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姫はガトリング使い  作者: 木村裕貴
王国編
2/36

クエスト

 「すまん、無理だ」

 堂々と断る。というか、さっきからの姫の口ぶりに対しては何も違和感はないのか?

 「そっか、分かった!いつか認めてもらえるように頑張るよ!」

 潔いのは立派だ。

 「俺この世界では、サーベル・ロロベルトって言うんだ。」 

 そもそもこいつの前世の名前を知らない。

 「神野さんは何で言う名前なの?」

 ふぅーーー

 「ライムだ!」

 「ライム、、だけ?下の名前とかは?」

 「、、、ラナプリン」

 恥ずかしくて視線をずらす。

 だが、ロロベルトは笑ってる様子はない。

 視線を戻すと至って真剣な顔をしている。

 「いい名前じゃん、良かったね!」

 意外にいい奴だった。

 それに今まで姫を囲む男達の顔なんかいちいち見てないが、こいつはよく見るとまーまーイケメンだ。

 まぁ、付き合うかどうかは別だがな。

 

 「お前も、ハンターになるのか?」

 「うん、そのつもりだけど。

 村人にクエストに行ける場所を聞いたら、ここに案内されたんだ。

  そうだ最初の討伐いくなら一緒に行こうよ!」

 抵抗はあったが、1人で行くのは正直ビビっていた。 

 もし自分の身が危なくなったら、前世でされたことを仕返してやろう。

 「おう、いいぞ。」


 しばらくして受付の女が戻ってきた。

 「こちらがDランクのモンスター表です。」

 その表には、モンスターが1ページいっぱいに載ってあり、特徴や狩った時の報酬額などが記載してある。

 1番最初のページには、おっ、、オークだ!

 異世界系の定番、本当にいるんだなぁ。

 フィジカルに特化してある以外、特に魔法のような能力は持ってないようだ。

 初陣にしては、いい敵かもしれない。

 「よし、ロロベルト!こいつに行くぞ!」

 「うんわかった。」


 「ターゲットとなるモンスターを倒したら、ゲートが現れてここに戻ってくる仕組みなので、それではご武運をお祈りします。本当にお祈りします。どうか、、」

 めっちゃ念入りに祈るやん。

 なんか妙だぞ。


 受付の女は、両手に力を込めた。

 また何かの魔法か?

 魔力が溢れてくる。

 すると、女の横にはおどろおどろしい色をしたゲートが現れた。

 ゲートを潜ると、どこかの火山の麓にある洞窟にどうやらワープした。

  ダンジョンというやつか、


 「そういえば、どうやってモンスター倒すんだろう?」

 、、、あ、やべ

 何も聞いてなかった。

 確かにどうやって倒すんだ?

 生身の身体ではどうしようもないぞ。

 これって帰れんの?

 早速ピンチ!


 「すまん、まだ持ってなかった、、、お前の能力でなんとかならないのか?」


 「んー、どうだろう?

 色々試したんだけど、炎が出るわけでもないし、体が軽いわけでもないし、

 でもラナプリンさんいるし、なんとかなるかなーって、」

 はい馬鹿でした。

 なんで早速こんな見た目がか弱い女の子を戦闘できる人として認めてんだよ。

 姫達が生きるか死ぬかは、姫にかかってることでしょ?

 プルプル

 足が震えてきた。

 どうやってオークを倒せば、、

 こいつを盾にして逃げるか?

 駄目だ、オークを倒せないと姫も帰れないのだった。

 鬼畜すぎる。

 

 すると、ドンドンドンドン

 と、ドンドン大きくなってくる足音。

 人間のサイズじゃない。

 

 洞窟の岩から姿を現したのは、全身が赤に染まっている、体長5メートルほどあるオークだ。

 手には金棒のような武器を持ってあり、姫達に気付いた模様だ。

 薄暗い洞窟から目を光らせ、こちらに突進するかのように走ってきた。

 

 「おいロロベルト、どうにかしろよ」

 「なんとかって無理だよ。逃げよう。」

 「逃げれるわけねーだろ。すぐ追い抜かれるわ。」

 考えろ考えろ、、

 

 目の前までオークがきた。

 自身の半身ほどある金棒を頭上に振りかざす。

 死んだ、、早かったこの異世界生活。

 ロロベルトは、健気に炎が出るわけでもない両手に力を込めている。

 、、、力を込める?

 あ!そうだ!

