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奴隷になって異世界統一  作者: ヤガミ 光
6/9

05 呼び覚ます記憶

「ここがニーニャの部屋……?」


 部屋一面は全てクローゼットに囲まれ、可愛らしいピンク色のベッドと化粧台がおかれている。


 室内はアロマを焚いているのか、心がすーっと落ち着く香りがする。良い匂いだ。


「ごめんね、ベッドは一つしかないんだ~……一緒に寝るしかないね~」


 ニーニャはいつの間にかネグリジェに着替えていた。


 マジでいつ着替えたんだお前。まあいいか。それよりも。


「いや、むしろ好都合だ! 一緒に寝たい!」


 拳を握りしめて叫ぶ。


「うわぁ~、下心丸出しになっちゃってるよ? ハイルくんだから許しちゃうけどっ♪」


 ニーニャがベッドに乗りあがる。


「よっ、っと♪ ほらほら、ハイルくんおいで~一緒に寝よぉ~」


 俺を誘うようにベッドをぽんぽんと叩いている。


「し、失礼します!」


 ニーニャに密着する。


「じゃあ、寝ちゃおっか! あったかいね~気持ちいい~」


 廊下を歩いてきた時と同様、ニーニャは俺に腕を絡め、ベッドの上に横になる。


 腕を引っ張られている俺も横になった。


「お、俺、初めてだから優しくお願いします。こういうの慣れてなくて、ハハ、男として情けない……って寝てんじゃん! 早い!」


「すぅー、すぅー……」


 純真無垢な表情で、寝息を立てるニーニャに見惚れた。


 可愛いなあ、間近に見ると余計に可愛い。


 桜色の唇に触れてみると、ぷにぷにと柔らかい感触が伝わってくる。


 早く、キスイベントが訪れますように。


 アロマのおかげで、落ち着きを保つ精神。


 まどろむ意識。


 俺は眠りについた。


 …………。

 ………………。

 ……………………。


 まだ幼い頃の俺は、公園に来ていた。


 友達は誰もいない。幼馴染とかそういうのもいなかった。


 ましてや、俺の父親は兄弟と仲が悪く、母は一人っ子だったため、従兄弟なんかとの付き合いは皆無。


 そんな俺が公園に来た理由は一つ。


 探検ごっこをしに来たのだ。


 目的は公園ではなく、公園の裏山だった。


「よぉ~し、秘密基地を作ってやるぞ!」


 ああ、子供の頃は秘密基地とかそういうものに憧れを抱いていた。


「っひ……うぐっ……ううっ……」


 一人の少女が泣いていた。


 年齢は俺と同じくらいか、ちょっと年下くらいに見える。


「君大丈夫? どうしたの?」


 少女はこちらに振り向く。


 気弱そうな雰囲気。助けなきゃって思った。


「もう大丈夫だよ。俺が助けてあげるよ」


「ほ、ほんと?」


「うん!」


 俺が手を差し出すと、少女もそれに答えた。


「俺の名前は瑞木 入。よろしく!」


「みずき……はいる……? ちょっと呼びにくいかも」


「あー、じゃあ、適当にアダ名とかつけちゃっていいよ」


「じゃあ、はっくん! はっくんって呼ぶ! よろしくね、はっくん!」


 少女の見せる純粋な笑顔に心奪われた。


「とりあえず、山にいるのは危険だから公園に戻るか……」


 テレビで見たことのある登山家が、天候が悪化した時のセリフを思い出した俺は、それっぽいことを言ってみた。もちろん、本気で危険だとは思っていないし、その頃はそんな判断力もなかったと思う。


