ギルド結成
姫達は、ウラディンに連れられオルデンナイト王国の中心部にある宮殿へと到着した。
道中、この世界について幾つか質問した。だが「ウラディン」と呼び捨てすると無視されるので、仕方なく「ふぅー、、ウラディンちゃん」と、諦めのため息を交ぜながら呼んだ。
まず、このオルデンナイト王国には姫とロロベルト以外に転生者はいない。
ハンターの称号を貰った転生者は、与えられた力に順応できず体ごと消滅してしまうか、そもそもそれ程力がなく、モンスターに殺されてしまうかのどちらかだそうだ。
だからウラディンは、姫達の事をとても珍しがっていた。
次、転生者ではないこの世界出身の人は、生まれながらにして称号〈crown〉を持っている。
世界のハンターの半分ほどは、〈狩人〉というモンスターを倒せるほどの身体能力と戦闘センスを備えた称号を授かっている。しかし、残りの半分は姫やロロベルトみたいに特定の武器や能力を扱う特殊な称号を授かっている。
ウラディンは、「ウラもその特殊な人物の1人なのだ!凄いでしょ?褒めてよぉ〜」と、甘えるように言ってきたが、調子に乗らせたくないので、どんな能力なんだ?とかあまり深入りはしなかった。
そして、ウラディンも姫の〈ガトリング使い〉という称号には首を傾げていた。
次、オルデンナイト王国には無数のモンスター討伐ギルドがある。
ウラディンは、ゼムライという男しか未だ仲間がいないと言う。
ギルド結成の条件である最低人数が3人な為、しばらくクエストに行けてないらしい。
だが、「しばらく」と言う言葉から、昔はクエストに行けてた事が窺えるが、その仲間達はどうしたのやら、、
ウラディンを自分だけ生き残るパターンの奴と読んだ姫の予想は当たってたのかもしれない。
そして、次の情報が1番憂鬱になる。
オルデンナイト王国の指標では、モンスターの強さをSランクやAランクなどで測ってはいない。
ランクでは無くて、王冠〈クラウン〉の数で強さを測っているのだ。
王冠は1つから5つある。
ちなみに、1番弱いとされているI王冠〈ワンクラウン〉のモンスターは、村が測るSランクのモンスターと同等らしい。
早速、嫌な予感が的中した。
ペングラム村でのオーク討伐は、初陣ということもあって、アドレナリンで精神は保っていたが、今冷静になりよくよく考えると、あんな化け物と戦っていた事が悍ましく思えてきた。
今後もあんな化け物がバンバン出てくると想像すると、、いや、でも姫は選ばれた転生者だ。
転生してすぐ小さな村を救った。
よしよし、そう弱気になるな、姫はヒロインだ!
と自分に言い聞かせて、なんとか平静を装った。
だが、体は正直だ。ここだけの話、冷や汗だくだくだ。
ウラディン、ロロベルトと一緒にしばらく王都を歩きようやく辿り着いたのは、オルデンナイト王国の宮殿。
王都の建物が小さく感じるほどの巨大で豪華な建物。
宮殿の中へと入ると、ウラディンはどうやら執事やメイドらしき人達から、
「おかえりなさいませ、ウラディンちゃん。」
と、声を揃えて出迎えられていた。
多分この人達も、ちゃん付けするように言われたんだろうなぁ、、
「おかえりなさいませ」の後にちゃん付けはおかしいからな。
って言うか、、
「ウラディン、、あっ、チッ、ウラディンちゃんって、王族なのか?」
「あぁそうだ、、」
こんなヤツが王族だと、、
広々とした宮殿内をウラディンに連れられ、どデカい扉を構えた部屋へと入らされる。
そこにいたのは、高そうな毛皮のコートを羽織った恰幅のいいおじいさんだった。
「この人は、ウラのじいじの友達で、この国の王様だよ。」
ウラディンはサラッと紹介してたけど、いきなりなんか偉い人に会ってしまっている。
「ワシの名はノラ・ハヴレイン。ペングラム村から来たハンターとは君たちかね?」
「あぁそうだ!名はライム・ラナプリン、よろしくな!」
「サーベル・ロロベルトといいます。よろしくお願いします!」
ロロベルトと一緒に自己紹介をする。
「初めてにして、レッドオークを討伐したそうだな、なかなかやるわいの。」
と国王がしわがれた声で褒めてきた。
だから、どっちかと言うと褒めて欲しいのはブラックオークなんだけどなぁ、、
「お、本当か?レッドオークを倒したのか?」
そういえばウラディンには言ってなかったな。
中々に驚いている。
「あぁそうだ!」
「え〜すごーい!!」
ウラディンは拍手をしながら、姫達を褒め称える。
ロロベルトは、、うん、なんか居心地悪そうだ。
「ところで、ワシの案内役を手配したのだが、なぜお前と一緒にいるのだ?」
国王は、ウラディンを指差して言う。
多分だが、ウラディンは呼び捨てが嫌なだけで、お前呼びやこいつ呼びは別に気にしないタイプっぽいな。
「ペングラム村から強い奴らが来る予感がしたから、迎えに行ったんだ。」
奴ら?ロロベルトも入っているのか?
「という事で、ウラの仲間にしたいと思っている。」
「自慢の野生の勘か、、君たちはそれでいいのかね?」
嫌だけど、今更断りづらいしなー
「まぁ良いだろう。」
「頑張ります!」
ロロベルトも気合が入っている。
「そうか、なら好きにしなさい。」
「ありがと〜う、王様!
