第4話:才能の片鱗
「あいつ、おかしいぞ。何か手品か、とにかく変だ」
レオナルドは、夜の闇に紛れて12歳の寮に駆け込んだ。そこでは、獣人の女性が性奴隷の最中であった。
「ガラン!何事だ、貴殿はレオナルド侯爵のご子息。いったいどうしてこのような場所に」
ガランの鋭い声に、レオナルドはアルヴィンのことと、昨日見た光景を説明した。
「聖職者の教えの天の導きとかけ離れている。7聖人がこの世を作った、その制圧した対象なのではないかと……」
「そのようなおとぎ話、あるわけがない。しかし、話は受け取った。
この場を去って頂けないか。貴族で許されるのは10歳、成人であれば12歳。あなた様はまだ7歳でございます」
レオナルドは、ガランに言われるままにその場を離れた。
しかし、彼の心には、アルヴィンへの疑念と、この学舎の闇への違和感が渦巻いていた。
翌日、剣技の授業が行われた。師範が手本を見せ、6歳、7歳の生徒たちが剣を振るう。
「ガラン、12歳から指導をしよう、6歳の新入生にな」
卓越した剣術を極めているガランの申し出に、師範も頷くしかなかった。
「騎士団長の息子アルヴィンか。伯爵の息子のガランが、子爵に指導しても問題ないであろう。それぞれ5名ずつ、前にでろ」
6歳の生徒たちは誰もまともに剣を扱えない。皆は、アルヴィンが昨夜の行いがバレて、
仕打ちを受けるのだと疑う。誰も、剣を握ろうとはしない。
一方のアルヴィンは、講義中でありながら、外側で横になって寝ている。
流石に師範も怒りを飛び越え、アルヴィンを呼び寄せた。
「面倒だな、何の話だ」
アルヴィンは、師範のもとへ。
「成人12歳ガラン様の5名と、6歳新入生5名と試合を行う。木剣であるから心配するな。新入生、剣をとれ」
誰も、剣を取ろうとはしない。アルヴィンもである。
「師範の模範が披露され、一同は拍手。アルヴィンは、なんだ、あれ、布団でも干すのに、ほこりをおとしているのか?」
そう、アルヴィンは騎士団長である父の動きを全て飲み込んでいた。
「では、12歳5名と、6歳5名の木剣試合を開始する」
6歳の生徒は誰も剣を取らない。アルヴィンは立ったまま、寝ているありさま。すると、ガランが、
「そこの立ったまま、寝ているやつ、出てこい!」と怒号が。
6歳の新入生は、負けたら因縁をつけられ、それこそ、また嫌がらせを受ける。かといって、勝てる方法もない。
「やれやれ」
アルヴィンは、そう言って木剣をとり、
「僕一人で十分ですよ。雑魚相手に」
と前に出た。これはガランの怒りを買うことになる。レオナルドはクスクスと笑っていた。
「アルヴィン、5名じゃなくて、12歳全員とやりましょう」
だれもが、ハッタリだと思った。
「ガラン、騎士団長の息子であることは知っているが、先に口にしたのは、アルヴィン君だからね、いいわけはしないで、良いかな」
12歳20名と6歳アルヴィン1名の対戦が始まる。始まる」
「遅い、遅い、それでは倒してくださいと、言っているようなものだ」
「遅い」
「振りかぶりすぎ、遅い」
「何を今まで習ってきたのだ、遅い」
12歳20名は一瞬にして、木剣をはずされ、地面にはいつくばっていた。
いったい何が起きたのか。誰にも動きは見えなかった。しかし、アルヴィンだけは立っている。
「アルヴィン、基本が出来ていない、根底から間違っている、よくそれで12歳成人だといえるな、国を守るのではないのか?」
「立て、先輩ら、もう1度」
「あれは、不意打ち、師範改めて、再試合を開始するがまたも一瞬であった。」
「アルヴィン、あのさー、王都で6年やってきているのでしょ?何をいままでやっていたの?もう一度3歳位からやりなおしたほうが国のためだぞ」
6歳から9歳は大拍手、12歳は赤っ恥。
「なら、私と」
師範との対決。アルヴィンは、
「やめておけ、お前では俺には勝てない。基本と実戦は異なる。なまじ、守られた世界で、のうのうと生きているあなた、言っている意味、わかりますよね」
師範はぶちぎれて、「殺す」と。
師範は、いきなり突っ込んできた
「遅い、この程度に習うから、生徒も使い物にならない、遅い」
一瞬で師範は地面にはいつくばっていた。その場にいた全員が唖然とする。
アルヴィン(なぜ、こんな腐った世界で強さを競う?)
その時である、凱旋から帰ってきた父、騎士団が通りかかり、父は笑って、
「そりゃ、虎の子は虎だわな」
とやり過ごし、師範も面目ない、騎士団長と。
父は、アルヴィンの動き早すぎる。いったい何が。と思うが、戦勝の祝いもあるのでその場をあとにした。
騎士団長の計らいもあり、授業は終わったのであった。
恥をかいた、12歳ガランは復讐を講じていた。
ただ、この模擬戦より、アルヴィンが目にするものは、この夜おこるのであった、そう父の凱旋、聖職者からの報酬に、エルフの娘を自由にと。
ここから、アルヴィンの違和感がさらにましていく。まさか、父様まで…。




