再来ブラックゴブリン
地図通りグランエリー村に到着した。
意外と賑やかな村である。そして何よりも目を引いたのは、たかがいち村だというのに護衛である門番やさっき1戦交えたトレスのようなハンターがたくさんいるという事。
それだけモンスターへの恐怖感を表しているようだった。
姫達は最初に村へ着くと、交易所に向かった。
ここグランエリー村へ来ると予想していたのか、ウラディンからもう既に手紙が届いていた。
手紙の内容は会いたい、帰ってきて、などメンヘラをぶちかましていた。でもまぁ会いたいのはこちらとしても思う。
姫達も、現状の報告や、これからの目標などを細大漏らさず書き、ウラディン宛に送った。
手紙を送り終えると、ロロベルトとも話をして一旦別行動を取ることにした。
各々自分の所持品や食べ物を限られた金の中で買い貯めるために、、
続く異常マップによる報酬や弱いクエストをちまちま行っていたので、少し奮発する。
姫が真っ先に向かったのは、フルーツを専門的に扱う店。
シャーベットやパフェなど見るだけで涎が溢れてきそうな商品をスルーし、注文したのはもちろん生搾りたてのオレンジジュース。
美味い!!
ロロベルトはどうやら姫と真反対の方向へ行っていた。
しっかりチカを服の中に隠して。
姫の目のまえを重厚な甲冑を着たハンターたちが行き来する。
すごい圧だな。集中してオレンジジュースを楽しむことができやしない。
悄然とした面持ちでジュースを嗜んでいると、フルーツ屋の店主、足腰の悪そうなおばあちゃんが話しかけてきた。
「あんた、見ない顔だね、、冒険者かい?」
おばあちゃんは、姫の真横にゆっくりと腰を下ろし、痛そうな背中をトントンと叩きながらこちらの顔を見つめる。
「そうだが、」
「そうかい、大変じゃろ?外は魔物がウロウロしているから、、」
「まあなんとかやっているよ」
「でもこの村にくればもう安心じゃ!!」
おばあちゃんは活気を取り戻し、先までの腰痛が無かったかのように威勢よく話す。
「なんでだ?」
「そりゃこの村の英雄、トレスさんがいるからのう、」
トレス、、さっきチカに丸呑みされたゲスやろうか、、
おばあちゃんの話によると、トレスはこの村の英雄的存在で、みんなから良好的に支持されているらしい。
その指示の声には、イケオジ!!や、カリスマ、イケメン、おしゃれ、最強!
などがあるらしいが、対峙した時はそんな片鱗すらも見えなかった。
言動が変態だし、カツラだし、お漏らししてたし。
まあこの村では虚栄心をはって強がっているんだろう。
別に姫的にはそういう人を軽蔑したりしない。
前世では同じ本性を隠していた仲間だから。
話は戻ってなぜじゃあトレスが英雄として崇められているかというと、姫の故郷ペングラム村と同じで、ここグランエリー村でもオルデンナイト王国から優秀なハンターの出兵要請があったことが発端だそうだ。
優秀なハンターを出兵させないと村を破壊すると脅迫文が届き、村長たちが路頭に迷っている所を、トレスが自ら名乗りあげ、オルデンナイト王国に向かったとのこと。
その時はすでにハンターとしての実績も素晴らしいものだったので王国にも認められ、村破壊を免れた。
話だけ聞けばそれは英雄として崇めたくなるが、なんせ姫たちは本性を知っているもので、おばあちゃんの話があまり頭に入ってこなかった。
モンスターがこちらの世界に入り込むようになってから、オルデンナイト王国は迅速な対応を見せた。
王国内のハンターを各村に派遣し、村を守るように命令した。
なのでトレスは、仕事としてこの村に帰ってきていた。
昨夜、トレス達はここグランエリー村 に侵攻してきたゴブリン達を討伐したらしい。
でもそんなみんなから崇められている英雄を気絶させたとなると、タダでは済まないな。
意識を取り戻したら、チカのことも調べられるだろう。
この村には長居できない。
一通りやること済んだら、退散しないとな、、
「おばあちゃん、オレンジジュース美味かった!!会計頼む。」
「ありがとさん」
姫はフルーツ屋を後にした。
軽く口に放り込める軽食や水、次野宿するとなった時用に掛け布団代わりになる軽いブランケットを買った。
アクセサリー屋の前を通った時に、可愛いブレスレットがあったが、節約のため我慢した。
喉も潤ったし、買いたいものも買えた。
ロロベルトと待ち合わせをしていた存在感のある情緒的な噴水がある広場に行く。
広場につき数分後、ロロベルトの姿が見えた。
おーーーーーい、と遠方から手を大きく振っている。
小走りでやってきた。
「3分遅刻だ、遅いぞ。あんまレディを待たせるな。」
「ごめんって、厳しいな、、
それよりラナプリンさんにプレゼントがあるんだ。」
そう言ってロロベルトは手に持っていた、アクセサリー的なものを姫に差し出した。
それは、鉄製の小さな拳銃を備えたネックレスだった。
「今日誕生日でしょ?それにアモンが好きって言ってたから、、」
「誕生日覚えててくれたのか、、」
「もちろん、当然のことですよ!!ドヤッ」
「やるじゃねーか、ありがとな!」
まさかのプレゼントに少し照れる。
さっき怒ったのがすごーーーーく申し訳なく感じてきた。
早速、首につけてみる。
サイズが合わず犬の首輪みたいになっているが、悪くない。
ロロベルトはサイズが合っていないことに残念がっている。
ロロベルトのことを少し見直したような気もする。
すると、なんだか村中が騒がしくなってきた。
各方面で騒ぎ声や雑踏が聞こえてくる。
カチカチカチと甲冑を着た男たちが、まとまりをもって走り回っている。
「村人の方は直ちに避難してください!!」
甲冑を着たハンターが村人に避難誘導をする。
「何かあったのか?」
避難誘導をしているハンターに聞くと、
「あれを見てください!」
と、姫たちが通ってきた方面を指差した。
その方向を向くと、姫達が苦労かけて歩いてきた山の近くに、オルデンナイトで見たのと同じ大きなゲートが近くに現れていた。
「今回のゲートは少し異常です。大きすぎる!ここは私たちに任せて早く避難してください!」
ゲート越しに伝わるおどろおどろしい邪険な空気感。中から、青、赤、白など色に富んだゴブリンが大量に溢れて来ている。そしてその後に出て来たのは黒いゴブリン、ブラックゴブリン。
おいおい、流石にブラックはここにいるハンターでは無理だろ。
逃げるわけにはいかない。村人を助けるついでにせっかくホワイトゴブリンもいるし、、
「いや姫たちもハンターだ。一緒に戦う。
行くぞロロベルト!」
「オッケー!!」