 服屋の女店員、クエスト案内の女は両手に力を込めていた。

 そしたら魔力みたいなオーラが溢れてきて、、

 

 一か八か、ここで何も出なかったら終わり。


 考える暇もない、姫はすぐ握力計を握るように両手に力を込める。

 すると、紫色の禍々しいオーラが全身からファッと溢れ出した。

 キタキタ、、

 そのオーラは、虚空をこじ開けるようにゲートを開く。

 ゲートから姿をチラ見せしたのは、、

 銃身だ!

 まじで?姫、銃使いじゃね?

 やはり姫は神に愛されている。

 見た目も能力もなりたいようになる、

 この世界は姫のためにあるのだ!!


 アモンが愛用していた銃の形とは少し違うが、これなら倒せるのではないか?


 よしこいこい、、

 え、、、

 銃身なんか大きくね?

 ってか何個あんの?

 ゲートから出てきたのは、銃身が10個ほどあり、大型バイクほどの大きさをした銃だった。

 これガトリングじゃね、、

 はー?こんな大きい物持てるわけねーだろ、

 いくら体育の成績が良くても、こんな物、、

 オークの金棒は今まさに、姫の頭の真上にある。

 考える暇はない、、だが、その重々しいガトリングに手が触れた瞬間、、

 なんか軽いぞ、、軽すぎる、、

 例えるなら、道で見つけた蟻を拾った感覚。

 そう!持ってないのに等しいという事。

 軽々しく持ち上げると、オークに狙いを定めトリガーを押す。

 ドドドドォォォォォォ

 洞窟内に鳴り響く爆発したような音。

 弾丸はオークの体を貫いた。赤い巨体が地面に倒れる。

 ロロベルトは、まだ炎を出す努力をしていたが、こちらをみて状況を飲み込めた模様。

 

 「やったー、凄いね、どこから引っ張り出してきたの?そんなデカい銃。」

 「力込めたらなんか出てきた。」

 「へぇーー、ちょっとそれ持ってみていい?」

 「いいが、軽いからって暴発させたりするなよ、」

 「分かってるって、、」

 姫は、ガトリングをロロベルトに渡した。

 すると、ロロベルトは刹那に視界から消えていった。

 気づくと、ガトリングの下敷きなっていて悶えている。 

 「助けてー、おぉいー、」

 ロロベルトは男だし、その中でもガタイはそれなりにいい方だ。

 姫が力持ちなのか、、

 スッとガトリングを上に持ち上げる。

 やはり軽すぎる。

 「ふぅー助かった、、こんなの重すぎて持てないよ、なんで持てるの?」

 自分でも分からない。

 姫の特権なのだろう。

 

 ロロベルトは、服についた汚れを払い、警戒する事なく、死体のオークに近づく。

 「オークってやつだよね、本当にいるんだこんな化け物、、」

 もし生きてたらどうすんだよ、、本当の馬鹿だこいつは、、

 

 

 「ん?なんか拾ったよ、、なんだこれ?」

 ロロベルトはオークの死体から何かよく分からない物体を持ってきた。

 「ちょっとまて、汚そうだからこっちにやすな」

 悪臭が漂ってそうな雰囲気がある。

 「汚くないよ、ほら」

 近くで見るとそれは、ウワっ、オエッ、

 胃液が逆流してくる。

 恐らく、オークの赤い皮膚、それにどっかの内臓だ。

 ロロベルトはそれを素手で持っている。

 ばっちぃ〜、ってかよく平気だな。菌とかあるだろ。

 今に吐きそうなので汚物から視線を逸らそうとすると、

 ポォんとウィンドウが開く音。

 見ると、


 〈Active Skill 合成を習得しました。〉

 〈レッドオークの皮膚、レッドオークの心臓、レッドオークの睾丸を使って弾丸を作りますか?〉


 何もしてないのになんか能力を習得しちゃった。弾丸とか超最高じゃん!

 これもほとんど努力をせず常に勉強や運動の成績がTOPだった前世の名残なのか?

 それよりも、ロロベルト、こいつどうやってオークの内部にあるものを取り出しのだろう。

 意外と姫の能力と相性良かったりして、、

 いや、こいつは顔だけだ、姫とは釣り合わない。

 

 とりあえず、なんか弾丸を作ってくれるみたいなのでウィンドウに向かって「頼んだ!」と答える。

 

 途端、ロロベルトの手の上にあったオークの残骸は、魔力のようなオーラに纏われ、みるみる混合していく。

 ロロベルトの手に残ったのは、1つのゴーヤ程の大きさをした弾丸。

 〈レッドオークの部位から赤・剛圧弾を生成しました。〉

 剛圧弾、響きは強そう!

