エピローグ
何とか一章全部書ききることができました!
その後、状況がつかめていない住人達はいい方向に変わり果てた妻や恋人などに疑問は残るが、単純な者達が多かったせいか、綺麗になってよかったという言葉ですべて解決してしまった。
そして、そのまま自宅に帰ろうとしたとき、住人たちはある一つの無残な死体を発見。その死体は肉屋のアスワルドであると後日、兵士が調査して判明した。
その食い千切られたような跡が残っていたため亜獣などの仕業ではないかと判断したが、刃物で切られた跡なども確認されたため、アスワルドの交友関係も同時に調査されることとなり、当然アスワルドの自宅もくまなく散策された。
結果、その自宅の地下から身の毛もよだつ物ばかりが発見され、それを見つけた者、その報告を受けた者が体調不良もしくは、嘔吐をするものが現れた。
地下で発見されたのは、幾つもの薬品や注射器、獣を捕らえておく檻と鎖があり、しかもその場には子供三人分の骨が発見され、まな板の上に子供の手首が置いてあったのを確認した。
そこから連想した重大な事実を兵士は領主に報告した。
領主は組合長と共にこのことは一般市民には伏せて置き、子供誘拐の犯人はアスワルドであるという事実のみを公開した。
勿論そのことを知った遺族たちは激怒したが、その怒りをぶつける者が自分達のあずかり知らぬところで死亡していたという知らせだけでは納得できたとしても抑えることはできない。
だが、領主はそれでも抑えてもらう必要があると考え、組合と共に救えなかった謝罪と納得してもらう説得を何日間も親身になってすることで抑えてもらうこととなった。
しかし、二人の記憶に、無念に染まった苦虫を噛み締めたような顔が刻み込まれた。
「これでめでたしハッピーエンドっていきたいんだけどねぇ」
「結局全部ヒデさんに持ってかれましたしねぇ。私達もあれに捕まっていればよかったかもしれません。実は私、最近体に脂肪が……」
「いや、そこじゃないだろ」
宿屋に備え付けてある食堂でレティが頬杖をつきながら解説者のような口ぶりで残念さを表にし、エルは何もできなかったことを嘆いた後、徐に自分の腹に溜まった肉をつまむ。微妙に悩みどころが間違っている二人に対してリルは呆れながら突っ込みをする。
「いや、でもよぉ、あれは結局しばらくすれば消えていたんだろ? だったら俺達があんな大見得きった意味がねぇじゃねぇか」
あの戦いの後、嘘か誠かまたもや不明だがヒデから聞いた話では、あれは元々死んでしまった子供達が自分の体探しと復讐のために手伝って作ったと言うだけで、全てを果たせれば自然と消えていたはずなのだとか。
あんな阿鼻叫喚な記憶を埋め煌様なものが自分達の仲間だったことに最初は酷く絶望したが、時間が経つと人間は冷静になっていくもので、今では軽口を入れるようになってきてしまっていた。
因みに、どうして卵になったかは本人でもわからないそうだ。
「俺達は恥かいただけだ。ま、一番ダメージがでけぇのはそこの王子様だけどな」
ギデは親指でその方向に指し示す。
「ねぇねぇ、どんな気持ちな? あんなかっこいいセリフを言っておきながら何もできずに、しかも勝手に消える存在に挑もうとしていたなんて、ねぇ今どんな気持ち?」
「……いっそ殺してくれ」
未だに頭の上に卵をのせているヒデは俯いているエギルの顔を覗き見るようにして、挑発的な笑みを浮かべながらいやらしく質問を繰り返している。宙地を覚えたのかエギルはすごい落ち込みようだった。
ヒデが大暴れした後、ヒデ自身からあれは自分が作ったということを直接聞いていた。幸いなのが皆が覚えていないというところだ。もし誰かが覚えていたのならばヒデは断罪されていたかもしれない。
今こうして王子をおちょくっている時点で断罪されてもおかしくはないのだけれども。
「あの、ここに【星の欠片】というパーティメンバーはいますか!?」
突然酒場の扉をあけて出てきたのはヒデの冒険者登録をした際に会話をした森精霊が現れた。何故か切羽詰まったような、困惑が拭えていないような拭き取れていないような表情をしていた。
「あ、それなら俺達だ」
代表としてリルが手を上げる。すると森精霊の受付嬢はすぐにリルに駆け寄る。
「すいません。急いで組合に来てくれませんか?」
「うん? 何か緊急か?」
「えぇっと、緊急と言えば緊急なのですが……」
「……何やら要領がはっきりしていませんが、まぁ、行きますよ」
「ありがとうございます。
かなり曖昧で不安も残るが、しかしリル達全員は組合を信頼し信用しているため素直についていくことにした。
道中何の説明もなく何の後付けもないまま素直に、問い詰めることなく、説明を要求するでもなく、不振がって逃げ出すこともなくついていったリル達は組合に辿り着いた。辿り着いてしまった。
いつものように組合の中に入りいつもの喧騒を全身に浴びながら、酒や食べ物の匂いが嗅覚を刺激するのを意識しながら組合の普段はいることのない奥へと歩いていった。
流石にここまで来れば流石に訝しむがそれの質問にも受付嬢たる彼女は苦笑を浮かべるばかりで、はぐらかすばかりで、ちゃんと答える気がないことは分かった。
そうこうしているうちに彼らは目的地についてしまった。
「って、なんで私達が牢屋に入ってるのよぉおお!」
パーティ名【星の欠片】プラス一人と一匹は全員もれなく牢屋の中に入れられてしまった。そして、その牢屋の外には二つの髪が壁に貼り付けられていた。
『指名手配:王城での破壊工作立案者容疑レティ。報奨金:金貨五十万枚』
『指名手配:王城での破壊工作実行犯ヒデ。報奨金:金貨百万枚』
これにて一章を終了させていただきます!
ありがとうございました!