17/28
閑話<4>
ボクには、会った事はないけど最愛の女性が居る。
父によってグリラーナ王国が滅ぼされるまで、毎年婚約者の写真が送られて来ていた。
母上と婚約者のファル王女の母同士は、仲が良かった。
だから、ファル王女には内緒で写真だけ送られていた。
母達の思惑通り、ボクはファル王女にいつの間にか恋をしていた。
だから、顔合わせをする予定の10才の誕生日の日を心待ちにしていた。
だというのに、父がボクらに気付かれない内にグリラーナ王国を滅ぼしたのだ。
気付いた時には、全て終わった後だった。
ファル王女は、ジルーラ王国でグリラーナ王国再建に向けて動いている。
死んではいないけど、きっと心は…。
ボクはファル王女に、一生を掛けてでも償い続ける。
ファル王女が好きなボクに出来る償いを…。




