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姫はガトリング使い  作者: 木村裕貴
冒険編
34/36

グランエリー村へ

 自分の飼い主的存在であるロロベルトがピンチに陥った為、助けなければという精神が働いたのか、チカは本来の巨大な姿へと変貌し、トレスを丸呑みした。

 幸い、パクパクしている素振りはないため、噛み砕かれてぐちゃぐちゃになっているという事はなさそうだ。


 「おい、大丈夫か?」


 「ゴホォッゴホォッ、」


 過呼吸気味になっているロロベルトは深呼吸をし、冷静さを取り戻そうとする。

 地面に四つん這いになり、さっき食べた川魚を嘔吐する。

 

 「大丈夫、、そんなことよりチカ!吐き出せ!!」


 チカの巨大な首から胴体にかけて人間形の膨らみが移動していく。

 まもなく胃液に到達するであろうタイミングでロロベルトはチカに命令をする。


 命を受けたチカは、ゴポォゴポォという不快な音をたて始める。

 すると、胴体にあった人間形の膨らみはチカの頭部に向けて逆流していき、ビチョビチョヌメヌメの胃液と共に、トレスが吐き出された。

 丸呑みのおかげで外傷は無い。

 だが、その衝撃で髪型が崩れている。

 いや、崩れているのではなく、ズレている。


 ヅラだったのか、、


 カツラがズレた事によって、禿げた頭部がチラチラと顔を見せる。

 

 「おーーい、生きてるか?」


 胃液まみれになったトレスの顔をポンポンと叩くが、見事に気絶しており目を覚ます様子はない。

 呑み込まれた事によるショックだろう。 

 それにトレスの下半身あたりから胃液特有の臭いではなく、尿特有の異臭が漂ってくる。

 お漏らしだな。

 なんて情けない。

 

 今ここに禿げたおっさんが、お漏らししながら失神している。

 それを姫とチカは眺め、ロロベルトは四つん這いで呼吸を直している。

 なんというシュールな状況だ。


 確かギルド長って偉いんだよな、、

 これがバレるとまずいが、そもそもこいつらが襲ってきたのが悪いんだ。

 

 また目を覚ますとめんどくさそうだし、とりあえずここは撤収する事にした。

 あ、でもそちらから襲ってきたんだから、少しぐらい物パクっても大丈夫か、、

 

 トレスや他の部下2名の持ち物や服から、地図らしきものをパクった。

 金を取ると真の盗賊になるので、それはやめておこう。


 トレス達を素材の柔らかい土状の地面に寝かせ、姫達はこの場所を後にした。


 

♦︎


 「まずは、ここから1番近いグランエリー村に行くか。」


 「そうだね、ウラディンちゃん達に手紙も書きたいし、、」


 地図が正しければ、姫達が後にした川沿いから1番近い村が、北東付近にあるグランエリー村という所。

 なんせ複雑で込み入った地図なので、姫達が今いる場所は何となくしか分からない。

 勘を信じて、グランエリー村に向かっていく。

 

 道中、また野鳥サイズに縮まったチカはロロベルトに随分と懐いてるようで、ずっと腕にしがみついている。

 

 チカはロロベルトの顔を見つめ、舌を出し、ギザギザの歯を見せている。

 ロロベルトに何か期待しているような顔だ。


 「チカはお前に褒めて欲しいんじゃないか?

 ほら、さっき守ってくれたから、、」


 チカの鼻息が荒くなる。

 姫の予想は当たってたみたいだ。


 「よしよし、さっきはありがとうなー!!」


 ロロベルトはチカの頭をスリスリと撫でる。

 チカはご満悦の表情だ。

 

 「これもうSkillというか、1匹の生き物だな。」


 「確かに、完全に自我があるよね。」


 「そういえば、さっきのハンター達と交戦する前、Skillが出せないとか言ってたが、大丈夫なのか?」


 「あーそうそう、多分俺の戦式はチカありきのものだから、チカが外に出ている以上使えないっぽい。さっきから鼻の効きもわるいし、」


 ロロベルトとチカは一心同体、一蓮托生、生命を共にしている。

 だから中にいた時は、代わりにロロベルトに嗅覚や採掘の能力が付与された。

 ブラックサンドワーム討伐の前に立ち寄った〈定め屋〉でアイルソンが言っていた事を思い出す。


 〈まぁその代わりとんでもない能力が隠れていたりして、、〉


 とんでもない能力とはこの事だな。

 アイルソンを信じるなら、ロロベルトは結構貴重な存在って事だ。

 ならもうちょっと頼り甲斐というステータスを上げて欲しかったな。


 トレスから奪った地図通りに進んでいくと、姫たちの前に立ちはだかったのは、巨大な山。

 

 「マジかよ、これを超えろってことか?」


 「また野宿コースかいな、、」


 フゥッ、よし!!

