弾丸について
姫はゴブリン達がどんどんと溢れてくるゲートが気になった。
ハンターたちがモンスターのダンジョンに行く時のゲートに似ている。
色とか禍々しいさとか。
なら、姫達人間側もあのゲートに入れるのだろうか?
そう疑問に思い、地面に落ちている小石を拾い、約1キロは先であろうゲートに向かって投げた。
【狙い名人】
が、流石の姫でも1キロの遠投はできなかった。10メートル程度先でポトンという音を立てて無様に落ちた。
「何してるの?」
ロロベルトが姫を詰める。
「すまん、見なかったことにしてくれ。」
となると、この距離なら弾丸しかない。
【狙撃弾】
ゲートに向かって弾丸を撃ち込むと、その弾丸は結界にぶつかったかのように弾かれた。
なるほど、おそらくモンスター意外はあのゲートに入れない仕組みになってるんだな。
なかなか高度な技術をお持ちで。
大量なゴブリン達がいくつかの陣形をつくり、猛ダッシュでこちらの村に向かってきている。
「霊器解放!
剛圧弾、自動装填!」
【黒・剛圧弾 自動装填】
姫はガトリングを解放し、剛圧弾をセットするが、ふとここで疑問に思った。
剛圧弾と小武弾どちらの方が威力が高いか?
ブラックオークの方がモンスターランクは高いが、糧化による恩恵を受けている小武弾もバカにはできない。
敵がゴブリンなだけあって姫も余裕が生まれたのか、そんな事を考える余裕があった。
とりあえず撃ち比べてみるか。
村人が避難し終えたなぁと感じた後、遠慮なく弾丸をぶっ放す準備をする。
村のハンター達は迎撃態勢を取っているが、恐らくこの程度のモンスターなら、姫1人で十分だろう。
万が一撃ちそびれたゴブリンがいれば、頼みますよ。
ゴブリン達の陣形から村に先に到達した先鋒の集団であるレッドゴブリンの群れが村の建物を伝い、威嚇なのかその建物を壊しながら、向かってくる。
「おりゃおりゃおりゃーーー!!」
ドドドドォォォォォォ
姫はガトリングのトリガーを押す。
ゴブリンの群れは見事に脳天を貫かれ、建物の上に臥せたり、地面に臥せたりと多種多様な死に方を晒した。
迎撃態勢をとっていた村のハンター達は姫を見て唖然としている。
ロロベルトは何故か誇らしげに腕を組み、鼻息でフンッ!という音を立てた。
とりあえず最初の波は被害最小限に終わらせた。
次の陣が村に到達する前に、姫は村の端っこに位置する建物の上に登り、村に侵入してくる前にゴブリンを討ち取ることにした。
第2の陣形はホワイトゴブリンが約10匹と、その脇にはレッドゴブリン、ブルーゴブリンがわんさかいる。
このホワイトゴブリンが司令塔となって攻めてきているのだろう。
姫の本命であるホワイトゴブリンがようやくやってきて少し鼓動が高ぶるのを感じた
脈もドクドクと生々しい音を立てている。
「ノコノコと獲物から来てくれて助かるわ。」
【黒・小武弾 自動装填】
まず比べ撃ちをするため、両翼に広がっているブルーゴブリンとレッドゴブリンを撃つ。
どちらも脳天にワンパン。
敵が弱すぎて比べようがない。
比べ撃ちは諦めて仕方なく、本命であるホワイトゴブリン目掛けて小武弾をぶっ放す。
まず1体目。
2体目、3体目、、、、〜〜
よーし、小武弾はロロベルトが採取してくれたらこれでコンプリートだな。
異世界生活始めて、やっと1種類の弾丸を集め終えることができた。
結構苦労するもんだな。
ゴブリン第2の陣を討ち終えると、次が最後の陣だ。ブラックゴブリンが3匹にホワイトゴブリンの群れ。
ブラックゴブリンと対峙するのは2回目。
