プロローグ
遥か昔、第二次世界大戦が勃発する少し前のドイツの首都ベルリン。そこで1人の人物を筆頭にクーデターが行われた。
クーデターのリーダーを務めていたのは、ドイツの首相アドルフ・ヒトラーだと歴史の授業では習うが、実際はヒトラーの姪にあたる少女アリシア・ホファバルトであったのだ。
彼女は当時、ヒトラーの姪っ子ということで有名になり、且つ美人ということもあったので、皆からは東のジャンヌ・ダルクと称されていた。
そんな彼女に、あるひとつの悲劇が襲った。
それは、第二次世界大戦のドイツ降伏だ。それによって伯父のヒトラーは自殺、他にも国連軍によるアドルフ一族の暗殺が行われたのだ。彼女は逃亡を試みるが、国連軍に捕まった。その後、24時間拷問を受け続けた末に公開処刑をされるという悲惨な最期を迎えた。
国連軍はこれだけでは収まらず、ヒトラー一族の存在を全て抹消し、この世に存在しなかったとドイツの人々に植え付けさせたのだ。
しかし、アリシアにはある一つの逸話が残っていた。それは、子供を海外へ逃亡させたという事だ。
その子の名前はタトラ・ホファバルト。当時10歳だった彼は自分の身に何があったのか理解ができないまま海外に親の手で送られたのだった。
これは、その後タトラがどのように暮らしていったか、そしてタトラの母親であるアリシアは何をタトラに伝えようとしたのかを調べていく物語である。
「タトラ。生きて、…生きて世界を知って…そうすれば、貴方が望む未来が見れるから…」