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死
「去勢しろと言っている。お前に生殖能力が無くなれば敵対する理由にはならん」
ふざけるな! そう叫びたかった。
だけど、有無を言わせない鋭い瞳を前に、口をぱくぱくとさせるしかない。
「それとも死にたいか?」
どちらも嫌に決まっている。おれは、正直そんなにイケてる方じゃない。コミュ力もあるほうでもない。今後の人生で嫁さんが出来るか、正直怪しいと思う。
それでも。それでも可能性は消したくない。死でも去勢でも同じことだ。
許せない。我慢できない。ふざけるな。
なのに――なのに動けない。
「どうやら、死にたいらしいな。では、まぁ死ね」
男が腕を振り上げる。その手には人間には似つかわしくない鋭い爪が並んでいた。そばのブロック塀を火花を上げてかすめ、その凶器めいた爪が襲い掛かる。
死を覚悟した瞬間、飛び込んでくる影を見た。
「自分のつがいに触るな。殺すぞ」
跳ね上げられる男の腕。真横からロボの蹴りが男の肘を捉えていた。
「ロボ!」




