Ⅴ王冠
Ⅴ王冠〈ファイブクラウン〉、、
この世界の最高ランクに位置するモンスター。
「封器解放!」
ウラディンどころか、ゼムライも冷や汗をかいているようだ。
「こんな時に異常マップ、しかもⅤ王冠、、」
「何でゲートを潜れないんですか?」
「分からない、、ただ恐らくは人間による妨害行為だ。モンスターにこんな事は出来ない。」
人間が?
どこの誰だ?
「とりあえず、他のハンター達の援護が来るまで3人で粘るぞ!
ロロっちとそこの3人は避難するか、ゲートを調べてみるかしていてくれ!」
やばいな、ブラックオーク戦でロロベルトが撃たれた時に見せたとてつもないウラディンの殺気。
それを考えても、この3人で勝てる見込みは無いぞ。
普通Ⅴ王冠のモンスターは100人以上のハンターで挑むことが推奨されている。
その10分の1以下の人数じゃどうしようもならない。
鼓膜を劈くような咆哮。
瞬間、コールドドラゴンの巨大な口から氷の息吹がこちらに襲いかかる。
〈ability適応神経〉
これに助けられたが、流石にこのドラゴンの速度に何回も対応するとなると、肉体がもたない。
もう既に、アキレス腱がやられた。
〈封器skill氷血転換を実行します。〉
足の痛みが治った。
楽に動かせる。
「さっきしれっとケルベロスから採取した血だ。」
「助かった、ウラディンちゃん。」
「いえいえ、にしてもどうするかね?」
ウラディンと70メートル上にある竜の頭部を眺める。
次はそちらから来いとでも言わんばかりに、姫達の攻撃を待っている。
ドラゴンのくせに迎撃態勢バッチリだ。
すると、
ジャーンジャーンと、チャージ音が横から聞こえてくる。
ゼムライは大斧を両手で構え、力を溜めている。
1発にかける気だ。
「この長さの溜めは見たことがないな。
しかもドラゴンの氷属性からして、ゼムゼムの力でゴリ押し属性は相当嫌なはずだ。
ここはゼムゼムに賭けるか。」
「剛体。」
〈skill剛体を実行します。〉
skill剛体を使用したゼムライは体が一回り巨大化する。
そして力を溜めた大斧を構えながら、竜の頭部の位置まで高く飛び上がる。
〈砕け切れろピキピキ野郎!
武陣大兵殺〈ぶじんだいへいさつ〉!!〉
〈武器skill武陣大兵殺を実行します。〉
ボォォォォン
極寒の雪原に、鈍い重低音が鳴り響く。
ピキピキ、、
竜頭に僅かな亀裂が入る。
透明な血が溢れ出すが、それ以上亀裂が大きくなることはなく、人間でいう軽度の切り傷で済んだ。
「あのゼムゼムでもやはり無理か、、」
また宙に浮いているゼムライに対して、ドラゴンは氷で固めた尻尾を鞭のようにしならせ、ゼムライに襲いかかる。
ゼムライはガタイからは考えられない程の軽い身のこなしで態勢を整え、その尻尾を大斧で砕いた。
斬り落とされた尻尾が姫達の前に落ちてきた。
だから、こんなキモイ断面とか無理なんだって、、
ゼムライもだいぶん体があったまってきたようだ。
力がどんどん上がっている。
だが、ドラゴンは尻尾に気を取られているゼムライを背後から氷の息吹で反撃する。
尻尾の攻撃は囮だった。
やはり知能も高い。
氷漬けにされたゼムライが、地面の雪製クッションに墜落する。
「お湯とかないよな、、」
「氷なら大丈夫だ、ゼムゼムには効かない。」
えらい落ちつきようのウラディンである。
ピキピキと亀裂が入り、ゼムライがまた復活した。
「困ったなー、我の力でもあの程度か、、
おいロロベルト!ゲートはどうだ?」
「何も変わりません。」
「クソがっ、、」
こちらも少しピリついてくる。
すると、
「なぁラナプー、あいつの目を見てみろ。」
とウラディンがドラゴンの目を指さす。
「眼球が動いている。
誰が襲ってもすぐに迎撃できるようにな、、
でも、よく見てみたら分かるが、眼球はウラ、ロロっち、ゼムゼム、ラナプーの4人だけだ。」
「それがどうしたんだ?」
「あの3人衆の方は1回も見ていない。
おかしくないか?」
「弱い奴は、はなから相手にしてないって事じゃないのか?」
「それなら良いんだけどな、なんか嫌な予感がするんだ。」
「また勘か、そんな事より今はあのドラゴンだろ。」
再び見たくもないドラゴンの方へと視線を向ける。
「そうだな、あいつにも血があるからウラも戦える。
ウラとゼムゼムでひたすら削るから、援護頼んだ!」
そう言って、ウラディンとゼムライの野生コンビは、ドラゴンに飛び掛かる。
〈封器skill鎌鳴らし
永続吸血を実行します。〉
両刃がキラーンと光る。
封器skill鎌鳴らしによって斬れ味が上がったウラディンの大鎌は、ドラゴンの首から腹にかけて深い斬り傷をつけた。
傷口から溢れた透明な血がどんどんと鎌へ吸収されていくが異物を感じたのか、鎌は吸収をやめた。
そりゃそうか、絶対零度の水を飲まされているようなもんだからな。
こうなるといよいよだな。
唯一の救いは、再生機能を持っていなさそうという所。
頭部の亀裂も、切断された尻尾も、腹部の傷も癒えてない。
ここを重点的に狙うしかない。
ドラゴンは傷口から溢れ出る血を抑えるため、自身に氷の息吹を吐き、止血した。
やりよるな。
「ウラディ、ン、、、ゼム、ラ、イ、」
ウラディンとゼムライは地面に突っ伏した。
エネルギー切れだ。
攻略の仕方が分からず、それに時間が経てば結局傷口は塞いだ。
2人は心身ともに満身創痍だ。
動けるのは姫と、、ロロベルトと3人衆。
実質姫だけだ。
〈封器skill白・紫竜弾〈炎〉の自動装填に失敗しました。〉
クソっ、、
〈封器skill白・紫竜弾〈炎〉の自動装填に失敗しました。〉
なんでだ、
〈封器skill白・紫竜弾〈炎〉の自動装填に失敗しました。〉
黒・剛圧弾では、やはり歯が立たない。
せいぜい衝撃が伝わっている程度。
蝿が顔に何回も突進してくる感覚だろう。
氷と炎、相性はいいはずなのに、
どうして、、
「封器解放、封器解放、封器解、、ほ、う、、ふざけんなぁー、ずっと憧れていた世界、仲間もやられて、こんな所で、、こんな所で終わってたまるかーー!」
〈skill以心伝心を習得しました。対象と本心で通じ合うことが出来ます。〉
〈《変化の王ロキ》と会話をしますか?〉




