いざブラックサンドワーム討伐へ
アル・パトリックは、ウラディンと約束をした。
本来、他のギルドに単独で参加することは、ハンターの規律に違反する。
だが、こちらとしてもパトリック以外のロブストギルドメンバーに参加されると、報酬金がその分山分けされるため、正直困る。
窃盗犯の印を押されないよう、いち早く多くのお金を稼ぐ為、パトリック単独で来て貰った。
もちろん、パトリックだけに内緒で報酬金を支払うという約束でだ。
〜クエスト案内所にて〜
「IV王冠のブラックサンドワームに行きたいのだが、」
「了解しました。ギルド名をお願いします。」
「ワイルディンズだ!」
ウラディンが、微笑ましく堂々と発する。
なんかもう勝手にギルド名が決まっている。
野生集団を英語にしただけじゃねーか、
もういいや、この世界での名前に関する事は諦めている。
「あれ?マスクを被っている方はゼムライ様ですか?」
パトリックは身バレしないように、レスラーマスクみたいなものをつけている。
「あぁ、そ、、そうだぞ、」
嘘つくの下手か、動揺バレバレじゃねーか。
「ゼムライ様のプロフィールでは身長が2メートル3センチと記載されているのですが、、」
「、、、」
早速やべーじゃねぇか、、
ウラディンとパトリックは、言葉に詰まっている。
よし、通じるか分からんけど、助けに入るか、、
「見栄張ってるんだよ、ゼムライは。
ほら、よく有名人のプロフィールの身長欄でこいつ本当にこんな大きいのかとか、あるだろ?
ちょっと盛るんだよ。
まぁこいつに関しては盛りすぎだけど。」
いけ、通じろ!
「そうなんですね、これは失礼致しました。」
よっしゃ、危ない危ない。
受付の女は、ダンジョンに繋がるゲートを創り出す。
「それではご武運を祈ります。」
ゲートを潜ると、そこは日光の熱で景色がゆらゆらする広大な砂漠だった。
「暑っつーーー」
出ました、ロロベルトの不満。
全く世話が焼ける奴だ。
「耐熱共有。」
〈skill耐熱の共有を実行します。〉
「おぉーー、暑くない、生き返ったーー!」
ふぅっー
思わずため息。
心地の悪い砂場を歩きながら探索をするが、なかなかターゲットがいる気配がない。
すると、
「ん?なんだこれ、なんか拾ったぞ。」
ロロベルトは手に砂を握り込んでいる。
一見ただの砂だ。
だがよく見ると、所々が光っている。
「おぉ、これは金砂だな。
売ったらかなりの額になるぞ。
よくやったロロっちよ。」
と、パトリックが褒める。
でも、この金砂を拾ったとはいえ、どこに保管すればいいのやら、、
ウラディンはロロベルトに金砂を渡して貰うと、すかさず大事そうにポケットに入れた。
服に直接砂を入れ込む。
さすが野生だ、細かい事は気にしないってか、、
「おいずるいぞウラディンちゃん、少しは分けてくれよ。」
「あれれ?分けるのは報酬金だけって言いませんでしたかー?」
「はぁー?言ってないし、、こっちは規律違反してまで来てんだぞ、」
うわぁ、喧嘩が始まったよ。
しかもお金について
どこの世界でもお金を巡る争いは起こるんだな。
だが途端、2人の喧嘩ごと呑み込むように足場の砂から大きな歯と唇が現れた。
姫は、ロロベルトを担いでその場から距離を取る。
ウラディンとパトリックも勿論避けれたようだ。
砂の中から姿を現したのは、大きな口にミミズのように長く、黒いボディ。
異様な圧を放っている。
全長40メートルぐらいある。
やはり想像通り、見た目は生理的に無理だ。
姫は冷静になりガトリングを取り出す。
「封器解放!」
「封器解放!」
ウラディンとパトリックも武器を取り出した。
パトリックの盾は、ウラディンの鎌と同様魂を感じさせるような不気味で邪悪なオーラを纏っている。漆黒に金縁、高級感さえも醸し出している。
それに180センチ程あるパトリックの全身を覆うぐらい大きくて重厚だ。
地面の砂に対するめり込み具合から相当な重さであることが窺える。
っていうか今2人が言っていた、「封器解放」ってなんなんだ。
合図的な感じか?
姫は何も言わなくても取り出せるんだけどな、、
まぁそんな事より、まずは目先の敵だな。
やっぱりモンスターにもランクはあるそうだ。
一目でわかる、ブラックオークよりも遥かに強い。
ウラディンが先陣をきる。
「超速」
〈skill超速を実行します。〉
ウラディンはとてつもない速さでサンドワームとの距離を詰め、首っぽい部位に向かって大鎌を振り下ろす。
ズバァァァァァァ
サンドワームに深い傷をつけた。
40メートルの巨体の横幅半分ほどがえぐれている。
追い討ちだ。
「黒・剛圧弾、自動装填!」
〈封器skill黒・剛圧弾の自動装填を実行します。〉
加工と糧化で強くなった剛圧弾の力を見せてもらおうか!
脳天がどこか知らんけど、とりあえず大きい口に向かって狙いを定める。
「ぶっぱねろ!!」
ドドドドドドドドォォォォォォ
サンドワームの口の肉片はあちらこちらに飛び散り、原型を失った。
どうだ、この威力!
効いたか!!
だが、
「何か様子がおかしいぞ、、」
と、パトリックはロロベルトの側で盾を構えながら不安そうに言った。
確かに頭部は失ったはずなのに、体は倒れない。
普通に動いている。
うわぁ、無理なんだよな、ミミズとか蛇とかそっち系の生き物。
接近戦の武器じゃなくて良かったわ。
すると、地面の砂がどんどんとサンドワームの方へと吸収されていく。
そして、その砂はみるみるうちにサンドワームの口や歯へと変貌していき、元の姿に戻ってしまった。
「再生するのかよ。」
「どうやって倒すんだよ。」
「地面の砂が無くなるまでとか?」
「馬鹿か、何日、いや、何年かかるんだよ。」
「でも他にどうやって、、」
考えろ、、
砂で再生する。
砂は水に弱いイメージがあるが、水なんでどこにもないし、、
砂、砂、砂、砂、
いや、良いのがあるな。
「白・紫竜弾〈毒〉《ヴェノ》、自動装填!!」
砂は多孔質。
サンドワームの体が全て砂で作られているのなら、体の内部まで毒は染み渡る。
再生機能にも干渉出来るはずだ。
いけるぞ!
〈封器skill白・紫竜弾〈毒〉の自動装填に失敗しました。〉
え?




