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ゼムライという男

 「まぁ今回は引くよ、金砂は諦める。

 ただし、報酬金の支払いはしっかり頼んだぞ!」

 そう言ってパトリックは早々に帰り道のゲートへと向かった。

 大型ギルドのリーダーの多忙さが窺える。


 

 砂を掘っても掘っても、その中にまた砂が入ってくるため、サンドワームを掘り起こすのに大分時間がかかった。

 

 2匹のサンドワーム、やっぱり近くで見るとキモい。


 早速、ロロベルトが収集に取り掛かる。

 また内臓やら、グロいのを見せられたら困るので、姫は少し距離をとった。

 

 〈ブラックサンドワームの牙、ブラックサンドワームの再生核、ガルビル砂漠の砂を使って弾丸を作りますか?〉

 そうか、こいつは内臓とか無かったのか、、

 牙とかだったら別にキモくないかも、、

 そう思ってロロベルトの手元を見てみる。

 

 キモぉーー、キモいんかい。

 唾液みたいなのドロドロがついているし、やっぱ向いてないな。


 「作る。」


 〈ブラックサンドワームの部位、ダンジョンアイテムから

  黒・砂虫弾を生成しました。〉


 「コピー!」

 〈skill黒・砂虫弾の無限コピーを実行します。〉


 

 「弾丸はどうやって作るんだ?」

 ウラディンが興味津々にはなしかけてくる。

 「合成っていうskillでな、ちゃちゃっと。」

 まぁ作れたとしても、どうしてか使えないんだけどなぁ、、


 「じゃあ、ロロっちの武器も作ってあげなよ。」

 「いやそれは出来ない、弾丸以外のものは無理だ。」

 「そうか、じゃあやっぱりお金がかかるな。」

 ウラディンは興味津々な顔から一気に落ち込みモードへと入った。


 「1匹のサンドワームは姫の弾丸に注ぎ込んだ。

 もう1匹はどうするんだ?」


 「武具工房へ行って売るか、素材を持っていってオーダーメイドで作ってもらうかだ。」

 

 「オーダーメイドって高いんじゃないんですか?」


 「普通はな、、だけど素材を自分達で持っていったら、素材代がかからないから新しく武器を買うのとあまり値段が変わらない。だから〈収集家〉はあまりお金に困らないと聞く。」

 

 

 

 帰りのゲートを潜る。

 結局、サンドワームの素材を3人で手分けして持って、武具工房へ向かうことにした。

 臭いがキツイので、弾丸を鼻に詰めた。


 報酬金が振り込まれた。

60000プリンプリンだ。

 1人で60000、やはりIV王冠は報酬も格が違う。

 数時間後、武具工房から纏布が完成したと連絡があった。

 思ったより早かった、腕のいい武器職人だな。


 武具工房に着くと、筋肉マッチョに無精髭を生やした親父さんが纏布を持って待っていた。

 ただの布を想像していたが、思ったよりも生地が厚く、それにかなり大きい。

 「よく狩れたな、あんな砂の化け物。

 よほど腕がたつとみた。」


 「そういう親父さんこそ、こんな上物を作れるなんて、なかなかですぞー!」

 ロロベルトが親父さんのご機嫌をとる。

 なんか人の扱いに慣れてやがんな。


 「ほれ、それじゃあ代金135000プリンプリンだ。」

 やっぱ高いな、、

 ハンターとは命懸けだ。


 3人でお金を出し合い、纏布を購入した。


 「俺の為にありがとうございます、ウラディンちゃん、ラナプリンさん!」


 「礼には及ばんよ!ハァッハァー、」

 ウラディンは礼を言われて有頂天になっている。

 だが、なんだろうか?

 なんか気持ちがスッキリしないというか、

 大事な事を忘れている気がするというか、、


 

 「そう言えば、〈定め屋〉のツケは大丈夫なんですかね?」

 と、思い出したかのようにロロベルトが言う。


 戦闘に集中していて完全にツケの事を忘れていた。

 

 だが、

 「あぁ、大丈夫だ!

 ウラ達にはこの金砂があ、、、る、、、

 え?無い無い無い無い、、」


 ウラディンは服のあらゆるポケットに手を入れる。

 「ごめん、戦闘中に全部落ちたみたい。」

 「マジかよ、大体砂をポケットに入れる馬鹿がどこにいるんだ?」

 「だってポケットしか無いから、、」


 こうなるといよいよやばいぞ、、

 3人のお金を足しても45000プリンプリン程度。

 ぼったくりの75000プリンプリンには到底及ばない。

 となると、

 「仕方ない、ロロっちの纏布初披露目にもなるからな。

 よしっ、もう1クエスト行くぞ!!」


 「そうなるよねーーー、、」


 「まぁ簡単なクエストだからそう気負いする必要はないぞ。

 それに次は正式なギルドメンバー、ゼムライを連れて行く。」


 そう言えば、まだ会った事なかったな。

 どんな奴なのか?


  


 ウラディンに案内されたのは、またもやウラディンの家である宮殿内の田舎っぽい場所。

 

 「きゃーー虫虫虫きもいーーーー、とってぇーーー」

 案の定ロロベルトは悲鳴を上げる。

 

 「すまん無理だ。」

 「なんでよ、今は裸じゃないからいいでしょ、」


 「いや、なんかその悲鳴が面白くなってきてな、、」


 「きゃーーーーーー」

 虫と戦闘中のロロベルトを置いて、ウラディンについて行く。


 「おーーい!ゼムゼムーー!

 新しいメンバー2人紹介したいんだー、

 降りてきてーー!」


 ウラディンが話しかけているのは、葉が生い茂った木の上だ。

 結構高い木だが、その上にいると言うのか?


 すると、ドスンッと重い音を立てて木の上から降りてきたのは、身長2メートル程ある大男。

 パトリックが小さく感じるほどの巨体。

 涙目を擦りながら、大欠伸をかましている。

 それに毛皮のコート、、

 野生、、

 ウラディンの男版って感じだな。


 「ほう、このチビっ子が新しいメンバーか、、我はゼムライ、よろしくな!」

 「あぁライム・ラナプリンだ!よろしく!」

 「もう1人はどこだ?」

 「あそこで虫と戦っている人だよ。」

 ウラディンが指を指した先には、新調したての纏布で虫をあしらっているロロベルトがいた。


 「あのチビっ子、虫が苦手なのか、、よし、助けてやるか、、」


 ゼムライはそう言うと、体を仰け反り30メートルほど離れたロロベルトの方へ向かって息を吹きかける。

 すると、虫は全てその風で追いやられていき、ついでにロロベルトも少し尻もちをついた。

 ものすごい風圧。

 THEパワーって感じだな、こいつ。

 「今からクエストに行く!とにかく今すぐにお金が欲しくてな、、」

 「分かった。そう言えばウラディンよ、我の所持金が増えているのだが、何故だ?」

 多分、パトリックの分が振り込まれたのだろう。


 「あーそれはパトちゃんの分だ。

 あとで返してくれ。」


 「パトちゃんー?あー、あの貧弱野郎か、、

 駄目だ、これは我の所持金だ。

 何故なら、我のウィンドウにそう表示されているからな、、」


 うわー、めっちゃ傲慢だった。

 どうすんだよ、ツケとパトリックの分の両方に気を使わなけりゃいけないのかよ。

 いや、でもこう言う奴は自分の信念を曲げないタイプだ。

 だとすると、いい案があるな。

 「じゃあ次のクエストに行く前に、ゼムライにはちょっと頼みがあるんだ。」

 「新メンバーの頼みか?おういいぞ、なんでも言ってくれ!」

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