 するとまた、ポォんという音。

 〈Active Skill 無限コピーを習得しました。〉

 〈赤・剛圧弾のコピーを実行しますか?〉

 「実行する!」


 【赤・剛圧弾 無限コピー】


 瞬間、ロロベルトの手にあった1つの弾丸は、両手に収まりきれないほどドンドンと増えていき、その増えた弾丸は、姫の傍にできたゲートへと吸い込まれていった。

 これでいつでもこの剛圧弾ってのを使えるって訳か、、

 やはり異世界は楽しい所だな!




 それにしてもターゲットとなるオークは倒した筈なのに、さっきいた村に帰れる気配がない。

 他にも何匹か倒さなければいけないのだろう。

 初戦から早速死にそうになったから、とりあえず今日の所は早く帰りたいのだが、、

 「まだオークはいるみたいだね、ささっと倒しちゃおう!」

 相変わらず呑気なロロベルト。

 倒すのは姫なのに、何自分も戦闘できるみたいな感じだしてんだよ。 


 洞窟も入り口から離れ、奥へと進むにつれ視界も悪くなる。

 松明が欲しい。

 

 姫は慎重に歩を進めるが、ロロベルトはまるで朝の河川敷沿いを散歩するように、足元を躊躇う事なく進んでいく。

 「おい、ロロベルト!なんだ、目がいいのか?」

 「いいや、全然見えないよ、ただ、ここら辺に何があるとかは何となくだけど分かるんだ。、、何でだろう?」

 

 姫は、目を凝らしつつ、ロロベルトの指示も聞きながら、前へ前へと進む。

 少し地面が安定すると、気になっていた質問をした。

 「ところでロロベルトよ。なんでお前は姫の口ぶりに対して普通に接してるのだ?」

 「あー、学校では清楚だったのに、今はオタクみたいな話し方になっている事?」

 なんか傷つく。

 「そうだ。」

 「いやいや、みんな気づいてたよ、ラナプリンさんが清楚じゃない事、、」

 「え?みんなって、、どの範囲で?」

 「うーん、それは分からないけど、少なくとも、登下校の時にラナプリンさんを囲んでいた同じ学校の学生達や、同じクラスの人は全員じゃないかな?」

 えーーーーーー!

 はずっーーー

 ってかなんでバレてんだよ、、

 「その、、いつから?気付いてたの、、」

 「高校入ってすぐ、、」

 「まじ?」

 「まじ、まじ、」

 「どうして分かった?」

 「それは分かるよ、、だってラナプリンさん、走った時とか忍者走りっぽくなるし、俺たちに手を振ってくれる時とか、拳銃を持ったような手の形で振ってくるから、何となく察しはついていたよ。」  

 やめてくれ、、はずい、はずい

 素が無意識に出てたのか、、

 

 「でも1番の決め手となったのは、ラナプリンさんが授業中に珍しく寝てた時かな、、」


 ゲームのやり過ぎで、徹夜してた時か、、


 「隣のクラスの人たちにも聞こえるくらいの声量で、〈我はミナト姫なり!貴様の醜いその姿、銃の化身であるこのミナト姫が撃ち抜いてやろう!プシュッーー〉って、ちゃんと効果音もつけて寝言を言ってたからさ、、」

 バカじゃん、、何してんの私、、なんかもう姫呼びも恥ずかしくなってきたわ、、

 いや、ダメダメ、ポジティブに捉えろ!これは個性だ。

 「そうか、まぁあれは、その、、わざとだがな、、」

 苦し紛れの見栄を張ってしまった。

 「そうだったんだ、本当の寝言かと思ってたよ、、」

 良かった、こいつも馬鹿で。



 

 細くて暗い洞窟道を抜けると、大型ライブハウス程の広さがある空洞になっていた。

 天井の岩と岩の間から隙間があり、そこから日光が差して、視界は明るくなった。


 なんか至る所に骸があるぞ。嫌な予感、、

 

 その空洞に足を一歩踏み入れると、

 ゴォォォォという地響き。

 何かが来そうな予感がする。

 姫は、ロロベルト同様挙措を失った。

    