 少女の手を引いて、山を降りる。


 どうしたのかと少女に話を聞くと、

「兄さん達がね、私をいじめるの。お父さんは家にずっと帰って来ないし……それで逃げて来ちゃった」


 よくありがちな話だった。


 俺は一人っ子だからよくわからないけど、テレビでそんな話を見たことがある。


 友達のいない俺は生粋のテレビっ子だったのだ。


 公園に着き、ベンチに座る。


「私、はっくんに会えて嬉しかったよ! 一人で不安だったの」


「一人で山に入ったらダメだよ~? 特に素人が一人で登山とか、死にたいのかねホント」


 これもテレビで観た登山家が言っていた。


「っふ、ふふ……はっくんって面白いね!」


「そ、そう? 嬉しいなあ」


 少女は俺の手をぎゅっと握りしめてきた。


 ちょっとだけ恥ずかしかった覚えがある。


「あ、ああ、そうだ。これ、あげるよ!」


 ポケットから指輪と取り出した。


 もちろん、本物ではない。さっき食べていたお菓子についてきたおまけだ。


 俺は別に指輪のおもちゃを持っていても仕方がないし、少女にあげることにしたのだ。


「これ、なに? 指輪?」


「うん。知ってる? これ、結婚する時にあげるやつなんだよ。僕と結婚してください!」


「わあ、そうなんだ! すごく嬉しい! いいよ、私もはっくんと結婚したい! よろしくお願いしますっ!」


 少女は指輪を受け取ってくれた。


「へへへ、照れるなあ! 早く結婚式を挙げたいなあ、ははは!」


 幼いながらにした、初めてのプロポーズ。


 しかし、俺は次にムードを壊すセリフを言う。


「ああ、でも結婚相手は慎重に見つけたいんだよね。お友達から始めない?」


 これもテレビで言っていた。影響受けすぎだろ、俺。


 俺がKYな発言をしたのにも関わらず、少女は眩しいほどの笑顔で喜んでいた。


「ほんと? 初めての友達ができちゃった! 今日は幸せな一日だなぁ!」


 ああ、そうだ。そういえばそうだった。


 こんな俺にもたった一人だけ友達がいた。今思い出した。


「私、はっくん大好きだよ! 一番大好き!」


「俺も君が一番大好きだよ!」


 子供という生き物は簡単に相手を好きになってしまうものだが、この子のことは本当の意味で好きになってた気がする。


「はっくん、ありがとね! 私、そろそろ帰るよ! また会おうね!」


「うん! もちろん! またね!」


「……あっ!」


 少女は何かを思い出し、俺に近づいてきた。


「ちょっと服脱がすね!」


「は~い」


 今の俺にそれをしたら鼻血ものだ。


 シャツを捲り、俺の腹部にキスをする少女。


 ある意味でのファーストキスはそれだった。


「印、つけておくね!」


「うん! ありがとう!」


 何がありがとうだ。それキスマークだぞ。今の俺がそれをされたらオカズものだぞ。


「愛してるよ! はっくん!」


 駆け足で森へと戻る少女を見て、ちょっと心配な気持ちになった。


 また森の中で迷子にならないかな、大丈夫かな~?


 だが、幼かった俺は、恋人ができた幸福感に再び導かれた。


「ああ~俺も今日は最高に幸せな気持ちになったよ~。あ、あの子の名前聞いておけば良かったなあ」


 頭をコツン、と誰かに叩かれる。


 振り向くと、父親がいた。


「おいおい、誰だあの子は。ガールフレンドかぁ~?」


「へ、へへへ、まあ、そんな感じ?」


「まったく。この幸せものめ! 母さんがご飯を作って待ってるから、そろそろ帰るぞ?」


「うん!」


 父親に抱きかかえられる。


「あの子、どこの国の子なんだ? よく意思疎通……話ができたなあ」


 意思疎通という言葉は幼い頃の俺にはわからないため、言い直す父。


「気持ちが通じ合ったんだよ!」


 テレビで聞いたことのあるフレーズを言う俺。


 そういえば、なんで父は外人だと思ったのだろう?


 そこはよく考えると不思議で仕方ないが。


 それから、一度もその少女と会うことはなかった。今も元気にしてるかい? 俺の唯一の友達兼婚約者ちゃん。今頃めちゃくちゃ可愛くなってるに違いない。ああ、彼氏とかいたら辛いなあ。


 良い思い出を振り返ったものだ。少しだけ、自分に自信がついた。

 

 幸せな、幸せだった夢ではあるものの、少女の姿が鮮明に映し出されることはなかった。


 ………………。

 …………。

 ……。


 目を覚ました。


 清々しい気持ち。


 だが、何か重量を感じた。


「やっと起きた! おはよう、ハイルくん!」


 俺の腰の上で馬乗りになっている少女が話しかけてきた。


 イタズラな表情で俺に顔を近づける。


 お互いの生々しい息が吹きかかる距離。


「お、おはようニーニャ。ちょっと顔が近くない?」


「おはようのキスはいかがっ?」


「え、えーと、じゃあ、お願いします」


 ニーニャは躊躇いなく唇を重ね合わせる。


 彼女が口づけを交わす寸前に吹きかけた吐息は、綿菓子のような甘い香りがした。


 その吐息の生暖かさが、俺の脳を余計に痺れさせた。


 お、おおおおお、キスすげえ! ほんのりと暖かい感触がする!


 心臓が強く何度も脈打つ。


 唇を離し、ベッドを降りて立ち上がるニーニャの顔は赤面していた。


「ちょっと、大胆だったかなぁ……ヘル様には内緒、だからね?」


「は、はい。これから毎朝お願いします」


「もぅ、ハイルくんちゃんと話聞いてないじゃん……これから、朝食を作るからハイルくんも手伝ってよ~」


 ネグリジェを脱ぎ落し、下着姿を露わにするニーニャ。


 咄嗟に目を逸らす俺対し、

「ごめんね~、実はわざとやってるっ♪」


 襲うぞコラ。


 一つ残念なのは胸が平なことだ。貧乳もアリといえばアリだけど、巨乳の方が個人的に好きだ。


 ニーニャがメイド服を着用し終わる。


「ほらぁ、もたもたしてないで台所に行くよ、ハイルくんっ♪」


 彼女の決めたウィンクにホールドハートな俺であった。


私は人にあまり小説を見せたことがないので、私の小説をお読みになった方は感想いただけるとありがたいです。

自分の改善すべき点を素直に受け入れて、もっと頑張りたいです。

まだまだ未熟ではありますが、物語を書くことをやめるつもりはありません。

なので、しっかりと自分の悪い点と向き合って成長したいです。

どうか、ボロクソな感想でも構いませんので、酷評でも構いませんので、感想をください。

何がつまらないのか、何がダメなのか、事細かに教えていただけるとありがたいです。

私は未熟で中途半端で、実力も全然備わってないと、本日実感しました。

今の自分が情けなくて仕方ありません。

どうか、頑張るチャンスを私にください。

よろしくお願いします。

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