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第94話 パンドラボックス

パンドラボックスの語源はギリシャ神話にある。

主神ゼウスがパンドラに渡した箱で、あらゆる悪・不幸・禍を封じ込めてあったとのこと。

パンドラは好奇心で箱を開けるとあらゆる災厄が地上に広がり、箱に残ったのは希望だけだった。


僕はパンドラボックスに舌を伸ばし箱を開けようとしたが、箱はびくともせず開けることができない。

鍵がかかっているのだろうか?

しかし、どこにも鍵穴がないのだ。


叩いても揺すっても全く反応はない。

パンドラボックスはただ静かにその場に留まっている。


僕は再度パンドラボックスに触れようと舌を伸ばした。


バチッ


僕の舌に鈍い痛みが走る。

パンドラボックスに触れる直前に、僕の舌に電流が走ったのだ。


(我を所有したければ、所有者たる資格を見せよ)

僕の頭に直接声が響いた。


僕は振り返って辺りを見回したが、タケル以外誰もいない。

そのタケルも声は聞こえていないらしく、きょとんとしている。


まさか声の主はパンドラボックス?

まさかパンドラボックスは、箱の所有者がいるミミックなのか!?


僕はとっさに戦闘態勢をとった。

瞬時に空気が張りつめる。


(兄貴?一体何してんだ?)

戦闘態勢をとった僕に、タケルは困惑した声で話しかける。


僕は質問には答えず、パンドラボックスを睨み続ける。


(希望を見せよ。貴様の闘いには死しかない。

希望を見せるのだ。さすれば我は貴様の物となろう。)


やはりパンドラボックスが話しているのだ。

ただ、希望とはなんだ?

戦って敵を倒すだけではだめなのか?

食べなきゃ倒される。食べなきゃ飢えが満たされない。

一体にどうすれば、パンドラボックスのいう希望を示せるのだ?


(どうすれば、箱を開けられるんだ?)

僕は声の主に問いかけた。


(希望を見せよ。)


パンドラボックスの答えは変わらない。

抽象的で何を意味しているのかが、全く捉えられないのだ。


バタバタ


急に部屋の近くが騒がしくなった。

5~6人くらいの足音が聞こえる。


(兄貴!おそらくバレた。さっさとずらかるぞ!)

(まだ僕はパンドラボックスを手にしてない!ここで離れると獲得出来なくなるよ!)

(今敵に見つかるのはヤバイ!一旦逃げてまた戻ってこよう!)


おそらく僕らがいることはバレている。

タケルの言う通り逃げるのが上策だ。

ただ、パンドラボックスをみすみす逃すなんて…!


(兄貴行くぞ!今の兄貴じゃゲット出来そうもねぇよ!

戻って作戦を考えよう!)


残念だがその通りだ。

僕はパンドラボックスが僕に提示した「希望」の意味すら分かっていない。

おそらくここで何時間粘っても、パンドラボックスを手に入れることは出来ないだろう。

パンドラボックスがある場所が分かった。

今はそれだけで良しとしよう。


(タケル逃げよう!)

(兄貴、おせぇよ)


僕とタケルは来た時と同じ壁の通路を通り、最南端の部屋から外へと脱出した。

隣に部屋に敵の待ち伏せも警戒したが、どうやら敵はいないようだ。

壁を食べて侵入するなど、こんな非常識な方法を行うものはいないだろう。

それゆえにとなりの部屋は無警戒で、エリアには敵を配置すらしていない。

おそらく次回ここに訪れた際には、隣の部屋にも兵士が配置されているだろう。


(兄貴、一旦このエリアからバックレようぜ!)

僕には異論が無かった。

せっかくタケルが作ってくれた最大の好機を僕は活かしきれなかった。

一旦離れてしっかりと対策する時間が欲しい。


沢山思うところもあったものの、僕たちは一旦最南端のエリアから離れた。


僕らは時々後ろを振り返りながらも、シャーマンの縄張りを離れ北西方向へと向かった。。

幸いにも追ってくる者もいない。


特に当てがあったわけではない。


南エリアは全てモンスター同士で同盟を組んでいる。

東や北、北東エリアもエルフやドワーフ。人間たちが同盟中だ。

安全なところは中立の西、壊滅した北西のいずれかしかない。


僕らは北西を選択し、最北西端を目指して出発した。


「朝起きるとミミックになっていた~捕食するためには戦略が必要なんです~」を読んでいただきありがとうございます!


どんな評価でも構いません。少しでも気になると思っていただければどんな評価でも結構ですので★にチェックをお願いします。


もちろん厳しいご意見も随時受け付けております!


皆さまの応援が力となりますので、ぜひとも応援をよろしくお願いします!

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