 すると、どっから出てきたのだろうか、、

 上から降ってきたのは、先ほどの赤オークの、、軽く見積もって10倍程のデカさをした、全身が漆黒に染まったオークだった。

 手には持ってるのは金棒、、じゃない、、

 なんか斬れ味が凄そうな太刀とでも言おうか、、紫と赤のオーラを纏っている。

 先の赤オークとは比べ物にならない圧を感じる。

 絶対強いやん、、こんなの、

 

 「よし、任せたラナプリンさん!」

 ロロベルトは、姫の後ろにササッと隠れやがった。

 男とは思えないほどの頼りなさ。

 

 仕方なく姫は、ガトリングを構え直す。

 そうだ、さっきの剛圧弾を使ってみよう。

 ゲートから大量の剛圧弾を取り出す。

 、、、えっと、、これはどこにセットすればいいのやら?


 黒オークは、太刀を構え出した。

 侍の居合い切りのような構えをしている。

 これってやばいスピードで、いきなり迫ってくるやつじゃね、、

 やばいやばい、どこだどこだ、、

 あ、銃口に直接入れてみよう!

 よし、スッポリ入った。

 黒オークの頭部を狙って、トリガーを押す、、

 ポトン、、

 弾丸の飛距離10センチ。

 単に重力の関係で飛び出ただけ。

 そりゃそうだろ、、何やってんだよクソが、、

 待って、姫ピンチの時毎回奇行に走ってない?

 ハァッハァッーー 


 ってそんな暇ねぇ、

 「おい、ロロベルト、この弾丸どこに装着すればいいんだ?」

 「え、そこから? んーー、えっと、、あっ!銃口に直接入れてみれば」

 あかん、、聞いた奴が間違いだった。

 

 パキッ、、

 地割れの反応すると、黒オークは姫の1メートル先まで迫っている。

 速っ、、今の一瞬でここまで?

 でも何でだろう、意外と冷静に考えられている。

 ポォん

 〈Passive Skill 適応神経を習得しました。〉

 咄嗟に後ろで縮こまっているロロベルトの頭を掴み、地面に抑えた。

 と同時に、姫も体を伏せる。

 

 ブゥゥゥーン

 刀身が姫達の頭上を空振る。

 空を斬り裂く鈍い音がした。

 すると同時に姫達の周りを深紅の炎が囲み、そこから紫色の煙を放ち始めた。

 地面に突っ伏しているロロベルトを担ぎ、急いでその場から離れる。


 あぶねぇー、当たったら終わりだったぁー

 

 ロロベルトは?、、、咳き込んでいるが一応無事か、、

 こいつがいないと、モンスターの素材を集められないからな。

 この貸しはいつかちゃんと返してもらおう。


 それにしても、よく躱せたなぁ

 なんかギリギリで習得した能力のお陰か。

 躱すのに必死でよく見れなかったが、

 えっとー、〈Passive Skill 適応神経〉

 おう、いいじゃん!

 ステータスのバフ的な?



 というか待てよ、雰囲気で飲み込んだけど、よく考えたら適応神経って何だ?


 つーか、なんかもっと説明は無いのかよ、

 なんだよ〈適応神経〉って

 ザックリ過ぎるわ。

 まぁいい、とりあえず弾丸を仕込む弾倉のような物を探すぞ、、

 これか?違う、、えーっとー、、

 ポォん

 あーまたきた、次は何だよ、


 〈Active Skill 共有を習得しました。〉

 〈Active Skill 自動装填を習得しました。〉

 〈Passive Skill 耐毒を習得しました。〉

 〈Passive Skill 耐熱を習得しました。〉

 

 もう、鬱陶しいないきなり、、

 この数秒間で、姫の身に何が起こったんだよ。

 でもまぁ、今回の能力は何となく意味が分かるぞ、、

 1つ目の〈共有〉ってやつを除いてはな。

 

 〈Active Skill 自動装填が使えます。〉


 自動装填オートセット、勝手に弾丸をセットしてくれる能力なら便利だぞ!


 今使えるなら丁度いいな!

 「使う!」


 〈どの弾丸を使用しますか?

  ノーマル ←

  赤・剛圧弾         〉


 「赤・剛圧弾〈あかのごうあつだん〉!」


 【赤・剛圧弾 自動装填オートセット

 

 すると、ベルト状になった弾丸の束が給弾口へとどんどんセットされていく。

 いいねー、便利便利!


 よし、剛圧弾ってのがノーマルとどう違うのか知らねーが、一丁撃ってみるか!

 



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