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第2の陣、アル・パトリック

〈所持金500プリンプリン〉

 絶望的な貯金。

 だが、いい買い物はできた。

 王都内の服屋に行き、ペングラム村の服屋と同じようにジャンルを選び絞っていく中で、同じ服を探す事ができた。

 早速鏡の前に行き自分の姿を確認する。

 うん、しっくりくる。

 先程の野蛮な姿から大変身だ。

 ロロベルトも、最初の地味な色のコート姿にしたそうだ。

 

 時刻は12時。

 待ち合わせの場所に行くと、既にウラディンは待っていた。

 「服変えたのかー?前のやつ似合ってたんだけどな、」

 「まぁいろいろあってな、なぁロロベルト。」

 「そうだね。」

 真正面から「前のやつはダサかったので、」とは言えないので、なんとなく濁す。

 そして何気なくロロベルトにも振る事で、姫だけの負担を減らした。

 ウラディンはあまり納得いってない表情をしている。

 

 ウラディンの案内で王都を歩いていく。

 そもそもどこにクエスト案内所があるのか知らない。

 「よし、着いたぞ!」

 ウラディンに案内されたのは、王都の煌びやかな建物の中に一風違った雰囲気の漂う建物。

 江戸時代の酒屋を彷彿とさせる。

 看板には〈定め屋〉と筆文字で書いている。

 

 中へ入ると、80代ぐらいのおばあちゃんが1人。

 「あらいらっしゃい、ウラディンちゃん。」

 「久しぶり!今日は1人見て欲しい人がいるんだ。2日前に転生してきたばっかの逸材なんだ。」

 

 そう言ってウラディンはロロベルトに目配せをする。

   

 「これも武器作りに関係ある感じですか?」

 「あー勿論だ。

 せっかく高いお金を出して武器を買っても、自身の証とマッチしなければ全く使い物にならない。

 だから、アイルソンにロロっちがどんな武器を使えばいいのか鑑定してもらう。」

 「へぇー、このおばあちゃんが鑑定してくれるんですね、、」


 「おばあちゃんじゃなくて、お姉さんじゃろ?」

 アイルソンとかいうこのおばあちゃんは、とてもニコニコしているが、なんか言葉の奥に潜む怒りが少し垣間見えた気がした。

 っていうか、この見た目でお姉さんは無理があるだろ。

 腰がもう90度超えて120度ぐらいまで曲がってしまっとる。

 顔上げてなかったら、目線は自分の膝だろこれ。

 

 「じゃあロロベルト君かな?ちょっと大人しくしてなさい。」

 ロロベルトは、背筋を正し微動だにしない。

 アイルソンはロロベルトの目を見上げる。

 すると、アイルソンの目は青色に光りだした。

 どうやら鑑定が始まったらしい。

 

 数分して鑑定が終わると、

 「この子の証は〈茶〉じゃ」

 「〈茶〉か、あいつと一緒だな」

 ウラディンは誰かを想像している。

 あいつとは誰なのか?

 「そして〈収集家〉の中でも、嗅覚と採取のスピードにもの凄く長けておる。

 でも短所は、限られた量しか素材を採取できないという所。

 〈収集家〉の本能とでも言おうか、貯蔵庫がない為に強制的に自分の能力に制限をかけておる。」

 と、ロロベルトの特徴を細かく述べてみせた。

 見ただけでその人の特徴を当てるなんて、鑑定士とは恐ろしいな。


 「そうなのか?貯蔵できるゲートとかは無いのか?」

 

 「普通の〈収集家〉はみんな持っているんだがのう、この子は無いみたいじゃ。

 まぁその代わりとんでもないskillが隠れていたりして、、

 とりあえず、今この子に必要な武器、、

 それは、纏布〈てんぷ〉だね。風呂敷みたいな物じゃ。」


 纏布?初めて聞いたな。


 「証である〈茶〉と、纏布を貯蔵庫代わりに使う事を考慮すると、サンドワームの纏布が相応しいのう。」

 

 オークの次はサンドワームか、

 今想像できるサンドワームの姿は、生理的に少し受けつけないが、この世界ではどうなのか?興味もある。

 

 「どのランクに行くかはお前達次第じゃ!よし、それじゃあ鑑定代50000プリンプリンを頂くとしようか。」


 50000、高っ、ってか持ってないし。

 そうか、ウラディンがちゃんと用意してくれて、、、


 じぃーー

 ウラディンはこちらを見つめている。

 「え?姫は無いぞ、そんなお金。」

 「俺も無いですけど。」


 「えー、嘘でしょ?というかアイルソン、いつもそんな高くないじゃん、」


 「うん、そうじゃ。だが、ワシのことをおばあちゃんと呼ぶ奴には、思いっきりぼったくる。」


 ニコニコしながらなに犯罪報告してんだよ。

 やっぱ根に持ってるなぁと思ってたんだよ。


 「なにしてんだよ、ロロベルト。」

 「ごめんって、だって明らかにおばあちゃんじゃん。」

 言いやがったこいつ。

 もう知らねぇ。


 「まぁまぁアイルソンよ、今から行くクエストの報酬金でちゃんと払うからさ、今回はツケっていうことにしといて貰えないか?」

 

