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姫はガトリング使い  作者: 木村裕貴
王国編
3/36

まさかの事実

 居合切りの余韻が残っている黒オークは、振り返るのに少々時間を要している。

 よし、やっと振り向いたか、ノロマめ!

 黒オークの頭部に目掛けて、トリガーを押す。

 ドドドドドドドドドドォォォォ

 物凄い重低音。

 姫は、反動でどんどん後退していく。

 連射するとなったら、目標に狙いを定め続けるのは至難の業だ。

 最後の方はほとんど宙を撃っていた。

 だが、最初の数撃は当たったようだ。

 黒オークの頭部は、破壊され、何とか形を保っているゴッツイ体は、膝から崩れ落ちた。

 よっしゃー倒したぜー。

 案外余裕だったな。


 帰宅用のゲートが現れる。


 にしても、この剛圧弾っていうのはヤバいな。

 オークの頭部を貫くどころか、背景の岩壁までも貫き、その貫通痕からは姫達が最初にいた入り口が見えるほどだ。

 〈Passive Skill 反動耐性を習得しました。〉

 〈Passive Skill 狙い名人を習得しました。〉


 きたー、またなんか習得しちゃった、、

 チッ、相変わらず抽象的だが、今回も何となく理解はできる。

 

 「ゴホォゴホォ」

 ロロベルトは、未だに咳き込んでいる。

 「おい、いつまで寝てんだ、、素材集めはお前の仕事だろ、、、おい、ロロベルト?」

 返事はない、なんか様子おかしくね、

 用心深く近づくと、

 「おい大丈夫か?」

 ロロベルトは、身体の至る所が紫っぽく変色していて、吐血をしている。

 毒か?さっきのオークの攻撃が当たってたのか?

 回復薬とかないぞ、

 でもなぁ、前世の恨みで見殺しにしとくという案も、、

 クソっ、流石の姫でもそれは出来ない。

 まぁ、こいつは素材集めてくれるし?

 助けてやってもいいかな?

 ってどうやって助けるんだよ、、

 

 〈Active Skill 共有を実行しますか?〉

 おっと、さっきの意味わからんやつか。

 共有、、、とりあえず

 「実行!」


 【耐毒 共有】


 〈対象サーベル・ロロベルトに耐毒を共有しました。〉

 そういう事か!自分の能力を付与できるって事ね。

 「ゴホォ、、ラナプリンさんありがとう、、ゴホォ」

 「これで貸し2つになったな。」


 世話の焼ける奴だ。


  

 さっきまでの苦しみが演技かのように、すっかり元気になったロロベルトは、黒オークの素材集めを始めた。

 

 「こんなもんかな?どうこれ?」

 オエッ

 「何でまたそんな余裕なんだよ、、、」

 涙が出てきた。

 オエッーー


 〈ブラックオークの皮膚、ブラックオークの筋肉、ブラックオークの心臓、紫竜剣〈シリュウケン〉のカケラを使って弾丸を作りますか?〉


 「作る!」


 〈ブラックオークの部位、アイテムから、

  黒・剛圧弾

  白・紫竜弾〈炎〉

  白・紫竜弾〈毒〉を生成しました。〉


 めっちゃ作るやん、、それに炎とか毒とかちゃんと異世界やってるって感じだな!

 〈黒・剛圧弾、その他2つのコピーを実行しますか?〉

 「もちろん、実行!」

 

 着々と弾丸も増えてきているな。

 

 すると、屍となったブラックオークの地面からいきなり魔法陣のようなものが現れた。

 そして、1部位も残さずどこかへ消えてしまった。

 どこに行ったのか?


