プロローグ
初めて投降するので、まだまだストーリがうまくないかもしれませんが、
どうか温かい目で見守ってください
二匹の獣が、暗い夜道に道標を残しながら直走る。
暴行を加え続けられた飼い主という名の処刑人から逃走劇を繰り広げる。
向かう先も、冷えた大地も、星が輝く満点の空を見つめることができなくなった二匹の獣は、寄り添いながら、三本の足で匂いを嗅ぎながら血という道標を残しながらおぼつかない足取りで、何度も地面に体を擦り付け、何度も体を障害物にぶつけながらも、二匹は安住の地を探し続ける。
二匹は常に痛みを忘れなかった。
二匹は常に痛みを伴うことを強制されていた。
ストレスという名の憑き物を落とすための単なる道具として、生き物ではない玩具として遊ばれ続け、虐げられ続けた。
首輪で喉を絞められながら、黒光りする鞭で体に新しい傷跡を作られ、その傷に塩を塗り込むようにまた新しい傷ができる。
嘆いても喚いても、憎んでも呪っても、睨みつけても牙を見せつけても、傷口を舐めても舐め合っても、痛みは消えない。痛みは更なる痛みとなって毎晩のように二匹を襲う。
苦しくて辛くて、泣き続けて、五月蠅いと言われてまた傷をつけられた。
いっそ死んでしまいたいと思いながら、徐々に傷が治り体力が回復していく自分達の体を呪ったこともある。
殴られ続け、叩かれ続け、虐げられ続けて、遂に足が腐り落ちた。
片方が腐り落ちたからと言ってもう一匹の相方も片足を切り落とされた。夥しい血を流しながら泣く相方に嘆きの声を出そうとしたが、当の昔に喉はかれて呻き声しか出てこない。
惨めで悲しくて何もできない自分達を呪い続けながらも自分達を繋ぎとめている鎖を噛み続けた。
歯と鉄では強度が違いすぎて何度も歯が折れ、歯茎に刺さり更に血が流れた。それでも二匹は噛み続けた。
朝も昼も夜も、鎖を噛み続ける狂った駄犬を演じながら鎖を徐々に徐々に削っていった。
生まれた時から暗い部屋、生まれ落ちた時から痛みを持ち続けた。
外はいったいどうなっているのか、外の風景はどういったものなのか。最初の頃は憧れた。恋い焦がれ続けていた。しかし、今はそんなことに憧憬は抱かない。
鉄の中には、冷たさと、悲しさと、絶望と、痛みと、痛みと痛みと、痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みと痛みしかない。
それらしか生まれない。
それでも、二匹はある一つの願望を持っていた。
自由を得たい。
ただそれだけの為に耐え続けていた。何かを持っていないと本当に狂ってしまいそうで怖かったから。恐かったから。
けど、ある日いつものような日常を過ごしていた時、転機が訪れた。
鉄の棒を振り回していた飼い主が荒れ狂ったようにしていたせいで、いつも地獄が始まる開始のベルを伴う扉が大きな音を響かせながら外れた。
飼い主は忌々し気に扉を見下ろし舌打ちをする。その光景を見た二匹はこれ幸いと体に鞭を打ち血を流しながら、首を自ら絞めながら、それでもなお三本の足に力を入れる。
鎖は甲高い音をたてながら二匹をその場に引き留める。
逃げ出そうとする二匹に苛立ちを覚えた飼い主、人間が力を込めて自分達を殴りつける。
それでも尚、足に力を入れるのをやめない。最初のチャンス、最初の希望。悲願の成就を目の前にして、二匹は諦めずに力を抜かない。力の抜き方を忘れたかのように力を緩めない。
その結果、日々の努力と血肉を削って作り上げた成果が、今鎖が千切れるという結果を生み出し、脱走という喜劇を繰り広げる結果となった。
それが今現在繰り広げている逃走劇が起きた原因。
二匹は今迄嗅いだことのない匂いに歓喜を感じながら、今迄よりも濃厚な殺気に身震いした。
それでも二匹は走り続けた。走って走って、走って走って走って走って走って。
泥のような倦怠感を感じながら、体を支える指針を失いながら、 止まることを忘れたように走りつづける。
目標もなく、目的地すらない二匹は、聞きなれたちが落ちる音が聞こえた。
いつも自然に聞こえてくる血が落ちる音。だが、今回聞こえてきたのは生々しく禍々しい雰囲気はなく、途轍もなく綺麗な音に二匹は聞こえた。
その音に引き寄せられるように二匹は夢中になってその場に駆け寄った。目は見えないために、その風景がどうなっているのか分からない。でも、二匹は目の前にあるのが美しく綺麗なものであることを本能で感じ取った。
最後にこんな綺麗な物が見れたことに満足した二匹は、揃って足の力を抜き、泉の中にその身を投じ、意識を絶った。
どうでしたでしょうか
少しでも興味が出たのならば続きをどうぞご覧ください