秋の静けさの前に
「なぁ遥飛、俺にもそれくれよ」
「残念。これでおしまい」
二人が何について話しているのかというと、遥飛が食べているアイスクリームのことである。
もう九月の半ばであるが、依然として暑さが抜けない。残暑真っ盛りなのだ。
「えー・・じゃあ遥飛のくれ」
「やだ。知遥にはこれあげる」
知遥の目の前に出されたのはコップ一杯の麦茶だった。遥飛がテーブルの上に置くと、中の氷が傾いた陽に照らされ、カランと音を立てた。
知遥の顔が明らかに負の感情を示した。
「ひっでぇなぁ。せめて対等なものくれよ」
「ないんだからしょうがないじゃない。だいたい何で対等じゃないとダメなの?」
「だって姉弟だし?」
「それ関係ないよ」
「・・・はぁ。俺はさ、いつだって遥飛と対等でありたいの。わかる?」
「うーん・・・?」
知遥の前に座っている遥飛は顎に手を当て、考えるふりをした。ちらりと視線を投げると、知遥はいつになく真剣な表情をしている。
・・・昔は知遥はずっと小さくて姉である遥飛によくついてきた。それがいつからか知遥の方が大きくなって、子ども扱いをするとすごく不機嫌になるようになった。正直遥飛にはその理由がよく分からない・・・
「わかんない」
「・・・俺さ、遥飛の弟であることが嫌なんだよ」
「どゆこと?」
「姉弟じゃなけりゃ恋でもできるのになーってこと」
「え・・・」
「だから、せめて弟としての扱いをして欲しくないわけ。恋人になれないなら、ごっこでもかまわない。夢をみていたいんだ・・・」
知遥の顔はどこか淋しそうだった。だからせめてその願いは叶えてあげようかなって思った。
どこかで鈴虫の声が聴こえた気がした・・・
今月も無事投稿☆
つかまた恋愛じゃない?なんで?なんで私が書くものはいつもこうなる?
・・・自分に聞けってもんですね。
しかも今回は設定(?)も不明だし。話グタグタだし。
ダメじゃん私!!いや、わかってるけどさ!!
いつも読んでくださっている方、ありがとうございます!!