とある病み人の行動
とある病み人の行動
彼の者はとうとう行動を起こす。
遂に探し求めていた元の庇護者を見つけたのだ。
彼の者は問う。
「何故」
と。
元の庇護者は応える。
「ただ、“主”をよくしたかった」
元の庇護者は彼の者をただただ躾たかった。
しかし、彼の者にはそれはただの暴力に過ぎなかった。
互いに言葉が無かったが故に、互いを憎む事になったのだ。
わかり合うには、時遅く。
彼の者と元の庇護者には深い溝が出来てしまった。
そう。
元の庇護者が消えねば収まらぬほどに。
「分かっていたことだ。何であろうと“私”は貴方を殺す」
「無論。“我”とて同じよ」
彼の者は己の獲物を構え、言った。
「さらば、“父上”」
「さらば、“我が娘”よ」
元の庇護者の心臓に刺さる鋼。
その瞬間。
「幸せにな」
そう呟いて元の庇護者は息絶えた。
後に残るは鋼を携えた彼の者のみ。
「逝った先でどうか安らかに」
そして、言う。
「終わった・・・。長い時をかけた復讐が・・・」
「分かっていたことだ。終わった後は空虚になると」
少し空虚になりつつも晴れた心で言う。
「“父上”、もう思い出すことは無いでしょう。さらば」
こうして、とある病み人の行動は終わりを告げたのだった。
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