 姫達は村に帰る為、ゲートを潜った。

 

  

 ゲートを抜けた先は、クエストにいく際に潜ったゲートの場所だった。

 

 姫達の前には、白髪に長い髭を設えた長老みたいな人と、モンスター討伐の受付の女がいた。

 なにやら、2人は涙ぐんでいる。

 だが、目尻と頬は上がっていて、嬉し涙である事が窺える。

 「奇跡じゃ、、よくぞご無事で帰還なされました!」

 長老が、姫の肩を揺さぶりながら、討伐の帰還を喜んでくれたが、ちょっと触るのはやめて欲しい。

 「触るな、、」

 「ああこれは申し訳ありません。」

 長老は深々と頭を下げる。

 「すいません、この人は私の祖父でございまして、ここペングラム村の村長なんです。」

 受付の女が姫を宥める。

 

 「なんで、そんな偉い人が俺たちの帰還をそんなに喜んでるんですか?」

 姫が疑問に思っていたことを、ロロベルトが代弁するかのように質問する。

 

 、、、

 少し間が空いて口を開いたのは長老だった。

 「実はですね、、、今我々がいる国を牛耳っているのは、オルデンナイト王国という所なんです。

 ここペングラム村は、その国の傘下みたいなもので、、

 そして、丁度一月程前、オルデンナイト王国の王族の方から、

 〈一月以内にペングラム村から優秀なハンターをこちらに派遣しないと、用済みの区域として貴様らごと村一帯を排除する。〉

 という、文面が送られてきまして、、」

 

 とんだ獰猛な王族だな。

  

 「大変情けないのですが、このような事実を村人に言う勇気はありませんでした。

 我々は、パニックになりました。どうしたら一月という短い間で優秀なハンターを見つける事が出来るだろうかと、、

 この村の現役ハンターが討伐可能なモンスターの最高ランクはBランクです。これだと王国の言う優秀なハンターに値しない事は、重々承知していました。

 そこで無礼ながら、ハンターの称号を授かった方に、Dランクのモンスターと嘘をついて少数でクエストに行かせ、Sランクのモンスターを討伐させにいく事にしました。」

 

 はぁ?

 

 「もし生きて帰って来られたのなら、その方が我々の希望であり、優秀なハンターなのではないかと、、

 しかし、一月以内に「俺たちに任せろ!」などとおっしゃられたハンターの方達は、クエストに行ったきり誰1人としてこの村に帰ってくることはありませんでした。」

 

 やってる事やべーぞこのジジイと女。

 文頭に「無礼ながら」と一言添えたからといって、内容のエグ味が薄まる事は無いぞ。


 でもまぁ、そうなると姫達は優秀ということになる。

 転生先輩達には悪いが、あまり気分は悪くないぞ。

 

 「じゃあ俺たちは、優秀ってことですね、、ハァッハァッーー!」

 ロロベルトも姫同様、有頂天になっている。


 

 「Sランクレッドオークを倒したお2人なら、きっと王国の方にも認めてもらえる筈です。」

 受付の女は、期待を込めた目を輝かせながら、姫達に語りかけてきた。


 というか、どちらかというと褒めて欲しいのはブラックオークを倒した事なのだが、、

 


 「どうか、王国へ行き私達を救っていただけないでしょうか?」

 

 

 完全ヒロインコース来ました!

 

 「もちろん行くぞ!」

 「ありがとうございます!」

 「手続きでもしてる間、コーヒーでも頂こうかな、」

 調子に乗って、苦手なコーヒーとか言っちゃった、、

 「俺はじゃあ、ブラックコーヒーにしようかな、もちろん砂糖とミルク無しでね!」

 やはりロロベルトもテンション爆上がりだ。

 イキリ慣れてないのか、ブラックコーヒーの砂糖無しとか言う訳分からん注文をしている。


 「あっ、もう手続きは済んでますので、今すぐオルデンナイト王国の方へ行っていただきたいのですが、、」

 恥ずっ、調子乗った罰だな。というか、手続き済んでるって、、なんで承諾する前に勝手に手続きしとんじゃ。


 「それと、そもそもブラックコーヒーには砂糖とミルクは入ってませんよ。」

 おい、やめたってくれ、頑張ってイキったんだから。

 横を見るとロロベルトの顔が、梅干しのように赤くなっている。


 ってかこの女も少しは合わせてくれよ。

 やっぱ王国行くの辞退したろうかな、、


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