異世界転生
気がつくと、私がいたのは見知らぬ村だった。
あちこちで村人達の話し声が聞こえてくる。
ここ異世界じゃね?
私に気づいた周りの村人達は、何かざわざわとしている。
視線を下におとすと、制服姿のままである。
明らかに私だけ場違いだ。
そもそも何でこんなところにいるの?
、、、そうだ、私車に轢かれたんだ。
意識を失う前に見た光景。
あの暴走運転手は、前にモブ男達の列に紛れ込んでいた禿げたおっさんだった。
なんかやばそうな雰囲気出してるとは思ったんだけど、本当にヤバいやつだったんかい。
あの野郎、殺してやろうかな。
あ、殺されたのは私か、、
クソーーー、、
まぁ別にいいか、、
こっちの世界では誰1人として私を知る者はいない。
もう自分を偽る必要がない。
やったー自由だーー。
、、で、どうすればいいのか、、
当てもなくとにかく歩を進める、すると
ポォん
とゲームのウィンドウのような画面が出てきた。
あー私のプロフィール的なやつね、、
普段からこういう世界しか考えていなかったとはいえ、こんなにすんなり受け入れられる人はいるだろうか?
ふむふむ、、
〈name〉の欄、異世界の私の名前か。
えっとなになに?
ライム・ラナプリン
はぁーー?なんだこの名前
ライムはともかく、ラナプリンって
プリン、、
語呂はいい、、って話じゃないの。
ラナでいいじゃん、、リンでいいじゃん、
何でくっつけて、間にプを捩り込んだんだよ。
異世界を知り尽くした私には分かる。
この名前は変えられない。
私はライム・ラナプリンとして生きていかなければいけない。
仕方ない、、名乗る時はライムと言おう。
それでだ、次、
〈crown〉
王冠?称号とか職業みたいなものか?
横にはnoと記載してある。
まぁそうだろう、なんせ前世ではただの学生だったのだからな、、
次、
〈god crown〉
直訳すると神の王冠?
横には天才肌と記載してある。
god crownと天才肌というのが、どう姫に作用するのかは分からないが、これに関しては納得だ!何だか気分が良い!
よく分かってるじゃないか、異世界さんよー。ヘェッヘェー
よし!
まずは服を買わなけりゃな、、
村を歩く度に目立って仕方ない。
忍ぶように歩き、服屋を探す。
あった、、
大きく〈クローゼット〉と書いている店がある。
分かりやすい。
しかし、内装はない。
カウンターに女の店員がいるだけだ。
「すまんな、服を買いたいのだが、、」
店員は私を、、あ、もういいのか、、店員は姫を舐める様にみて、何だその服装はとでも言わんばかりの顔をしている。
「はい、それではこちらのウィンドウでお好みの服装をお選びください。」
すると目の前にポォんとウィンドウが表示された。
服屋のECサイトみたいだ。
検索欄があるのでとりあえず、「姫」というワードを入れた。
検索結果9500件。
めっちゃある。
しかも好みの服ばっか。
更に細かくジャンルを絞れるので、どんどんと選択をしていく。
最終的に辿り着いたのは、金髪のモデルが赤と白を基調としたドレスに、様々なアクセサリーをつけている写真。
これだ!
「これを頼む!」
「では、9000プリンプリンになります。」
通貨単位ださぁ〜、、私の名前とあんま変わらんやないかい、、ってかそのプリンプリンとかいうやつ持ってねぇ〜。
そりゃそうだよな。お金はいるよな。
「あぁそうか、ウフン、、」
気まずい空気が流れる。
「ちょっと金忘れたから、再度来る、すまんな、」
急いでその場を離れようとすると、
「あの、異世界から転生してきた方ですよね?」
と店員から呼び戻される。
「あぁつい先程な、、」
「ですよね、それじゃあ今回はサービスしますよ、、それにそんな服でウロウロされたら村の品に関わるので、、」
「本当か、、ありが、、とう、」
ん?今ディスられたよな?
すると店員は、なにやら両手に力を込め、目に見える魔力のような物を纏い始めた。
そして、
「ハァッ」
という掛け声と共に、姫は一瞬裸になる。
村人達がみてる、やべっ
だが、数秒後、赤と白を基調としたドレスに、貴族がつける様なアクセサリーがジャラジャラと身に現れる。
最高だぁ、これこれ、これです。まさしく!
