0*こんな関係です
「ふ……また来たのか人間よ。残念だったな、今日は物理的無敵のばりけえどを張っている! 毛皮の無い人間が触れたら最後、体表が凍りつき剥がれるほどの冷気をまとわせた金属板だ。筋力が弱く角も持たぬか弱き二本足たるおぬしでは、私に近寄ることすら出来、」
「小賢しいわ! とぉうッ」
「わ、私が徹夜で製作したばりけえどが一瞬にして破られた……!?」
「ふっ、あんたこそ残念だったな。人間には動かせないブツとなると有効だと思ったらしいが、これしきなんとでも攻略できるわ。かっかっか」
「馬鹿なッ。二本足にはこの鉄柵、越え難いはず」
「バリケード製作、お疲れ様。けど、たったひとつだけ欠損があることに気づいていなかったのがあんたの運のツキさ」
「欠損……だと」
「そう、あんたは背が低い。体長体高が柴犬サイズのわんころが製作した柵なんざ、元陸上部ハードル競技経験者のあたしにとって跳び越えるに造作も無い低さよ!」
「な、」
「あんたがそのちまっこい前足と短い首でせっせとバリケード積んだって所詮限度は見えてる。はっきり言って、想像するだに超絶かわいいだけだ」
「かわいいとか言うな! それに何度も言うが私はわんころではないッ我が一族では有数の戦士であり『樫の剣』なる高名を戴いた歴戦の雄であり、」
「よし、今日もあたしの勝ちだな。そういうことで、」
「少しは獣の話を聞け人間!! ……ち、近寄るな。私にその魔の手を伸ばすな、」
「約束だからな。かしこまってあたしに暖を取らせろ。さあそのもふもふを堪能させろマフラー二号」
「私はまふらぁでもないと何度言えば……待て、話せばわかる、え、なに、いきなり、そんな、やめろ、い、ぃやぁああああああああああああッ」
「あーあったかい」
あたしとそいつは、大体こういう関係である。
寒いときってあったかいものが恋しくなるよね!そんなノリのほのぼの(?)家族+あほファンタジーです。