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ブラックグリフォン

 「どう言う事ですかな?エイム国王よ。」

 「はて、何のことでしょう?

 わざわざ遠くからお越しになって。」


 エイム国王はハヴレイン国王からの弾劾にとぼける。

 周りにいるトリビアのギルド長らしき人物達は、顔を顰めている。


 ハヴレインは、自国のハンターであるラナプリンを攫われたことを咎めるも、嘯かれる一方。

 次第に怒りも溜まってきて語気が荒くなるも、すかされてしまう。

 これは感情戦である。

 冷静さを欠いて良いことなどない。

 比較的良好だったトリビア王国がなぜこのような行動をとったのか?

 

 「エイム国王、ラナプリンは転生者であり、我が国のイチハンターだ。

 自国の民を守るのも国王の仕事。」

 

 「もちろんですとも。」


 「それでは宣戦布告という事ですよろしいか?」


 「そこまでは言ってないのですがね、

 そう受け取るなら勝手にしてもらって結構。」

 今から戦争が起こるかもしれないのに、この余裕っぷり。

 ハヴレインは少し違和感を覚えた。


 「エイム国王、お主は本当にエイム国王か?」


 「他に誰がいましょう?

 〈道化師〉の称号を持った人間が、私に化けているとでも?」


 「その可能性を疑っている。」


 「国王に化けて、勝手に交渉を進めるなど、、

 人間の仕業ではないでしょうに、」


 「そうじゃな、」

 ハヴレインはそう一言を残し、護衛を連れ自国に戻った。


 「奴の目は本気じゃった、」

○○○


 「ジャックはもう元に戻ったのか?」

 「あぁ、強いショックを受けた後でも、時間が経てば大体ケロッとしている。

 嫌な記憶は脳から抹消してんだろ。」


 ブラックグリフォンのゲートを潜った先は、暴風が姫達を襲う劣悪な環境。

 今までの暑いや寒いよりも不快。

 不快すぎる。

 潜って早々に風で飛ばされそうになったロロベルトに、習得したての〈耐風〉を共有する。

 暴風雨で視界不良の中、重い足取りでダンジョンを進んでいく。

 ジャックは、先ほどまで付けていなかったペンダントを首にかけ、葉巻を加えながら闊歩している。


 「誰の写真なんだ?そのペンダント。」

 つい気になってジャックに問いかけてみる。


 「これか、分からん。

 ただ、戦闘の時は必ずつけるようにしている。

 何故か知らないが、この人に身を守ってくれてる感じがしてな。」


 知らない人の写真を普通身につけるか?

 こいつの価値観が全く読めないな。


 すると、ガァァァァァア

 と近くの上空から鳴き声。

 見上げると大きい鳥が3匹天を舞っている。


 「レッドグリフォンか。

 前哨戦にしては良い相手じゃないか。

 チーム〈ワイルディンズ〉、まずはお前らのチーム力とやらを見せてもらおうか。」


 そう言ってジャックはデラマルスと後方へ下がる。

 ロロベルトの属性的に空であるグリフォンは相性が悪い。

 となると姫、ウラディン、ゼムライで1匹ずつ倒せばいいか。


 「黒・剛圧弾、自動装填オートセット!」

 

 まずは向かってくる獲物の頭を狙う。

 だが、軽すぎる身のこなしでするりと躱されてしまう。

 だが、躱した弾丸はグリフォンの背後に回ると、ブーメランのように迂回してこちらに戻ってくる。


 〈封器skill 追跡弾チェイサー

 一度狙いを定めた獲物に当たるまで追い続ける為、空を飛ぶモンスターに対しては最適なskill。


 背後から迫り来る弾丸に気づかないグリフォンは、姫に刃物のように尖った鉤爪で攻撃を試みたが、その瞬間 追跡弾チェイサー がグリフォンの後頭部を射抜いた。


 周りを見るとウラディンは、ヘンテコなダンスを踊っている。

 ゼムライはグリフォンの死体を踏み潰し、「ワッハッハッハー」と、雄叫びをあげている。

 2人も討伐し終えたようだ。


 ロロベルトは素早い手捌きでグリフォンの死体を漁り、纏布てんぷに素材を詰めていく。


 〈赤・飛竜弾を生成しました。〉


 パチパチパチ

 それを見たジャックとデラマルスは拍手をしている。


 「チームワークはバッチリだな。

 自分の役割を瞬時に理解し、最大限に高いパフォーマンスを発揮している。」


 ジャックとデラマルスは本当に見ているだけだった。

 一切戦闘に参加しようとしてない。

 

 メインターゲットであるブラックグリフォンを探しに一同は歩を進める。


 

 「ウラディン、ゼムライはともかくラナプリン、、転生したばっかりでこの戦闘能力。

 敵国のハンターじゃなくて良かったなぁ。」


 ジャックはラナプリンに畏敬の念を抱いた。


○○○


しばらく歩いていくと、先ほどのレッドグリフォンの鳴き声よりもベース音がしっかりした低い鳴き声が聞こえてきた。


 ゴォォォォォォォォォォォォォ

 ものすごい風圧だ。

 耐風があっても気を抜くと飛ばされそうだ。

 

 王者の風格を出して地上に舞い降りてきたのは、全長20メートルほどのブラックグリフォンだ。

 なるほどこれが正真正銘V王冠か、、

 どうする、鳥肌止まんねーぞ。

 確かこのクエストの推奨人数100人以上だったよな。

 いざターゲットを前にして不満が溢れる。

 何で姫達はこんな過酷なクエストに行かされてるのか、

 

 「ジャック、姫達は別にお前達のチームに入るわけじゃ無い。

 何でこんな上級クエストに行ってるんだ?」


 「おいおい、別に俺らはただお前達を庇ってやる為に国王の頼みを引き受けたんじゃ無いんだぞ。

 俺たちのギルドは強者にしか興味が無い。

 だからこれは試験だ。」


 姫に惚れていた事は本当に忘れているみたいだな。


 「ボスの言う通り、ブラックグリフォンを倒せないようじゃ、俺たちがお前達を庇う必要はない。

 それに、クエストに行く前に言ったピンチだったら俺たちが加勢するってのも嘘だ。

 死なないように頑張ってくれ。」


 とんだクソギルドに引き受けられたもんだな。

 強者しか興味が無いか。

 

 鋭い眼差しでこちらの様子を凝視しているブラックグリフォン。

 なかなか狩りがいがありそうだな。


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