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死球
仮にこれ以上何か出てきたとして、自分の直感が裏付けられるだけだ。
「そうか。話が早くて助かる、かな」
「何の用だ」
食べるつもりか――とはやはり聞く勇気が無かった。
もしその言葉が出てきたりでもしたら、どうしていいか――
「交尾しよう」
飛び出したのは、とんでもない変化球でデッドボールだった。
ちょっと何を言ってるかわからない。
「ん? 聞こえなかった、かな? 交尾しよう。子作りだ」
……。
思考に強制的なブランクが叩き込まれる。
「と、突然何を……」
うろたえるおれを見て、心底怪訝そうに見つめてくるロボとやら。
「言葉通りの意味だ。それが全て、かな?」
「よ、余計わからん。人狼だとか、交尾だとか……何言ってんだよ」
「理解してるじゃないか。人狼が交尾をしたいだけ、かな。なにぶん、発情期なので」
にぱっ、と音がしそうなほど、微笑む。その口元にはくだんの鋭い犬歯が見えた。