る〜ん、る〜ん!!」
ウラディンは、王室の中をピョンピョンと跳ね出した。
「あっ、それとな君達よ。今までのこいつのギルドメンバーは今いる1人を除いて全員死んでしもうとる、、」
姫の嫌な予感的中part2!
「あっ、、もう、シッーーーーーー!!」
ウラディンは、ヤベっみたいな顔をして必死に口止めをしているが、もう遅いぞ。
一言一句完全に聞こえた。
「じゃがな、ウラディンは大切な仲間を失った事をひどく嘆いておった。
ワシはもうウラディンの悲しい顔を見とーない。
君達が本当に選ばれし強者なら、4人で無事に死線をくぐり抜けて見せよ!
頼んじゃぞ。」
国王のフォローによって、もういよいよ断る事は出来なさそうだ。
国王に感謝しろよな、ウラディンよ。
って、まじかこいつ
「プイッ、、」
国王がせっかくフォローしてくれたのに、ウラディンはなんか向こう側を向いてあからさまに無視している。
あーー、多分呼び捨てだろうな、、
どんなポリシーだよ。
ウラディンと姫達は、宮殿を後にした。
「でさー、ラナプーとロロっちはどうやってオークに勝ったんだ?」
ウラディンから突如あだ名をつけられたが、もう名前に関してのプライドは無いから否定しなかった。
好きなように呼んでくれ。
「凄いんですよラナプリンさんは、デッカいガトリングで、正確にオークの脳天を撃ち抜いて、、」
ロロベルトが、自分ごとのように姫を褒める。
武勇伝を語ってもらうのは、爽快だな。
「ほう、やるなラナプーよ。あいつらの肉体は結構頑丈なんだけどな、、それにレッドオークとなればオークの中でも上位種だ。ロロっちはどうやって倒したんだ?」
「俺は、何も出来ませんでした。ただ、死骸を漁ることしか、、」
「あれ?そうなのか、、おかしいなぁ、」
まぁ残念ながら事実だ。
国王は、ウラディンの勘はよく当たると言っていた。
どれほどの確率かは知らないが、首を90度に傾げているウラディンの表情からして、なにやら珍しく勘が外れているようだ。
ここで少々引っかかったのがレッドオークは上位種という発言。
「ブラックオークも上位種なのか?」
ずっと色について気になっていた。
それにやたらレッドオークを倒したことを褒められるが、ブラックオークの方が圧倒的に強そうだったのだがな、、
「転生ホヤホヤでよくブラックオークを知ってるな、、ブラックオークは上位種どころか、オークの中では頂点にいる存在だ。」
やっぱりそうか、、正直怖かったもんな。
「モンスターの色って結構強さに関係してるんですか?」
「あぁ、そうだ。同じモンスターの中でも5つの色に分かれている。
強さは上から、黒、白、赤、青、黄色だ。
ラナプーとロロっちが倒したレッドオークは、I王冠〈ワンクラウン〉ってところだが、ブラックオークはIII王冠〈スリークラウン〉程ある。」
あれ?普通に倒したよな、、
「えー?そうなんですか、ラナプリンさんがあまりにもサクッと倒してたから弱いと思ってましたよ。」
「あれ?倒したのはレッドオークだろ?」
「レッドオークも倒しましたけど、ブラックオークも倒した、、よね?」
ロロベルトがこちらに視線を向ける。
「あぁ、一撃で頭を吹っ飛ばしてやった。」
本当は数撃だが、ちょっと見栄を張った。
「本当か?」
ウラディンの瞳孔が思いっきり開く。
「本当だ!凄いだろ?」
「うん、確かに凄いけど、、それより、村のクエストにブラックオーク、、異常マップだな、」
「異常マップ?」
「等級の高いモンスターがクエストに紛れ込んでしまう事だ。」
「そんな事があるんだな、、」
「いや、でも待てよ、ブラックオークは知能があるんだ。勝てない敵だと認識すると、複数ある心臓を一時的に止めて死んだフリをする習性がある。
ロロっちは〈収集家〉だったよな、、心臓は採取したのか?」
「確か採取はしたと思いますけど、1つしか採ってないですね。」
「1つか、嫌な予感がするな。ラナプーとロロっちがクエストから帰る時、ブラックオークはどうなった?」
「なんか魔法陣みたいなのが出て、どこかへ消えていったぞ。」
「やっぱりそうか、、うん?姫達?ラナプー自分の事姫って呼んでるんだ、可愛いぃ〜〜、、、ゴホンゴホン、それでだ、」
流石のウラディンも今はそんな雰囲気では無い事を察したようだ。
「倒したモンスターは、そのクエストを管轄している場所の武具工房へと転送されるんだ。
だけど、もしブラックオークが生きていたら、」
3人の間に妙な緊張感が走る。
「ペングラム村でブラックオークを倒せる人はいるんですか?」
「いるわけがない。それに生きたモンスターの侵入を許すことは、国の威厳に関わる事だ。」
ウラディンの表情がどんどん険しくなってきた。
なんか結構まずいことになってそう。
いきなり、ヒロインコースから大戦犯コースへと進路変更した気がするのだが、、
「今ここに3人揃っている。ハンター規定の違反にはならない。」
「え、もしかして?」
「あぁ今からペングラム村に行くぞ!ギルド名は、、まだ決めてないから適当でいいか、、よしとりあえずウラディンギルド初のモンスター討伐だ!」