 「お前達が生きて帰る保証はねぇじゃろ。

 まぁ、お姉さんは懐が広いからのう。

 いいぞ、だがもし今日中に払えなかったら、お前達の顔写真に窃盗犯という肩書きをつけて、王都内の全掲示板に貼り付けてやる。」


 怖いって、、

 ほんまにしそうやし。

 

 「分かったよ。」


 「それと、さっきそこの小僧が2回目のおばあちゃん発言をしたのう。

 よし、お代は75000プリンプリンじゃ。

 せいぜい頑張るんじゃぞ。」


 鬼の形相をしている。笑顔はとっくに消えた。

 


 クソみたいな契約をして〈定め屋〉を後にした。ウラディンはアイルソンに、話があると呼び止められた。

 説教だとしたら、可哀想だな。


 とにかく今日中に75000プリンプリン用意できないと、犯罪者扱い。

 姫達が今すべきなのは、クエストに行く事しかない。



〜ラナプリンとロロベルトが出て行った後の定め屋にて〜


 「ワシもこの仕事が長いからな、ウラディンちゃんみたいに勘というやつが芽生えてきとる。

 もう1人の女の子がどうしても気になって、少しだけじゃが鑑定士の目をその子にも使ってしもーたわい。」

 

 「ラナプーがどうしたんだ?」


 「あの子には〈証〉が無い、こんな事は初めてじゃ。」


 「〈証〉が無い?じゃあ使える属性がないって事なのか?」


 「分からんが、むしろその逆の方の可能性が高い。

 使える属性が無いのではなく、全ての属性が使えるという可能性じゃ。そうなると十中八九封器の使い手じゃのう。」

 

 「最強じゃん、流石ウラの仲間だ!でもガトリング使いなんて聞いたことないんだけどなぁ、」


 「ワシもじゃ、まぁ念の為用心しときなよ。トラブルに巻き込まれるかもしれんからのぉう。」


 


 ウラディンは定め屋を後にする。

 「ラナプー、ロロっち、一応助っ人を呼んでくる。

 ちょっと待っててくれ。」

 

 そう言って自慢の脚力でどこかへ消えていった。

 

 「ったく、お前のせいで変なミッションが増えたじゃねえかよ。」


 「それはごめん、」


 「戦闘はできんし、虫如きで叫ぶし、、前世だったらアニメの話とかで盛り上がってちゃんとした友達になれたかもしれなかったのにな。」

 

 「そうだね、情けないよね。」


 不気味だな、、下を向いて謝ってはいるが、それほど落ち込んでいる気配はない。

 3日前に話し始めたとはいえ、姫はまだこいつのことをあまり理解していないようだ。

 

 

 〜20分後〜

 「連れてきたぞ!」

 そう言ってウラディンが連れてきたのは、身長180センチ程、ガタイもそれなりの男。

 「俺はアル・パトリック、よろしくな!

 君たちかい、ラナプーとロロっちというのは、」


 「そうだが、

 ウラディンちゃんよ、こいつがサンドワーム討伐にどう関係あるのだ?」


 「こいつは、150人程いるハンターギルド〈ロブスト〉のリーダーだ。

 ツケ金のこともあるし、どうせなら最高ランクのブラックサンドワームを狩りたいって事で、初回限定で頼れるこいつを呼んだ。」


 流石王族、人脈が広いな。


 「任せなよ。どうせサンドワームなんてちょちょいのちょいさ。」

 パトリックは、得意げに前髪を手でうねる。


 「そうか、でもウラディンちゃん1人で充分じゃないのか?そのブラックサンドワームというやつは。」


 「それは多分無理だ、なんてたって奴はIV王冠〈フォークラウン〉だからな。流石に1人では、、」


 「でも、あの強化したブラックオークをほぼ1人でやってたじゃないか。」


 「だってあれはIII王冠しかないじゃん、、」

 

 えーあいつIII王冠のまんまだったのかよ。

 あんなにパワーアップしてたのにか、


 「III王冠とIV王冠は天と地の差だ。」


 「また足手まといになる気配ぷんぷんなんですけど、、」

 小刻みに震えたロロベルトが、憂鬱そうにため息をつく。


 「そうならない為のクエストだろ?

 ロロっちは採取だけに集中してくれればいいから。」


 「そういうことだ、ロロっちは俺が守ってやるよ。」

 このパトリックという男、結構頼りになりそうだな。

 それに、こいつ見た感じ武器を持っていない。まさか、、


 「あいにく多忙なもので、サクッと終わらせようか。」


 

___________________________

フィーラル・アイルソン

〈称号〉鑑定士


〈証〉とは色で分別されおり、その人物が使える武器やskill、abilityの属性の色を指す。


通常、1人のハンターが複数の〈証〉を扱う事は不可能である為、自身の〈証〉とは異なる属性の武器を使うと、その武器はただの鉄の塊と化す。





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