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第3話 神官会議①

 傍部 祈と御星 輝の下校中。

 同刻、フランス。

 山奥に1つ、巨大な屋敷がそびえ立つ。

 中はシャンデリアや大理石の床や真っ赤なカーペットや数々の絵画など、絢爛豪華と言うに相応しい装飾が施されている。

 中では幾人ものメイドたちが綺麗に並び、来訪者を歓迎する。

 そのうちの一人が、屋敷の奥へと案内する。

 その屋敷の奥にある廊下を男が闊歩する。

 男の数歩先でメイドが先導する。

 長い長い廊下を歩いていくと、やがて右側の壁にひとつの部屋が見える。

 その部屋の前にもメイドが立っており、部屋に到着すると部屋の前の侍女はドアを開け、

 「どうぞお入りくださいませ。」

 と一言だけ発言する。

 部屋の中に入ると中には長い机と、その上には果物が盛られた皿が4つほど置いてある。

 机を囲むように椅子が10席分用意されていて、そのうちの8席は先に来ていた者たちが既に座っていた。

 「ああ、ようやく来ましたね。」

 こちらを見て金髪の白いスーツを着た20歳前後の男が言う。


 ―ルベリア・フィロソフィア。

 神官第四席に座し、魔王の側近である天魔六武将が一人「叡天えいてん」の子孫。この屋敷の主人でもある。


 「チッ、遅っせーな。」

 こちらの方を見て、別の男がサングラスの中から睨みながら喋る。


 ―李晨リーツェン

 神官第七席に座し、中国の裏社会を締めるマフィア「ウロボロス」の若首領。


 「まあまあそう言いなさんな、李晨殿。」

 気を荒立てる李晨を、薄い紫色の髪の男が、顎髭を触りながら宥める。


 ―宵月よいづき 華月かげつ

 神官第五席に座し、ルベリアと同じく、魔王の側近である「羅天らてん」の子孫。


 「そうよぉ、でしたら李晨の魔法で連れてきてあげれば良かったじゃなぁい?」

 机に肘を立てて、顔をもたれさせながら女があでやかな声で華月に同調する。


 ―コラプス・ヴァーガンノート。

 神官第九席に座し、世界の歌姫として名を馳せている。


 こちらに矢印が向くとはあまり思っていなかったらしく、李晨の肩が少しすぼむ。


 「ハッハッハッ!だが第三席もまだ来てないようだが?」

 そんな様子の李晨を見て、大柄な男が豪快に笑う。


 ―ギルヴェル・ギガンテ。

 神官第六席に座し、「神に近き者達の島(タイタンランド)」に住む半人半魔の一族「ギガンテ族」の長。


 「あのおばあさんは毎度のことでしょうに、ギルさんは本当に戦うこと以外興味無いんだから。」

 ギルヴェルのことを銀髪の男が呆れたように笑う。


 ―エルドラド・ルゼル・ライミリオ。

 神官第八席に座し、表向きには世界的ブランド「ILXUS(イルキュゼス)」のクリエイティブ・ディレクターとして勤めている。


 「…おい、全員揃ったのだろう?そこの餓鬼を起こしてさっさと話を始めるぞ。」

 そんな中で李晨の他にもう1人、気を荒立てる男がいた。


 ―ハルバード・アルステリオ。

 神官第二席に座し、2000年前天上の神から魔力マナを授かった賢者「アルステリオ」の子孫。

 

 「おい起きろ。」

 と隣に座っていた李晨がその「餓鬼」の頭をコツンと一突きする。

 「…うーん。」

 まだ眠そうに、その青髪の少年は体をゆっくりと起こす。


 ―ヒュプノス・マルガンダ。

 神官第十席に座し、「眠り姫(ララバイ)」の異名を持ち、魔法を使わず、能力アビリティのみで街一つの住民を眠りにつかせた、生きる災厄。


 「…お前も早く座れ。」

 ハルバードがこちらの方を向き、急き立てる。

 「…ああ、ごめんごめん。話の邪魔をしては悪いと思ってね。」

 そう言って、僕は自分の席に向かう。


 ―久町 環。

 神官第一席に座し、ヴィクティア戦争を1週間で終わらせた、世界の英雄。黒いローブを靡かせ、戦場を駆ける姿から、人々は彼をこう呼ぶ。

  「死神」と。


 「というか、時間ピッタリじゃない?みんなが早すぎるんだよ。」

 環は席に着くやいなや、悪びれもせず言う。

 「いや、その若作りに必死なおじさんが一人一人にプライベートジェット飛ばしてきたじゃねーかよ。」

 李晨がルベリアの方を指さしながら言う。

 「えー!いったいどこの誰がそんなことをしているのでしょうか!恐ろしいですねー!」

 ルベリアはわざとらしく大声で言う。

 「おめーのことだよ!ホントだったら40代後半の癖に!華月さんを見ろ!自分の歳を受け入れつつ、それでいてその年季を生かしてオトナらしい色気を醸し出してる!おめーも魔法を使って誤魔化さねーで、華月さんを見習えよ!」

 李晨もルベリアに負けじと必死に怒鳴る。

 「李晨殿?その言葉は褒めていると受け取ってもよろしいのかな?」

 華月は若干傷ついた様子で反応する。

 「うーん、しかしたしかに華月さんのダンディーさは無視できませんね。そうだ、今度うちのモデルとして雇われてくれませんか?」

 どさくさに紛れてエルドラドが華月のことを勧誘する。

 それを聞いた華月はニコニコと笑って断った。

「ちょっとぉ、私の方が適任じゃなぁい?」

 くし切りにされた桃にフォークを刺しながら、コラプスがエルドラドに問いかける。

 「あんたはヌード写真集がお似合いだよ、エロプス。」

 エルドラドはコラプスを露骨に蔑む。

 「…ちょっとは考えて物を言わないとねぇ?適当にごちゃついた下品な服とか金品を見すぎてぇ、汚いものも綺麗なものも見分けがつかなくなったのぉ?チェリドラドくぅん?」

 エルドラドとコラプスの間に見えない火花が飛び交う。

 それを見てギルヴェルがまた豪快に笑う。

 ヒュプノスは既に机に突っ伏して、再び夢の世界へと足を踏み入れようとしていた。

 「まあまあ皆さん、()()()()()()()ではございますが、会話に入れていない可哀想なお方が一人いらっしゃいますので、そろそろ本題に入りましょうか。」

 ルベリアが荒れる会話を遮り、皆を沈める。

 皆の視線が一気に1人の方を向く。

 視線の先には、目を閉じて腕を組み、わなわなと震えるハルバードがいた。

 それを見てさっきまで猿のように騒いでいた一同が嘘のように静まり返る。

 1回咳払いをして、畏まった様子でルベリアが口を開く。

 「―それでは、神官会議を始めます。」

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