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第77話 一人きりの戦い

部屋中に響き渡る叫び声をあげながら、獣人集団は僕に向かって襲ってきた。

近くにいるリュウを素通りし、わき目もふらず僕だけに向かってくるのだ。

リュウは獣人たちに対して何かをする様子もなく、傍観に徹しているようだ。


そもそも僕ってミミックになってから、一対多の集団戦闘が多い。

ミミックの闘いって本来そんなものじゃないだろう。

僕の思いも虚しく、いつものように集団戦闘へ突入した。


ただ今回は獣神の補正効果やスキルを使えない分、今までよりもかなり分が悪い。

まさかリュウはこうなることも、想定していたのだろうか?

今となってはリュウの目的が分からない。

盗り逃した宝を奪うだけならば、一緒に戦った方が効率的だ。

なぜだか分からないが、リュウは僕を戦わせたいらしい。


倒れているハルクやクロコがいるこの場所で戦うと、二人も傷ついてしまうかもしれない。

僕は闘いながら少しずつ、二人から離れて行った。


スピードこそないが、一発の攻撃力が高い獣人たち。

僕はスピードで攪乱しながら、獣人たちの同士討ちを狙う。

僕に対する一度の攻撃人数はおよそ4〜6人。

僕は1人の獣人の懐に飛び込み、僕を狙っての攻撃が確認できたら瞬時に移動する。

そうすると獣人たちの勢いが余って、味方への攻撃が成立するのだ。


集団戦闘ばかりを経験した僕にとって、この程度のことは造作でもない。

獣人たちの数も多い。

少しでもスキルや魔力を温存した戦い方の方が良いだろう。


僕は逃げながらも落とし穴のスキルを使用し、突進してくる獣人たちを穴の中へ突き落した。

もちろん、穴に落とすだけではない。

落ちた穴には致死量の毒ガスが充満しているのだ。


スキル同士の組み合わせ。

僕が今までの闘いで得た使い方だ。

スキルを上手く駆使すれば、集団戦闘であってもなんとか切り抜けられるのだ。


しかし、あまりにも多勢に無勢。

敵の攻撃も完全にかわせるわけではない。

獣人たちのハンマーや剣が僕の箱を傷つけ、砕かれた破片が宙を舞う。


僕は暗黒魔法【ダークフォグ】を使用すると、辺り一面に黒い霧が現れた。

僕の姿を見失った獣人達。

僕は床を高速移動しながら、獣人たちの足を連続で食いちぎった。

バランスを崩し倒れる獣人たちを、宝箱の中かから取り出したエルフの剣で瞬時に喉を掻っ切る。


バタバタと倒れていく獣人たち。

僕は倒れた獣人たちを【大飯食らいLv2】で一度に食べていく。

戦闘しながら敵を食べる。

体力回復・経験値上昇の効果もあるので、特に長丁場になる闘いでは必須の行為だ。


食べるのをためらうことはもう無くなった。

戦闘が有利になるのであれば、僕はたとえ女性の獣人でも一口で食べてしまうのだ。


食べるのは生身の体だけではない。

敵の鎧や武器も一緒に食べて、飛び道具としても活用する。

至近距離で広範囲に武器を投射されると、獣人たちは避けることが出来ない。

僕が武器を発射するたびに部屋は大量の血で染まっていった。


例え人数が多くても、この程度の相手なら何とかなる。

圧倒的な戦力差のため僕への攻撃を躊躇し始めた獣人たちを、僕は自分から攻撃をし始めた。


ヒューンと音がして、僕に向けて巨大な槍が投げつけられた。

族長だ。

族長が、後方から僕に向かって槍を投げつけて来たのだ。


ただ、単発の投げ槍が僕に当たるはずもない。

気をつけていればさほど、警戒するほどのものでもないのだ。


さらに投げつけてくる巨大な槍。

僕は余裕を持ってかわそうとした。


あれ?動かない。

僕の体が押さえつけられるような圧を感じる。

まるで僕の周囲の重力が増したみたいに。

…!?

リュウ?


リュウが僕に【重力操作】を使用したのだ。

咄嗟のことに動揺している僕に、族長の投げた槍は僕に向かって真っすぐ飛んできた。

ヤバい!

僕は無理やり体を動し、槍の直撃を避けようとした。


ドカッ

なんとか直撃は避けられたものの、僕の体はぶつかった衝撃で吹き飛ばされ地面を転がった。

倒れている僕に、獣人の集団が襲いかかる。


僕は【暴食】で自分にかけられている【重力操作】の影響を食べた。

【暴食】のスキルは、物理的に者を食べるだけではない。

非物理的な物も食べることが出来るぶっ壊れスキルだ。


なんとか体が動くようになったものの、獣人たちの攻撃を避けられず何発か攻撃を受けてしまった。

さらに攻撃を仕掛ける獣人たちを僕は【暴食】+【大飯食らい】で平らげた。


(一体何をしてるんだ!)


僕はリュウに怒りながら念話で抗議をした。

しかし、リュウから意外な答えが返ってきた。


(何でって、そのまま簡単に勝ってしまうと困るやろ。

もっと消耗してもらわんと…)


その時初めてリュウの本当の狙いが分かったのだ。


「朝起きるとミミックになっていた~捕食するためには戦略が必要なんです~」を読んでいただきありがとうございます!


どんな評価でも構いません。少しでも気になると思っていただければどんな評価でも結構ですので★にチェックをお願いします。


もちろん厳しいご意見も随時受け付けております!


皆さまの応援が力となりますので、ぜひとも応援をよろしくお願いします!

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