「それと、異世界から転生してきた方には、〈称号屋〉と言う所に行っていただきますので、、手続きをしたいのですが、、」
なんかこの魔法女、勝手に話を進めやがった。
なんだよ「行っていただきます」って
強制かよ。
「お名前を教えていただけますか?」
やべ、きた名前
ゴホンゴホン、
「ライムだ。」
「えーと、下の名前は?」
くそがっ、
この姫が、ラナプリン、、プリン、
「ラナプリンだ、、」
「ライム・ラナプッッリンさんですね、、分かりました、では手続きをしますね。この道をずっと奥へ行った先が〈称号屋〉ですので、そこに行ってみてください。」
明らかにラナプリンのとこで笑っていたけど、聞こえてないふりをしてあげた。
「〈称号屋〉ってなんだ?」
「異世界から来た方に対して、この世界で生きていくためのさまざまな能力を振り分けて貰える場所です。」
「なるほど、さっきお前が一瞬で姫に服を着させたような能力の類いか。」
「そうです。」
ほぉーーう
楽しくなりそうだ。
ともかく、店員の指示した道を行き、〈称号屋〉と言う場所を目指す。
すると道中、すれ違ったおばあちゃん村人に、、
「あら?可愛らしい子だね、、金髪も似合ってるわね」
と褒められた。
「だろ?何てったって姫だからな」
、、、待てよ、今こいつ金髪って言ったよな、、
姫が?
手で髪の毛を集め、目線に持ってくる、、
金色だ、、いつから?
鏡、鏡、
テンションが上がりおばあちゃんを押し飛ばすと、勢いよく近くの店のガラスの前にいく。
金髪だぁーー!
本当の姫みたいだぁ、
ヤッタゼ!
服だけじゃなく、髪もしっかり再現してくれたのか!
見た目は完璧だ。
次は能力だな。
どうせならアモンのような銃を使える能力がいいのだが。
期待を込めて歩きながら、10分間ほど経った。
ようやく着いた、〈称号屋〉。
古風な木造建築で、老舗感のある色合いをした建物だ。
受付らしき所に行くと、50代ぐらいの髭をボーボーに生やしたおっさんが出迎えた。
「ライム・ラナプリンさんですね、、お待ちしておりました。」
「おう、姫は何をすれば良いのだ?」
「そこから動かないでください。」
おっさんは、服屋の店員みたく、両手に力を込めだした。
禍々しい色のオーラがゆらゆらと揺れる。
すると、
ポォんと、またウィンドウが出てきた。
crownの横を見ると、、
〈ガトリング使い〉
と記載してある。
ガトリング?
イマイチピンとはこないが、多分銃系統のやつだろう。
やはり姫はついている。
見た目も能力もなりたいようになる。
前世でもそうだった。
勉強、運動、全てが姫の配下である。
この世は姫の為にあるのかもしれない。
「ガトリング使い?まぁハンター向けの称号であることは間違いないでしょう。
ハンターの方は、モンスター討伐の受付があるので、そこまで案内しますね。」
「おう、頼む。」
またもやなかなかの距離を歩かされて、着いたのは、先程いた場所とは少し違った、治安の悪そうな地域。
ワイワイ感が全くなく、村人もなんかガチっぽい。
「あそこの受付に行ってみてください。それでは私はここで、」
おっさんは足早に帰って行った。
指を指された受付に行くと、
「ライム・ラナプリンさんですね、、〈ガトリング使い〉?ですか、、とにかくおめでとうございます。」
この受付の女も〈ガトリング使い〉に関してあまり知らないらしい。
「モンスター討伐についてですが、難易度が上からS.A.B.C.Dランクとなっています。
初陣では、自身の力量もまだ分かってない筈なので、Dランクからをお勧めします。早速今から行きますか?」
「え?そんなすぐにいけるのか?」
「えぇ、人数制限はないので、1人でもいけますよ。」
初陣で、見知らぬモンスター相手に1人で行くのは腰が引けるが、まぁ世界の主人公である姫が早速死ぬなんてことはあり得ないだろう。
「よし、行く!」
「そうですか、、ではDランクのモンスター表を持ってきますね。」
そう言って女は受付の奥へと消えて行った。
すると、後ろから
「神野さんだよね?」
と男の声。
振り返ると、うーんなんか記憶にあるようなないような出で立ち。地味な色のロングコートを羽織っている。
「そうだが、、」
待て、神野さんってことは、私の前世を知っている?
なら、ここは清楚で行くか、、
いやもうやめたんだ。
この世界ではもう偽らない。
「お前は誰だ?」
「覚えてないの?一応同じクラスなんだけどな、、」
男はショックそうにしている。
「実は、神野さんが車に轢かれると思って、勇気振り絞って前に出たんだけど、直前で怖くて逃げたんだよ、ごめん、」
そんなクズエピソードを面と向かって話されても困る、、
ってか、あいつかよ。
あいつが避けなければ、姫はまだ生きてたかもしれない。
「でも何故お前はここにいるのだ?」
「あぁ、直前で車はちゃんと避けれたんだけど、避けた先がちゃんと車道でさ、、それでちゃんと轢かれて、ちゃんと死んだみたい。」
何だそれ、、
ちゃんとってなんだよ、ちゃんとって、、
「ねぇ神野さん、ずっと好きでした、付き合ってください!」
すると忌々しい奴からの突然の告白。
頭のおかしいやつがこの世界に紛れ込んできやがった。




