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第7話 魔闘大会

 魔闘大会当日。

 環と瑞里は約束通り祈たちの出場する魔闘大会への応援に会場に来ていた。

「さぁー始まりましたッ!魔闘大会県大会決勝戦ッ!!勝てば全国ッ!負ければ引退ッ!3年間青春の集大成ですッ!!!」

 会場の中、席から立ち上がり、体を使って、まるで会場を盛り上げるMCのような瑞里。

 「我が校の注目選手はモチロン、2年生の有力者、傍部 祈ッ、エアーンドッ、御星 輝〜!さあっいよいよ闘いの火蓋が切られますッ!」

 周りの目も憚らず続ける瑞里。

 「瑞里、周りの人に迷惑だからやめようか。」

 隣に座る環の冷静な言葉に、瑞里が大人しくなる。

 選手たちがモニターに映し出される。

 魔闘は、選手たちの魂と肉体を乖離させ、機械の中に魂のみを入れ、その機械の中で戦う仕組みらしい。


 始まりの合図である音が鳴り響き、両チームの選手が、その戦場の両端から相手チームを目掛けて駆ける。

 数十秒後に、 両チームの近接戦闘の選手達がぶつかり合う。

 祈も近接戦闘型で、魔道具の剣を握って敵と戦う。

 祈の魔法は「剣戟けんげき」。

 剣を振ると同時に、その斬撃とは別の斬撃を複数同時に発動させ、敵を切る。

 祈は、剣と魔法を駆使して相手の攻撃を華麗に捌く。

 祈が敵に近づき、切りかかろうとすると、敵が自身の前に手をかざす。

 「防御プロテクションッ!!」

 敵がそう唱えると、かざした手の前に魔法陣が展開され、祈の攻撃が阻まれる。


 「おっ、今のは『共有魔法』だな。」

 瑞里が敵の魔法陣に反応する。

 「共有魔法?」

 環は瑞里の方を見て首を傾げる。

 「今、相手さんのチームが発動したのは『共有魔法』っつってな、今みたいに魔法陣を展開したり、詠唱したりして発動させる魔法だ。記憶すれば誰でも使えるようになるぜ。大気中の魔力マナを利用できるから、低コスト高出力でめちゃくちゃ使い勝手がいい。逆に祈がいっぱい斬撃飛ばしてんのは『固有魔法』。生まれながらにして個人で持っている魔法だ。これは自分の保有魔力(マナ)しか使用できないんだ。」

 環はふんふんといいながら真剣そうに聞く。

 「でも、それだったら共有魔法だらけになっちゃうんじゃないの?」

 環が瑞里に問う。

 「だがな、共有魔法にもデメリットがあるんだ。」


 祈が相手に攻撃を防がれ体勢を崩した祈に、別の相手が攻撃を仕掛ける。

 が、相手が魔法を発動させる前に、遠くからの魔法による狙撃で討たれる。

 狙撃をしたのは、輝だった。

 体勢を立て直した祈は再び魔法陣に素早く近づき、その魔法陣に手をかざす。

 「解魔ゴスペル!」

 祈がそう唱えると、目の前の魔法陣が音を立てて瓦解する。


「おっ!やったな!今のが共有魔法の対処法、『解魔ゴスペル』だ。魔法陣を解析して、内側からぶっ壊す魔力操作マナコントロールのひとつ。これは向き不向きがしっかりしてて、脳筋が多い近接戦が得意な奴らは大抵苦手なんだけど、祈は器用だからなんでもできちまうんだよな。」

 ふんふんと鼻息を荒らげながら、得意げに瑞里が説明する。


 攻撃を阻害する防壁が崩れ去り、祈は一気に相手までの距離を詰める。

 祈が相手に切りかかるその瞬間、相手の身体を炎が纏い、またしても祈の攻撃が阻まれ、押し返される。

 相手の後ろには、九つの尻をもつ巨大な狐のような獣が仁王立ちしていた。

 その獣は、鋭い牙と爪を持っており、九つの尻の先端には炎が猛々しく点っていた。


 「あいつ、『使い魔』まで使えんのかよ!」

 瑞里が前のめりになって驚く。

 「何?『使い魔』って。」

 環は瑞里の様子を見て質問する。

 「ああ、あのでっけえ化けもんは『使い魔』っつってな、魔法によって創造された魔獣だ。あの魔獣を出せるのは相当猛者だぞ…!」

 瑞里は目を見開いて言う。

 「『使い魔』のアドバンテージは主に2つ。1つ目は数的有利。もうひとつは、『使い魔』が顕現している間は、『使い魔』の魔法や特性が、創造主に共有されるっつーことだ…!」

 瑞里は祈を心配そうに見つめる。

 というとつまり、あの「使い魔」を顕現させた選手は、数的有利を得て、その上鋭い牙や爪などの特性や、炎の魔法を得たわけだ。

 

 相手の反撃。

 牙と爪を使った猛攻を、祈は必死に捌く。

 しかし、数多の火球が祈を襲う。

 祈もそれが視界に入るが、対応することができない。

 絶体絶命の危機、しかし、火球は祈に着弾することなく、空中で爆発する。

 どうやら後ろにいた輝が火球を撃ち落としたようだ。

 「後ろは任せて!あんたは目の前の相手に集中して!」

 そう言う輝の後ろには、無数の星が光り輝いている。

 輝の魔法は「星」。数多の輝く星を出現させ、敵へと放つ技を得意とする、遠距離戦闘型。


 「なんか星多いね。すごい魔力量なの?輝。」

 輝の魔法を見て、環が瑞里に質問する。

 「ああ。でも輝は『能力アビリティ』も持ってっからな。」

 「『能力アビリティ』?」

 「そう。この世には、『能力アビリティ』っつーもんを持ってるやつがたまにいるんだよ。まー簡単に言うと、特殊体質みてーなもんだな。輝が持ってる『能力アビリティ』は、『星に願いを(トゥウィンクルスター)』って名前でな。自分の固有魔法を使っている時だけ、消費量を抑えて、出力をあげることができるんだ。」


 そうこうしているうちに、気づけば周りの敵も味方も倒れ、残りは祈と輝とその相手のみになっていた。

 相手の選手が祈の命を狩ろうとするべく、爪で空を裂きながら祈に切りかかる。

 しかし、全て祈によって防がれ、魔法の斬撃によって片腕を切り落とされる。

 尻もちをついた相手は、苦し紛れに火球を出現させるが、輝に全て撃ち落とされる。

 ゆっくりと相手に近付く祈。

 その顔は、どこか鬼気迫る迫力を有しており、相手が恐怖の表情を浮かべる。

 ―バスッ。

 祈の一撃が、敵を袈裟斬りにして、戦いは幕を下ろした。


 試合直後のミーティングも終わり、会場の前で4人がと合流する。

 「やったな!これで全国!すげぇじゃんお前ら!」

 瑞里がそういいながら、祈たちにハイタッチをしに行く。

 「ふん。私たちなら当然の結果よ。」

 得意げに輝は答える。

 「おい環!見たか最後の俺と輝の連携!」

 興奮気味に祈は環に聞く。

 「うん。見てたよ。かっこよかった。」

 そう言う環に祈の顔がとけそうな程緩む。

 和気あいあいとした雰囲気で試合についてあれこれと4人は語った。


 ―そして時は1週間後、「七罪セプテム・ペッカータ」殲滅まで進む。

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