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クエスト

 「すまん、無理だ」

 堂々と断る。というか、さっきからの姫の口ぶりに対しては何も違和感はないのか?

 「そっか、分かった!いつか認めてもらえるように頑張るよ!」

 潔いのは立派だ。

 「俺この世界では、サーベル・ロロベルトって言うんだ。」 

 そもそもこいつの前世の名前を知らない。

 「神野さんは何で言う名前なの?」

 ふぅーーー

 「ライムだ!」

 「ライム、、だけ?下の名前とかは?」

 「、、、ラナプリン」

 恥ずかしくて視線をずらす。

 だが、ロロベルトは笑ってる様子はない。

 視線を戻すと至って真剣な顔をしている。

 「いい名前じゃん、良かったね!」

 意外にいい奴だった。

 それに今まで姫を囲む男達の顔なんかいちいち見てないが、こいつはよく見るとまーまーイケメンだ。

 まぁ、付き合うかどうかは別だがな。

 

 「お前も、ハンターになるのか?」

 「うん、そうだよ。〈称号屋〉ってとこに行ったら〈収集家〉って言われてさ、ハンター向けの称号らしいから、今ここに案内されたんだ。

 神野さん、、じゃないのか、、ラナプリンさんは、なんて言う称号なの?」

 よりによって下の名前呼び。

 まぁもう慣れてきたからいいけど、、

 「〈ガトリング使い〉と言われた。」

 「なんかいかついね、、そうだ最初の討伐いくなら一緒に行こうよ!」

 抵抗はあったが、1人で行くのは正直ビビっていた。 

 もし自分の身が危なくなったら、前世でされたことを仕返してやろう。

 「おう、いいぞ。」


 しばらくして受付の女が戻ってきた。

 「こちらがDランクのモンスター表です。」

 その表には、モンスターが1ページいっぱいに載ってあり、特徴や狩った時の報酬額などが記載してある。

 1番最初のページには、おっ、、オークだ!

 異世界系の定番、本当にいるんだなぁ。

 フィジカルに特化してある以外、特に魔法のような能力は持ってないようだ。

 初陣にしては、いい敵かもしれない。

 「よし、ロロベルト!こいつに行くぞ!」

 「うんわかった。」


 「ターゲットとなるモンスターを倒したら、ゲートが現れてここに戻ってくる仕組みなので、それではご武運をお祈りします。本当にお祈りします。どうか、、」

 めっちゃ念入りに祈るやん。

 なんか妙だぞ。


 受付の女は、両手に力を込めた。

 また何かの魔法か?

 魔力が溢れてくる。

 すると、女の横にはおどろおどろしい色をしたゲートが現れた。

 ゲートを潜ると、どこかの火山の麓にある洞窟にどうやらワープした。

  ダンジョンというやつか、


 「そういえば、ラナプリンさん、どこにガトリング仕込んでるの?」

 、、、あ、やべ

 何も聞いてなかった。

 確かにガトリングなんてどこにあるんだよ。

 まず最初にやるべきだったのはガトリング探しの旅じゃねーか。

 これって帰れんの?

 早速ピンチ!


 「すまん、まだ持ってなかった、、、お前の〈収集家〉ってやつでどうにかならないのか?」


 「んー、どうだろう?でも〈称号屋〉の店主に言われたのは、〔絶対に戦闘ができる方と討伐に行ってください、あなた1人じゃすぐ死にますので〕とは言われたけど、、」

 はい馬鹿でした。

 なんで早速こんな見た目がか弱い女の子を戦闘できる人として認めてんだよ。

 姫達が生きるか死ぬかは、姫にかかってることでしょ?

 プルプル

 足が震えてきた。

 そもそもガトリングなんてねんだよクソが、、

 どうやってオークを倒せば、、

 こいつを盾にして逃げるか?

 駄目だ、オークを倒せないと姫も帰れないのだった。

 鬼畜すぎる。

 

 すると、ドンドンドンドン

 と、ドンドン大きくなってくる足音。

 人間のサイズじゃない。

 

 洞窟の岩から姿を現したのは、全身が赤に染まっている、体長5メートルほどあるオークだ。

 手には金棒のような武器を持ってあり、姫達に気付いた模様だ。

 薄暗い洞窟から目を光らせ、こちらに突進するかのように走ってきた。

 

 「おいロロベルト、なんとかならないのか?」

 「なんとかって無理だよ。逃げよう。」

 「逃げれるわけねーだろ。すぐ追い抜かれるわ。」

 考えろ考えろ、、

 そうだ、

 「お前の〈収集家〉ってのは、本当は〈臭臭家〉っていう可能性はないのか?

 激臭で敵を倒すとか、、」

 自分でも何言ってるのか分からなくなってきた。

 「やってみるよ」

 ロロベルトは、お尻に力を入れ出した。

 「でろ、屁でろ、、んぅーーー」

 力んでるが出る気配はない。

 自分で言っといてあれだが、〈臭臭家〉な訳ない。

 何だその情けない能力は。

 あとなんでこいつはそれを受け入れたのか、、

 目の前までオークがきた。

 自身の半身ほどある金棒を頭上に振りかざす。

 死んだ、、早かったこの異世界生活。

 ロロベルトは、健気にひたすら力を込めたお尻を突き出して、頑張っている。

 、、、力を込める?

