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差
町中を走り回って辿り着いた田んぼのあぜ道で、振り返りながら言う。秋の田んぼに来る人はいないし、ここなら誰も巻き込む心配がない。
もうバケモノのいくつかは、おれに取り憑いていた。止まった事で更に纏わりつく。
常人からはおれは普通に見えるだろうが、ホッケからすれば、おれの全身に絡みつく色々なバケモノが見えているだろう。もちろん気分は最悪だ。
「肉袋が……浅はかな認識でオレを量るな……ナメた代償を知るがいい!」
ホッケが叫び、飛びかかってきた。
結果として、ヤツの言う通りだった。おれはナメていた。
ホッケの大口の前では、海のものとも山のものとも知れない魑魅魍魎程度、すぐに食い破られてしまう。あの無足ですら、あっという間に食いちぎられた。
これでは全く防御にならない。はっさくの皮を剥くように、バケモノたちが食われて行く。
三分ともたず、おれにまとわりついていた者たちは食いつくされてしまった。
「それなりに驚きはしたが……いやしくも世界を食らうフェンリル狼を祖に持つこのオレだ。バケモノなんぞとは格が違うのだよ格が」
いくらなんでも……ここまで簡単に全滅するだなんて考えてなかった。
「で?」
ホッケは言う。あざけると言うよりは、憐れむように。
「もうネタ切れか? では死ね」




