第6章
その頃、灼熱の太陽の下で、少女の妹が息を弾ませ石ころの多い山道を登っていた。おそらくお姉ちゃんは、また農場の菜の花畑にいるのだろうと思いながら……
選ばれた村の男のうちの1人が、この家族の長男がタリバン兵になっていたため、狙いを定めこの幼い少女の後をつけていた。
幼い少女が、農場の菜の花畑へと小走りに向かって行く。黄色い菜の花畑は、眩しいくらい太陽の光を浴びて風にゆっくりと揺れていた。
選ばれた村の男は、一瞬、目が眩むようだったが、幼い少女が向かった先の菜の花畑の真ん中あたりに、1人の青年と姉らしい少女がいることを認めた。間違いなくあの青年は、あの少女たちの兄であり、タリバン兵となった若者であろう。
選ばれた村の男は、携えていた機関銃を構え銃口を向けた。黄色に靡く菜の花畑の真ん中で、ちょうど片目の青年が少女の妹を抱き上げた。
黒光りする銃口に、アフガニスタンの烈しい光が反射する。選ばれた男は、片目の青年が少女の妹を地面に下ろした瞬間に狙いを定めた。
片目の青年と、抱き上げられた少女の妹、そしてそばに立つ少女は、アフガニスタンの太陽の光に煌めく黄色い菜の花畑の真ん中で、ひとときのしあわせをかみしめ笑い合った。
少女は、全身があたたかさに包まれ、身体中に生命のエネルギーが漲るのを感じた。見上げた太陽の光に、すべてが存在していることを悟った。すべてのまことのひかりを……
──わたしは、お兄ちゃんの失われた片目の光になってあげるわ!
と少女が心に誓った瞬間、笑顔の片目の青年が、少女の妹をゆっくりと地面に下ろした。
小さな希望の煌めく黄色い菜の花畑に、1発の銃声が轟いた……




