第84話 ハルクの過去
「エラーコード#771【死者使役】はプレイヤーには使用できません」
一体どういうことなんだ?
ハルクがプレイヤー!?
だとしてもハルクを復活させることは出来ないのか?
いやだ!
僕はハルクともに獣人の戦士を倒すって決めたんだ!
それもまだ果たしていないのに、このままじゃ僕はどうしていいか分からないよ。
そうだ。
チュートリアルだ。
彼なら何か答えを持っているかもしれない。
ハルクがプレイヤーなんてバグも修正してくれるかも…。
僕はハルクを仲間にしてから連絡を取ってなかった、チュートリアルに助けを求めた。
しばらくすると、
「やっほー光君!久しぶりだね。
ずっと見てたよ~。
どうやらこっぴどくやられたみたいだね。」
相変わらずのハイテンション。
普段はイラっとする所だが、今はその声が頼もしくすら感じる。
「今日は何か用?ってハルク君のことだよね?
生き返らせたいの?」
さすが、ずっと傍観してただけあって話が早い。
(ハルクがプレイヤーって何かのバグだ!
エラーコードを解除する方法を教えて欲しい!)
僕は必死でチュートリアルに嘆願した。
ちゃんと調べれば、バグってちゃんと分かるはずだ。
しかし、チュートリアルの返答は意外だった。
「ハルク君がバグってどうしてそう思うの?」
ハルクがバグと思う理由…!?
そんなの決まってる!
まずはハルクの言動だ。
このゲームのことをしっかりと理解していないようで、プレイヤーとしてのチュートリアルを受けていないのだろう。
以前に記憶を覗いた時も、この世界の記憶だけだった。
プレイヤーなら、ゲーム以外の記憶もあるはずだ。
「でも、それがプレイヤーになった後に、記憶が改変されていたら?」
チュートリアルは何を言っているんだ?
記憶の改変?
そんなこと出来るはずがない。
「まず、光君の質問に答えよう。
答えはNoだ。
ハルク君は、僕らが呼び寄せたプレイヤーだ。」
えっ、そんなことって!?
「本名は、西園寺春樹。
彼は非常に優秀なプレイヤーでね。
すぐにこのゲームの仕組みを理解し、攻略を始めたんだ。
彼に与えた【バーサーカー】という種族も彼に合ってたらしい。
ゲームを初めて2日後には、1階層どころか2階層まで簡単に攻略したんだよ。
彼はとても頭が良くてね。特に相手を陥れる作戦を構築するのが大得意だったよ。」
凄い。僕の時とは大違いだ。
「僕らは、有望な新人が現れたと喜んださ。
彼の急速な成長に僕ら管理者みんなが注目していたんだ。」
なんか今のハルクからは想像もつかないな。
「しかし、彼は優秀過ぎた。システムの裏を上手く利用して、独自の方法で強くなり始めたんだ。
奴は次々と階層をクリアし、プレイヤーを仲間に引き入れていった。
現ダンジョンマスターも元は、ハルクの仲間だったんだ。」
ハルクにそんな過去が…。でもそれがどうして!
「ある日春樹は、スキルを利用してシステムを内側から書き換えていったんだ。
より自分たちが有利になるようにね。
ああ見えて彼は、プログラマー顔負けのスキルを持っていたんだよ。
さすがに、それを見逃す訳にはいかない。
かと言って僕らが直接手を出すことはできない。
そこで僕らは、私たちの代表者を彼にぶつけたんだ。」
代表者?
「そう、君が獣人の戦士と呼んでいる男だよ。
ZX‐002。それが彼の名前さ。
名目上、アレックスって呼んでいるけどね。
彼は僕たちがプログラミングした最強の戦士なんだ。」
獣人の戦士が意図的に作られたもの!?
それに実は2度ハルクと戦っていたなんて…。
強い因縁を感じてしまう。
「彼とハルクの死闘は何日も続いた。
お互いもうボロボロだ。
でも、最後はアレックスが押し切ったんだ。
意識を失くした春樹をアレックスは僕らの元に連れてきた。
そうして、僕たちはハルクと魔神を掛け合わせ、彼の記憶と危険思想を取り除いたんだ。」
チュートリアルの話を聞いてると段々と腹が立ってきた。
ハルクの記憶を奪うため、魔神と掛け合わせる!?
そんな人道を無視したことが行われていいのか!
「光君が怒るのはよく分かるよ。
でも、そうでもしないとダンジョン自体が崩壊の危機にあったからね。
それだけ春樹が優秀だったってことなんだ。」
・・・・。
確かに僕もシステムを改変できたり、ダンジョンを壊してしまえそうなスキルをいくつも所持している。
僕も処分対象に入っているのかもしれない。
「光君は大丈夫だと思うよ。そこまでスキルに依存しないだろうからね。
僕らも誰彼構わず処分するわけじゃない。
この世界のバランスを怖そうとする奴がいる時だけ活動するんだ。」
やはり、管理者たちはどこか信用できない。
今の話もどこまで本当か分からないのだ。
「話を戻すけど、君が呼ぶハルク君を生き返らせることは出来ない。ゾンビ化もね。
ただ、ハルクの力を活かすことはできる。」
えっ?それって一体。
「食べるんだよ。君がハルク君を食べるんだ。」
「朝起きるとミミックになっていた~捕食するためには戦略が必要なんです~」を読んでいただきありがとうございます!
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