感慨虚無量
心だなんてものがあるとするならば、私の持ち得るそれは感情等と言うものが収まる程に莫大なものでは無いのだろう。喜びも怒りも悲しみも、皆それぞれの方向へ突き抜けて私を引き摺り置き去って行く。どれを辿るも追いつく事など出来ず終いで。そこにあるのは、何も無い虚無。何も無い癖に、何も無いという音は私の心だなんてものをいつの間にかすり抜けて、気付いた時には切り裂かれている。感情は私から遠に離れているからそこからは何も溢れない。何も無い音に、何も無い事を見せ付けられて、何も無いこの場所で、何も無い私の膝が着く音だけが響き渡るだけの、何も無い時。この線だけの白色に、せめて彩りがあれば彼等も居てくれるのだろうか。