あの時は1体しかいなかったが、今回は3体いる。最高ランクのゴブリンなら試し甲斐がありそうだ。
まずはちゃっちゃっとホワイトゴブリンの群れを蹴散らす。
ドドドドォォォォォォ
爽快感を感じた。
無双系のゲームで弱くて多い敵を倒していく感覚に近い気持ちよさ。
迫り来るホワイトゴブリンを倒し終え、残るはブラックゴブリン3体。
姫の後ろで構えている村のハンター達なら手も足も出ないだろう。
やはり最高ランクならではの品格、威厳というものをひしひしと感じる。
金棒を持って走ってくるブラックゴブリン。
一番左のやつをまずは実験台にする。
そのまま小武弾で、撃ち抜く。
ドォン
1発脳天に命中。
左のブラックゴブリンは陣を組んだ進行をリタイヤした。
ブラックゴブリンでさえ、1発かよ。
姫は続いて剛圧弾に装填し直し、先程真ん中にいたブラックゴブリンに向けて狙いを定めた。
ドォン
だが、真ん中のブラックゴブリンは驚くことに、少し後ろに下がったあと、またこちらに向かって走り続けていた。
おっと、これはいい収穫だ。
ランクはオークの方が高くても、糧化によってゴブリンの弾丸の方が威力は上なようだ。
続いて2発目。
ドォン
ブラックゴブリンは進行をリタイヤした。
剛圧弾なら2発か。
ならオークを集め終わるまでは、黒・小武弾を使った方が良さそうだな。
残りの1匹であるブラックゴブリンもすぐにあの世に送った。
糧化恐るべし。
建物の下でゴブリンの様子を眺めていたロロベルトがこちらに手を向けて、
「ナイスーー!!
採取に行こーーう!」
と叫んだ。
「おう!」
〈白・小武弾を生成しました。〉
小武弾も完成したし、村人も守れたし、2つの目標を一気に叶えることができた。
採取を終え、再び村に戻ると、村人達やハンター達が入り口で待っていた。
そして、
パチパチパチパチ
と拍手喝采。
姫はその村の英雄かのように褒め称えられた。
そこにはフルーツ屋のおばあちゃんも笑顔でいた。
「あんたがそんなやり手だとはね、、」
と姫の肩をポンポンしながら言った。
「あんなもん余裕よ!」
姫は有頂天になり、胸を張って、威勢よく大口を叩いた。
「当たり前じゃないですか、この方を誰だと思っているのですか?」
ロロベルトもあたかも自分が誉められたかのように喜び、姫を称えた。
「まさか冒険者の人にこの村が救われるとはね。
あんたがいなかったら危なかったよ。
トレスさんでもあの数相手ならどうなってたか分からないしね。」
この村の英雄トレス、姫の見立てだとあの数相手だと厳しかったあろう。
「にしても、トレスさんはなかなか帰ってこないねぇ、何をしてるんだか、」
ギクッ、姫達がのしたとは言えないよな。
ここは知らんぷりしとくか。
おばあちゃんによると、今回のブラックゴブリン襲撃事件を機に、オルデンナイト王国からさらにハンターを派遣してもらい護衛の強化をしてもらうそうだ。
またあの数が攻めてこないとは言い切れないからな。これで姫達は思うことなくこの村から出れる。トレスが帰ってきたら面倒になりそうなんで、早めにこの村から出たかった。
おばあちゃんの好意により、フルーツジュースを一杯サービスしてもらった。
礼を言い、姫達はグランエリー村を後にしようとした。
すると、姫達の前に1人の小さな女の子が駆け寄ってきた。
ピンクの髪が太陽の眩い光に反射して、艶のある見惚れるような様子を呈した。
そしておぼこい声で、
「あのぉ!わっちを弟子にしてほしいっす。」
と、姫達の前で土下座をした。




