第10話 獣人 ガレン リリアの疑問
「人間なんかに負けるな! やっちまえ!」
獣人国の酒場は、獣の咆哮と酒の香で熱狂していた。木のテーブルに肉と麦酒が並び、歌と笑いが響く。18歳の姿のアルヴィン・ド・ヴァルモンは欠伸する。「麦酒、旨いな。」 ミーナが隣で微笑む。「皆、楽しそうね。」
ガレン、巨漢の獣人がコップを掲げる。「アルヴィン、聞きたい事って何だ?」
リリアの耳がピクッと動く。「人間がここまで来るなんて、目的は? にゃー!」
ミーナが静かに言う。「私たちは人間の国から追放されたの。帰る場所はない。」
アルヴィンは麦酒を飲み干す。「獣人国の生態系、組織、階層を知りたい。人間の国は――2600万農民、50万商人、残りは権力者。税は10働いて7取られる。」
リリアが唸る。「収奪だにゃ!」
ガレンがテーブルを叩く。「拉致された獣人の女や子供は、奴隷か!」
アルヴィンは頷く。「人間の国、フォール・リュミエールでは、聖職者が頂点。人間以外は亜人、最下級の奴隷だ。皆、それが正義だと教えられる。」 獣人女性(第2話)、エルフ(第4・5話)、聖職者の闇(第7話)が蘇る。「俺はそれが正しいか、間違ってるか、見極めに来た。」
ミーナが目を伏せる。「私もその教育を受けた。でも、アルヴィンは違う。年功序列の国で、年上に逆らった。」
リリアの目が光る。「酷い! 獣人だけじゃない。ドワーフ、バーバリアン、エルフ、皆同じ扱いだにゃ!」
ガレンが唸る。「獣人国に年功序列はない。男も女も、3歳で成人の体になり、300年生きる。ある日突然老化し、30年で終わる。俺も何歳か忘れたがな。」
リリアが続ける。「ドワーフは500年、エルフは1000年以上。長老に聞くのが一番だにゃ。」
アルヴィンは欠伸する。「長老に会うには実績が必要だろ? 人間への不信、わかる。ガレン、獣人が簡単に拉致されるなんておかしい。なぜだ?」
ミーナが頷く。「この酒場の皆、戦士よね。なのに、どうして?」
ガレンが口を開きかけるが、アルヴィンが目で制す。――シュウ。光が走り、4人(アルヴィン、ミーナ、ガレン、リリア)が夜空に浮かぶ。月が輝き、森が遠くに見える。
リリアが叫ぶ。「ここ、どこ!? 空!? にゃー!」
ガレンが震える。「どうなってるんだ!」
アルヴィンは静かに言う。「酒場じゃ話が漏れる。内密に聞きたい。なぜ獣人が拉致される?」
ガレンが唸る。「軍や国境警備が出てる間に、夜襲が来る。臭いや悲鳴で気づくが、戻ると誰もいない。」
ミーナが呟く。「内通者……。」
リリアが頷く。「その可能性が高いにゃ。」
アルヴィンは夜空を見上げる。「これから内密な話は空で。戻るぞ。」
――シュウ。光が走り、酒場に戻る。獣人たちは酒に酔い、誰も気づかない。
※※※
ウェイトレス獣人リナが、アルヴィンに微笑む。「アルヴィン、好きだよ。」 尻尾が軽く触れる。ミーナが頬を膨らませる。「ちょっと、リナさん! アルヴィンは私の――!」
ガレンが笑う。「リナの好意だ。獣人の尻尾は親愛のサイン。まあ、盛り上がるな!」
アルヴィンは欠伸する。「ガレン、軍の話をしたい。誰か強い奴は?」
ガレンが副隊長ギワンを呼ぶ。「ギワン、腕相撲だ! アルヴィンの力を試す!」
ギワンが笑う。「人間の腕、折っちまうぞ!」
腕相撲が始まる。ギワンが全身の力を込めるが、アルヴィンの腕はびくともしない。「全力か?」 アルヴィンが念じる。――強化。軽く押すと、ギワンの腕がテーブルに沈む。
酒場が静まる。ガレンが唸る。「只者じゃねえな、アルヴィン。」
アルヴィンは微笑む。「ギワン、いい力だ。騎士団より上だな。宿を2部屋頼む。」
リリアが耳を動かす。「金はあるのかにゃ?」
――シュウ。アルヴィンが手を振ると、黄金の金貨が詰まった宝箱が現れる。「これで足りる?」
一同が叫ぶ。「なんだこれ! 1000年食えるぞ!」
リナが笑う。「アルヴィン、1部屋でいいよね? ミーナさんと私で!」
ミーナが慌てる。「私も一緒! リナさん、いいよね?」
リリアが笑う。「獣人は盛り上がると止まらないにゃ!」
アルヴィンは3人で宿に向かう。人間は悪魔か、正義は何か。この酒場の絆が、獣人国の革命を呼び、アルヴィンを新たな事件に巻き込むとは、誰も知らなかった。
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