20話
いよいよ明日は卒業式。
私にとっては、月ノ宮 雫として過ごす最後の日。
まぁ、運命の日と言ってもいいほど大事な日だ。
だから今日は、早く帰って家族達と過ごしたいのだ。
氷母達や姉家族が帰って来てるからね。
けど、友達の一宮さんに呼び出されてしまった。
行かない、という選択肢など始めから全くないのだ。
「遅かったわね。」
「…まだ、ツンデレ続けるつもりなの?」
呆れてしまった私。
「な!?…なんの事かしら?それより、いい加減下の名前で呼んでくれない?」
惚けるつもりらしいので、もう深くは聞かない。
「白亜さん…これでいい?」
「…えぇ、ありがとう雫さん。」
それ以上何も言わず、お互い帰った。
ただ…、何かを吹っ切れたような顔をしていた気がする。
全く、どうやら最後まで素直になる気はないらしい。
流石は、演劇部のエースさんだよね。
女優になる前から、既に女優さんだよ。
友達になって、一週間立つまでは私すら騙せていたのだから…。
本当にいい女優になるよ。
「まさか、ツンデレかと思ってたら、ただの女優志望の人見知りだったとはね…。」
勝手に調べてごめんね?一宮 白亜さん。
小・中・高と同じ学校で、同じクラスだった白亜さん。
始め気が付かなくて本当にごめんね。
高校から、ツンデレ女王様になってたから気が付かなかった。
ずっと、私と友達になりたくて自分を変えたのだそうだ。
「ちょっと、罪悪感があるけど…女優の夢が叶うみたいだし別にいいよね?」
私は、白亜さんの夢を応援しているからね!
…心の中でだけどね。