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林檎の木の下で  作者: 瑠樺
八章
201/208

番外編 静かな覚悟で赤を塗り替える ~side Louis~


髪留め(バレッタ)……壊しちゃってごめんなさい」


 病室でクロエが口にするのは謝罪だったり、メルシエの心配ばかりだった。

 これではクロエ自身の心は何処へいくのだろう。

 本心では母親が心配なはずだ。復讐だと憎悪を向けられ怖くなかったはずがない。いや、今の彼女は熱があるからまともではない。そうだと分かっていてもあんまりだった。

 彼女は冬の花フルール・イヴェルナルだ。もう傷付かないように固く蕾を閉ざしている。

 いつもそうだ。体調が悪かったり、悲しいことがあったりするとクロエは人を遠ざけるような態度をとる。

 それでも、それでも、それでも。


キミは(ヴ・ヌ・)オレの心を(クロワイエ・パ・)信じないんだな(アン・モナムール)……」


 眠りに落ちたクロエの側で思わず声に出る。

 散々復讐すると言ってきて結果がこれだ。自分の発言が彼女をいっそう追い込んだ。

 敵が許せないと語った口で彼女への好意を口にする。それでは本気にされなくて当然かもしれない。

 髪留めなんてどうだって良い。クロエが帰ってきただけで充分だ。たったそれだけのことも伝わらない。


(好きだと言うだけなら誰だってできるじゃないか)


 自分たちの関係を終わりにして離れるというのは解決にはならない。

 彼女を一人にして何になる。

 守ることを考えろ。

 好きなら支えることを考えろ。

 彼女にあんなことを言わせて泣かせたままにするな。

 彼女がまた笑えるように。彼女を大切に思っている人たちがいることを分かってもらえるように。

 そして、彼女が幸せを望めるように。


(オレがするべきなのは――)

青い鳥は鳥籠の中に【8】直後の話になります。

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