいのでしたら、騒ぎますが、女神様!」
「あ、あの、女神ってまだ名乗っていないのですが」
「女神様じゃないんですかっ!?」
「い、いえ、女神です」
「なら問題ありません」
「はい、そうです……よね?」
 なぜか自信がない女神様は俺にそう言って同意を求めてきたので、俺は大きく頷いた。
 そう、目の前の女性は女神様だ。そうに違いない。
「えっと、あなたは死にました」
「はい、死にました」
「なんでそう平然としているのですかっ!?」
 怯えながら騒ぐ女神様。
 だが、過去の記憶がはっきりしている以上、騒ぐ必要がないのは明白だ。
 何故なら、俺は自分が死んだことをはっきりと覚えている。
 何しろ、高校のグラウンドに乱入してきた不審者がナイフを持って暴れていて、女の子を刺し殺そうとして庇ったところどころか、その後、救急車に搬送されるところまではっきりと覚えているのだから。
「死を受け入れるって大事だと思います」
「なんで、そんなに嬉しそうなのですかっ!?」
「いいから、話を続けてください」
「わ、わかりました。ええとですね、あなたが命をかけて助けた女の子は、実は私の先輩女神の生まれ変わりなんです。女神としての記憶は残っていますが、力も何もない普通の人間なのです。その先輩女神があなたに命を救われたことにとても感謝し、後輩である私に、あなたの転生に対して便宜を図るように頼んできまして。こうしてあなたの魂をお呼びしたわけです」
「そうですか。鈴木ちゃんは女神様の生まれ変わりだったんですか」
「なんで驚かないんですかっ!?」
「いいから話を続けて続けて」
「そ、そこでですね。あなたには私が管理する世界に生まれ変わってもらって、生きやすいように特別な力を――」
「特別な力、キタコレっ!!」
「ひっ」
 女神様が俺の悲鳴に思わず後ろに下がってしまうが、
「えっと、特別な力ってなんですか? もしかして、成長率400倍ですか? それともアイテムを自由に精製する力!? それとも――」
「落ち着いてください。どうしたんですか、一体」
 どうしたもこうしたもない。
 俺――遠野一とおのはじめは小学校の頃から異世界小説を愛読し、異世界転生に憧れていた。異世界に行って、悪い魔王を倒してお姫様を救ったり、悪い竜を一撃で倒したり、地形を変えるような魔法をぶっ放して俺TUEEEしたいと思っていた。いまにして思えば、刺されそうになった女の子を身を挺して庇ったのも、そういう異世界願望があったからかもしれない。
 そして、女神様を見て俺は瞬時に確信した。
 あ、これは異世界に行けるのだと。
「あの、特別な力について詳しく教えてください」
 俺は前のめりになり、女神様に詰め寄る。
 もう女神様はいまにも泣き出しそうだが、構っている暇はない。
「……どのような力が欲しいですか?」
「え? 選べるんですか?」
「はい。ある程度の融通は利きますが……」
「力はひとつですか?」
「いくつでも……あの、でも世界を滅ぼすとか、そういう力を選ばれると」
「大丈夫です、選ぶのは普通の力ですから。まずは異世界の文字の読み書きと会話はできるように」
「あ、本当に普通ですね。はい、大丈夫ですよ」
「あと、未知のウイルスの抗体がないので、病気にならない健康で丈夫な体」
「それも普通ですね。健康大事ですものね。ハジメ様は死んでいますけど」
「あと、ドラゴンをワンパンで殺せる力」
「全然普通じゃありませんっ! ドラゴンがいることが前提なんですかっ!? いえ、確かに転生先の世界にはドラゴンはいますけど」
「魔法は全属性使えるようにしてください」
「これも普通じゃありませんっ! 魔法が使えることが前提なんですかっ!? いえ、確かに転生先の世界には魔法はありますけど」
「あと、転移方法は、勇者召喚に巻き込まれて転移なんてのがいいです」
「全然普通じゃありませんっ! 勇者召喚があることが前提なんですかっ!? いえ、確かに転生先の世界に勇者召喚はありますけど……ってなんで知ってるんですかっ!?」
 さらに、異世界での目標ノートというものを作ってもらった。最終目的は魔王とか邪神とか、きっとそういう存在を撃破したりハーレムを作ったりすることになるのだろうが、細かい目標があったほうが異世界の生活にメリハリが出る。目標を一つ達成するごとにスキルか魔法がひとつ手に入るようになっている。
 あと、当然ながら膨大な力を持っているので、それを抑制するための力も授かった。ドラゴンをワンパンチで倒してしまうような力で日常生活を送ったら、それこそスライムを倒すたびに地形が変わってしまう。手加減も面倒だし、寝返りを打って宿屋大破っ! とかあったら非常に迷惑だ。
 さらに、その力を抑制する力の中に、周囲への影響を減らす力も追加してもらった。例えばマッハを超える速度で走った場合、地面は抉れるし周囲の木々はなぎ倒される。怪我人を負ぶって移動したら背負われた人間はその衝撃で怪我人から死人にクラスチェンジしてしまう。
 そうなることを危惧しての能力だ。
「ハジメ様……なんでそこまでスラスラと自分の要望が出てくるのですか?」
「そりゃ、日頃の鍛練(妄想)のたまものです」
「他に希望はありませんか?」
「そうですね、お金とかは現地調達しますので――あっ! 向こうってエルフとか獣人って――あぁ、待ってください。やっぱり言わなくていいです。自分の目で確かめますから。あ、でも確認だけ。向こうの世界の人間って見た目は地球の人間と変わりませんよね?」
「え……ええ。見た目はそれほどの差異はないはずです」
「そうですかっ! 安心しました、それじゃあいつでも送ってくださいっ! あ、最後に女神様の名前を教えていただいてもよろしいですか?」
「あぁ、そういえばまだ言っていませんでしたね。私の名前はセフィーリア。あなたが助けた人間の前世である先輩の女神――シルフィアの妹です」
「そうだったんですか。セフィーリア様のお姉さまだったのですね。もし可能だったら桜ちゃん――あぁ、シルフィア様に宜しくお伝えください。俺は満足ですっ!」
 俺はそう言って親指を立てた。
「そう言ってもらえると助かります。えっと、あまり世界を引っ掻き回さないようにしてくださいね。あなたの存在は恐らく転生先の世界ではイレギュラー中のイレギュラーとして扱われるでしょうから」
「わかりましたっ! 前向きに善処します!」
「絶対ですよっ! それでは――」
 セフィーリア様がそう念押しをしたところで、俺の意識は混濁していった。

 そして、気が付けば――
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