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シーとアフガンの光  作者: ユッキー


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第2章



 早朝、石造りの建物の小さな窓からなだれこむ朝の豊饒な光を頬に感じ、少女は目を覚ました。隣の妹は、小動物のようにやや縮こまったままでわずかな寝息をたてている。

 隣室から父と母の話し声が漏れ聞こえる。少女は目をこすりながら身体を起こし、妹の小さな肩を揺すり、もう朝よ、と伝えた。


 チャドルをかぶった母はいつものように、数人の若者とともにタリバン兵となるため村を出ていった兄のことを嘆いている。もはや生きているのか、死んでいるのかもわからない。

 父はすでに質素な朝食を終え、今日も摂氏50度にも達する用水路の建設現場の仕事に(おもむ)く。笑顔の父は、長い髭をさすりながら誇らしげに娘に話し出した。


 ──今日はようやく用水路の最初の2キロが完成して、初めて水を流すのだよ。俺らがつくった用水路に水が流れるのだ。こんなに嬉しいことはない。日本人のN先生と握手を交わすつもりさ!


 日本のある医療支援を目的としたNGOは、N医師を現地代表として、アフガニスタンの標高の高い山岳に点在する村々を巡り、ハンセン病患者を中心に医療活動を行なって来た。しかし2000年、アフガニスタンは大干ばつに襲われる。

 国民の9割以上が農業による自給自足の生活を営んでいため、水が枯れることはたいへん深刻な死活問題だった。栄養失調の多くの子どもたちは、渇きに耐えられず水たまりなどの汚い水を飲み、下痢をしただけで死んで行った。


 医療活動以前に、水と食料の確保が急務となり、乾いた1600個の井戸を再生したが、食料源の畑や緑はどんどん荒涼とした大地へと砂漠化して行った。

 N医師たちは、水源の確保がなにより必要だと悟り、大河川のクナール川から水をひく全長24キロの用水路建設を、すぐに地元の村民の協力のもと始めていたのだ。



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