第8話 新天地 獣人の国
第2章 新天地 獣人の国
追放された10歳の貴族、アルヴィン・ド・ヴァルモンとミーナは、腐敗した王国を捨て、獣人国へ踏み出す。すべての学問と武術を極めたアルヴィンだが、彼の「手品」は誰も知らない謎。人間への不信が渦巻く獣人国で、リリアとの出会いが革命の火種となる。「正義とは何か」を求める旅が、今始まる!
「嫌――! アルヴィン、助けて!」
ミーナの悲鳴が、獣人国の森に響く。縄に縛られ、木の上に吊るされた彼女のドレスが風に揺れる。「見ないで! 早く、シュッて助けて!」
アルヴィン・ド・ヴァルモンは欠伸する。「パンツ丸見えだぞ、ミーナ。」 眠そうな目で森を見回す。腐臭漂う木々、遠くの獣の咆哮。地図の記憶を辿り、呟く。「ここが獣人国だな。面倒だ。」
ミーナが叫ぶ。「さっきの崖やパーティーみたいな手品で、助けてよ!」
――シュウ。
アルヴィンが手を振ると、縄が粉々に裂け、ミーナが落下する。「嫌――!」 だが、風が唸り、彼女はふわりとアルヴィンの腕に収まる。「ほんっと面倒だな。一人で来ればよかった。」
ミーナが抱きつく。「ありがとう、アルヴィン! 大好き!」
「知らん。」 アルヴィンは茂みを睨む。「そこに隠れてる4人、出てこい。」
かさかさと揺れる葉。獣人少女リリアが、鋭い爪を光らせ現れる。「人間だ! また女子供を拉致しに来たのか!」
アルヴィンは肩をすくめる。「二人で襲撃? 頭大丈夫か?」
リリアの耳がピクッと動く。「なら何だ! ここまで馬車も騎馬もなしで、どうやって来た!」
ミーナが口を挟む。「アルヴィンは敵じゃない! 私たち、追放されたの!」
リリアの目が細まる。「信じがたい。殺すか拉致するなら、既にやってるはずだにゃ。」
アルヴィンは思う。(獣人女性の悲鳴、エルフの涙、聖職者の闇……この国も同じか?) 「リリア、獣人国で間違いないな?」
「そうだ。だが人間は悪魔だ。夜中に村を焼き、女子供を連れ去る。」 リリアの声に怒りが滲む。
アルヴィンは手を振る。――ズン。崖の岩壁に、地図が浮かぶ。「元の王国から、ここまで来た。獣人国だろ?」
ミーナが地図を指す。「ここが私たちの国! 遠く離れたここに!」
リリアが唸る。「その地図は知らんが、ここは獣人国だ。目的はなんにゃ?」
「正しいものを見極める旅だ。」 アルヴィンは欠伸する。「眠いな。宿は?」
リリアが笑う。「人間を泊める宿? 冗談だろ。だが……村長に話す前に、酒場で戦士たちに会わせる。話すにゃ」
※※※
酒場は獣の咆哮と酒の匂いに満ちていた。毛深い戦士たちが、アルヴィンとミーナを睨む。リリアが叫ぶ。「人間だ! だが、敵意はないらしい!」
戦士の一人が唾を吐く。「人間は悪魔だ! 村を焼く奴らと一緒か!」
ミーナが震える。「違う! アルヴィンは……手品で私を助けてくれた!」
戦士が笑う。「手品? 子供の遊びか!」
アルヴィンは欠伸し、手を掲げる。――ヒュウ。空気が震え、酒蔵の壁に大波が現れ、消える。戦士たちが腰を抜かす。「何だ、あれ!」
リリアが叫ぶ。「貴様、何者だにゃ!」
ミーナが微笑む。「アルヴィンは特別なの。追放されたけど、敵じゃない!」
アルヴィンは呟く。「俺はアルヴィン、こっちはミーナ。宿を頼む。」
リリアの耳が揺れる。「リリア、偵察隊だ。他の3人もな。……宿はあるが、高いぞ。人間は初めてだ。」
「他にどんな種族が?」 アルヴィンの目が光る。
リリアの顔が暗くなる。「旅人、たまに。だが人間は悪魔だ。女子供を――」
「それだ。」 アルヴィンが遮る。「人間が悪魔かどうか、俺はそれを見極めに世界を旅する。案内してくれ。」
※※※
酒蔵を出て、獣人村へ。リリアの背中を見ながら、アルヴィンは思う。(この国も腐ってるのか? 正義はどこだ?) ミーナが手を握る。「アルヴィン、私も見極めるよ。」
少年と少女は知らなかった。この出会いが、獣人国の変革を呼び、リリアと共に革命の火種となることを。人間の罪、獣人の怒り。正しいものを見極める旅が、今、新天地で始まる。
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獣人国での出会いと「手品」の衝撃! 、アルヴィンとリリアの絆が革命へ!
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