 頬を叩き気合いをいれ、まだ少し残っている眠気を飛ばしてから、山の麓からスタートしようとすると、

 

 シャッッッッッ


 姫達の前に突如現れたのは人間ではなく、金棒を持った小人だ。

 この小人、前にクエストで行ったことがあるから分かるが、ゴブリンだ。

 色は黄色。

 最低ランク、数は5匹。

 既にこの世界にモンスターは蔓延していた。


 姫は試しに一度も使ったことがない黒・小武弾でイエローゴブリン目掛けてトリガーを押す。


 「いけいけーー!!」


 ロロベルトは少し離れた所で、姫のガトリングを持つポーズを真似しながら、応援してくる。



 「キェェーーー」

 

 トリガーを数秒間長押しするまでも無かった。

 脳天に1発ずつ、ささやかな断末魔をあげて5匹は死んでいった。

 まぁ上位種であるブラックゴブリンの弾丸だからそりゃそうか。


 にしても慣れとは怖いな、この程度のモンスターがいきなり現れても、先のトレス戦同様、ロロベルトですらもうびびっている気配がない。

 田舎で、野良猫が前を横切ってもいちいち動じないのと同じだ。


 

 ゴブリンを倒し終えると、ロロベルトは待ってましたとばかりに自分の仕事に取り掛かる。

 が、今はチカが外にいるので、ロロベルトはただチカに命令することしかできない。

 チカは熟練の職人みたく、爪と鼻を生かし、死体のゴブリンを漁っていく。


 〈黄・小武弾を生成しました。〉


 「糧化」

 

 【糧化】


 黒・小武弾に黄色を混ぜて強化する。


 黒・小武弾の威力が少しだけ増したような、そんな気配がした。


 


♦︎


 昨夜野宿した場所、トレス達と交戦した場所でもある川辺を後にしてから2時間ほどが経った。

 足場が悪い険しい山道も順調に進んでいる。

 この山の麓に現れた5匹のイエローゴブリン達はただの序章にすぎず、山道では何十匹、いや何百匹ものゴブリンに遭遇した。

 ランクは黄色から赤色と高ランクである黒色や白色とはなかなか出会さなかった。

 今の所の〈小武弾〉の進捗具合は、まず黒・小武弾があり、そこから山麓で倒した黄・小武弾。

 先程倒した赤・小武弾に、ジークとフリードでクエストに行った際入手した青・小武弾。

 

 ゴブリンは5色中4色を倒している。

 〈糧化〉を考えると、あと1色、白・小武弾を入手すると、小武弾の強化はコンプリートする。

 

 ドサッッッッッツ


 また大量に現れやがった。

 見たところ、、、

 クソって、ホワイトゴブリンがなかなかいない。

 レアキャラなのか?

 それともこいつらがモブすぎるのか?

 

 木々の緑色に、地面の茶色、ゴブリンの赤色、青色、黄色と、視界がカラフルすぎて頭おかしくなりそうだ。

 

 でも一体一体はかなり弱いので、正直狙い定めずとも、目を瞑ってでも余裕なくらいだ。

 飼い主であるロロベルトのピンチを悟ったチカも共闘してくれるようになったので、姫の負担が少し減った。

 


 ようやっと山を下り終え、広がった景色は深緑の目に優しい草原だった。

 その草原の中に大きな村がドシっと構えていた。

 

 「やっとあったぞ!!やっぱ地図は正しかったんだな。」


 「はぁーーー、疲れた。

 こういう時は甘いもの欲しくなるよ。」


 「おっ、分かってるな、

 こういう時はオレンジジュースに限る。」


 乾き切った姫の体内を潤す、至高の果汁ドリンク、オレンジジュースを求めて、

 そして、モンスターがいた場合に村人を守るという最初に立てた目標を果たす為、グランエリー村に向かった。

 

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