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第59話 関西弁を話すミミック

(兄さん、ほっといたら楽やったのに)


関西弁アクセントのミミックは、僕の頭に直接話しかける。

内容まではっきり理解できるので、おそらく高レベルの【意思疎通】保持者だ。



僕より一回りも大きい宝箱で、箱には綺麗な宝飾品が埋め込まれている。

赤いボディにシルバーの彫刻が施されており、これぞ宝箱と言うべきフォルムだ。


目を潰されて怒り狂う大ワニ。

関西弁を話すミミックに向かって突進してきた。


しかし次の瞬間、大ワニは大きな炎の柱に包まれたのだ。

おそらく彼(?)が使ったのは魔眼スキル。

しかも、より高位のレベルだろう。


一瞬で黒焦げになった大ワニは、そのまま動かなくなった。


(兄さん、ワニって食ったことある?ごっつうまいで)

関西弁の宝箱は僕の方を振り向いて言った。


大ワニが倒されたことで、ガラッと流れが変わる。

ワニ族、悪魔族は互いに戦うことを止め、全員僕らの方へと向かってきた。

黄金鎧の騎士も、一旦隊列を整えた後、僕らに向かうように号令を出したようだ。


ワニ族・悪魔族・人族の連合軍が僕らに襲いかかる。

ただ、奴らの狙いはあくまで宝箱の中身。

混乱に乗じて宝箱を回収しようというのだろう。


広い部屋が途端に狭く感じる。

激しい地響きを立てて、奴らは一直線に向かってきた。


(兄さん、あんたがいらんことしたから起こったことやろ?ちょっと手伝ってや)


確かに、傍観はしていられないな。

僕は戦闘準備をし始めた。


「んあー遅れてごめんよ」

水路からハルクが顔を出した。

ベストタイミングだ。

僕はハルクに後ろから攻め上がって、僕と合流するように伝えた。


関西弁の宝箱は強かった。

色々なスキルを使うというより、ミミック本来の持つ固有スキルを使いこなしているようだ。


特に凄いのが魔眼スキルの使い方。

迫りくる敵を【石化】で足の自由を奪い、隙が出来たところに強力な【火炎】で一掃するのだ。

デバフで動きを止め、強力な攻撃で一網打尽にする。

MMORPGの基本戦略を完全に身に着けている。

話し方といい、戦い方といい、彼は間違いなく外の世界から来たのだろう。


僕もいつまでも傍観者じゃいられない。

僕は、【落とし穴】+【暴食】に範囲攻撃が可能な【大飯食らい】を追加して発動した。

部屋中に沢山の穴が現れ、種族を問わず次々と穴の中へと落ちていく。

穴は僕の口へと繋がっており、僕は彼らを全て平らげたのだ。


(兄さんのスキル、ごっついなぁ)

目の前のワニを火だるまにしながら、関西弁ミミックはボソリとつぶやいた。


(俺も兄さんに負けてられんわ。よっと)


次の瞬間、関西弁ミミックの前方30m程の敵が全て床へと倒れこんだ。

人族やワニ族だけではない。

空を飛んでいた使い魔たちも同じように、床に押し付けられてしまった。


大きな手で地面に押し付けられるように、範囲内にいたもの達は大気の圧力に潰されてしまった。

その場で動けず苦しむ者、頭蓋ごと破壊される者、腕や足があらぬ方向にひしゃげてしまう者までいる。

おそらくミミック固有スキルの1つの【重力操作】だろう。

かなりのレベルの高さが伺える。


(俺、派手なこと好きやねん)

そう言いながら彼は、生き残った使い魔にとどめを刺していた。


入口付近ではハルクも大暴れ。

人間の部隊に囲まれるも、ハルクを止めることはできない。

ハルクの攻撃を前衛の2人で止めようとするも、ハルクの力の乗ったパンチは盾の上からでも即死級のダメージを与える。


後衛がハルクに攻撃をしかけても、ハルクは防御すらしない。

相手の攻撃を体で受け止め、間髪入れずに反撃を行うのだ。

あっという間に人族の部隊を蹴散らしたハルクは、僕のもとへ急ぐ。


しかしそんなハルクの前に、黄金鎧の騎士が行く手を阻んだ。

殴りかかるハルクをいなし、背後に回って切りつける黄金鎧の戦士。

他の人族とはレベルが違うようだ。

ハルクは黄金鎧の騎士の方に向き直り、彼をしっかりと睨みつける。

他の人族の部隊もハルクの周りに集まりだした。

どうやら人族は、ハルク一人に的を絞ったようだ。


ハルクのことばかり気にしてはいられない。

襲いかかるワニたちをかわしながら、【ブラックランス】を発動。

黒色の槍が宙に現れ、ワニたちを背中から突き刺した。


今度は関西弁のミミックの方に、全悪魔族が向かって行く。

そもそもの目的が彼だったかのように、他の種族には目もくれず関西弁ミミックに襲いかかる。

空中を飛び回りながら、残った悪魔族は全て彼の元に終結した。

関西弁ミミックもこれに応じ、悪魔族の方へ自分から向かっていった。


僕の背後から、先ほど火だるまにされた大ワニが立ち上がった。

僕を目指してゆっくりと歩いてくる。

それに呼応して、生き残ったワニたちが全て僕の方へ向かってきた。

ワニたちはまだ20匹は残っているだろう。

両眼を潰されながらも、他のワニに誘導されながら向かってくるワニもいる。

彼らにとって宝物、特にレアアイテムの死守は重大な任務なんだろう。

強い執念と使命感を感じる。


どうやら、関西弁ミミックvs悪魔族、僕vsワニ族、ハルクvs人族の戦いへと展開したようだ。


「朝起きるとミミックになっていた~捕食するためには戦略が必要なんです~」を読んでいただきありがとうございます!


どんな評価でも構いません。少しでも気になると思っていただければどんな評価でも結構ですので★にチェックをお願いします。


もちろん厳しいご意見も随時受け付けております!


皆さまの応援が力となりますので、ぜひとも応援をよろしくお願いします!

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