 あ!そうだ!

 服屋の女店員、称号屋のおっさん、クエスト案内の女は両手に力を込めていた。

 そしたら魔力みたいオーラが溢れてきて、、

 

 一か八か、ここで何も出なかったら終わり。


 考える暇もない、姫はすぐ握力計を握るように両手に力を込める。

 すると、紫色の禍々しいオーラが全身からファッと溢れ出した。

 キタキタ、、

 そのオーラは、虚空をこじ開けるようにゲートを開く。

 ゲートから姿をチラ見せしたのは、、

 銃身だ!

 やっぱり銃だった。

 アモンが愛用していた銃の形とは少し違うが、これなら倒せるのではないか?


 よしこいこい、、

 え、、、

 銃身なんか大きくね?

 ってか何個あんの?

 ゲートから出てきたのは、銃身が10個ほどあり、大型バイクほどの大きさをした銃だった。

 これかよ、、ガトリングって

 はー?こんな大きい物持てるわけねーだろ、

 いくら体育の成績が良くても、こんな物、、

 オークの金棒は今まさに、姫の頭の真上にある。

 考える暇はない、、だが、その重々しいガトリングに手が触れた瞬間、、

 なんか軽いぞ、、軽すぎる、、

 例えるなら、道で見つけた蟻を拾った感覚。

 そう!持ってないのに等しいという事。

 軽々しく持ち上げると、オークに狙いを定めトリガーを押す。

 ドドドドォォォォォォ

 洞窟内に鳴り響く爆発したような音。

 弾丸はオークの体を貫いた。赤い巨体が地面に倒れる。

 ロロベルトは、まだオナラを出す努力をしていたが、こちらをみて状況を飲み込めた模様。

 

 「やったー、凄いね、どこから引っ張り出してきたの?そんなデカい銃。」

 「力込めたらなんか出てきた。」

 「へぇーー、ちょっとそれ持ってみていい?」

 「いいが、軽いからって暴発させたりするなよ、」

 「分かってるって、、」

 姫は、ガトリングをロロベルトに渡した。

 すると、ロロベルトは刹那に視界から消えていった。

 気づくと、ガトリングの下敷きなっていて悶えている。 

 「助けてー、おぉいー、」

 ロロベルトは男だし、その中でもガタイはそれなりにいい方だ。

 姫が力持ちなのか、、

 スッとガトリングを上に持ち上げる。

 やはり軽すぎる。

 「ふぅー助かった、、こんなの重すぎて持てないよ、なんで持てるの?」

 自分でも分からない。

 これが〈ガトリング使い〉の特権なのだろう。

 

 ロロベルトは、服についた汚れを払い、警戒する事なく、死体のオークに近づく。

 「オークってやつだよね、本当にいるんだこんな化け物、、」

 もし生きてたらどうすんだよ、、本当の馬鹿だこいつは、、

 〈臭臭家〉が言えた話じゃないけど、、

 

 「ん?なんか拾ったよ、、なんだこれ?」

 ロロベルトはオークの死体から何かよく分からない物体を持ってきた。

 「ちょっとまて、汚そうだからこっちにやすな」

 悪臭が漂ってそうな雰囲気がある。

 「汚くないよ、ほら」

 近くで見るとそれは、ウワっ、オエッ、

 胃液が逆流してくる。

 恐らく、オークの赤い皮膚、それにどっかの内臓だ。

 ロロベルトはそれを素手で持っている。

 ばっちぃ〜、ってかよく平気だな。菌とかあるだろ。

 今に吐きそうなので汚物から視線を逸らそうとすると、

 ポォんとウィンドウが開く音。

 見ると、

 〈skill合成を習得しました。〉

 〈レッドオークの皮膚、レッドオークの心臓、レッドオークの睾丸を使って弾丸を作りますか?〉

 何もしてないのになんかskillを習得しちゃった。弾丸とか超最高じゃん!

 これもほとんど努力をせず常に勉強や運動の成績がTOPだった前世の名残なのか?

 それよりも、ロロベルト、こいつどうやってオークの内部にあるものを取り出しのだろう。

 〈収集家〉の能力だろうが、意外と姫の能力と相性良かったりして、、

 いや、こいつは顔だけだ、姫とは釣り合わない。

 

 とりあえず、なんか弾丸を作ってくれるみたいなのでウィンドウに向かって「頼んだ!」と答える。

 

 途端、ロロベルトの手の上にあったオークの残骸は、魔力のようなオーラに纏われ、みるみる混合していく。

 ロロベルトの手に残ったのは、1つのゴーヤ程の大きさをした弾丸。

 〈レッドオークの部位から赤・剛圧弾を生成しました。〉

 剛圧弾、響きは強そう!

 するとまた、ポォんという音。

 〈skill無限コピーを習得しました。〉

 〈赤・剛圧弾のコピーを実行しますか?〉

 「実行する!」

 瞬間、ロロベルトの手にあった1つの弾丸は、両手に収まりきれないほどドンドンと増えていき、その増えた弾丸は、姫の傍にできたゲートへと吸い込まれていった。

 これでいつでもこの剛圧弾ってのを使えるって訳か、、

 やはり異世界は楽しい所だな!

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