表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

はちまんの秘密

ここは東京、日本橋にある、艦隊八幡社という不思議なビル。

一階では、お店番のはちまんが、朝からバタバタと忙しそうです。


―――


きょうも、ぽかぽかの朝なのです!

艦隊八幡社、ただいま開店準備中なのです!


はちまんは、いつものように

棚の飾りを整えたり、お香を炊いたり、

やることは盛りだくさん!

せかせかと、店内を歩き回っていたのです。


お品物もきれいにならべることができました。


画像


「さてと、最後に、あの紙のおかざりを付ければ……」


背のびをして、棚の上に手をのばしたそのとき。


”””ぐらっ”””


「わっ……あっっ!!」



画像

ふらりとバランスをくずして、

とたんに、ぽふっ!と頭が軽くなったのです。


……ぼうしが、ぬげてしまったのです。

ぱさり。床に落ちた、その音がとても大きく聞こえたのです。


はちまんは、すぐに頭をおさえました。

胸がどきどきして、耳まで真っ赤になったのです。


「や、ややややっ、見えてない、見えてないのです……っ」


・・・見られたら、いけないのです。

・・・このツノは、まだ……。


そのときです。

店の奥から、ちいさな足音が近づいてきました。


「……はちまん。」


やくも、なのです。

音もなく近づいて、

落ちていた帽子をそっと拾い上げて、手のひらにのせて差し出してくれたのです。


「えーと、これは……」


言い訳を探そうとしたけれど、

はちまんの口からは、うまくことばが出てこなかったのです。


「はちまん、ダイジョウブ。」


やくもの声は、静かで、やさしかったのです。


はちまんは、そっと帽子をかぶりなおしました。

両手でぎゅっと押さえて、深呼吸をしてから。


「……このツノは、まだまだ修行中の証なのです。やくも。」


「ウン、知ッテイル。」


それだけを言って、やくもは棚の下に落ちた飾りを拾ってくれました。


画像

「はちまん、何モ無イ所デ いつも、転ブ。

焦ラナイデ。やくも、居ル、デスヨ。」


やくもは、

はちまんのことを、はちまんよりも、知っているみたいなのです。


必死に隠していたのに、

なんだか可笑しくなってしまったのです。

ふふっ、と笑いが零れてしまって。


そして大きく伸びをしました。


「さあて、きょうもがんばるのですっ!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