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第54話 大蛇討伐

ズズズッ


僕の近くまで近づいてきた音は、僕から30mほど離れた位置でピタッとその音が止まってしまった。


【聴覚Lv8】を最大限に使用すると、

シャー、シャーと言う息遣いが、音が止まった位置から聞こえてきた。


僕はさらに魔眼【千里眼】を使用し、息遣いが感じられるエリアを捜索した。

黒光りする細長い生物が、そのエリアで小刻みに動きながら留まっていた。

より詳しく見てみると、どうやら蛇系のモンスターらしい。

20mほどの大きさを持つ大蛇が、僕らを捕食しようと待ち構えているようだ。


平らな顔の半分以上を占める大きな口から鋭い牙が見える。

顔の大きさに比べて小さな眼は上向きに突出し、血のように赤く濃い。

体表は暗緑色と黒色の中間色で、黒い楕円形の紋様が入っている。

多くの傷跡が体表に刻まれており、数々のバトルを経験してきたようだ。

体は全体的に太く力強く、特に頸部でその傾向が強い。


【鑑定Lv8】を使用したところ、鑑定をする僕の目と大蛇の目が合った。

気付かれた!


僕と目が合った瞬間、大蛇がいる方向で大きな音が鳴った。

それと同時に、大蛇は僕たちの方へ凄い速さで向かってきた。

無数の鍾乳石も、大蛇にとっては何の障害物にもならない。

次々に破壊をしながら、僕との距離を詰めてくる。


僕は【毒針】や【パチンコ】など、飛び道具系のスキルで威嚇する。

しかし、僕の攻撃は全てその厚い体表に跳ね返されたのだ。


ハルクも床面をむしり取って大蛇に投げつけるも、全くお構いなしに僕に向かって一直線に向かってきた。

僕がこのダンジョンで戦った敵の中では、間違いなくNo.1の大きさだ。

おそらく大蛇の総重量は5t以上はあるだろう。

感じる圧迫感は、他の敵とはわけが違う。


僕は後ずさりしながら、覚えたての魔法【ブラックランス】を使用。

僕の目の前に1mを超す黒い槍が現れる。

槍全体が強い魔力で包まれており、見るからにその破壊力が予測できる。

僕は大蛇の目を狙って、ブラックランスを発射した。


突如現れた黒い槍に、一瞬動きを止める大蛇。

さすがにこの魔法の威力が分かったのか、今度は受けずに避けてしまった。

勢いあまったブラックランスはそのまま、天井に激突。

大きな炸裂音が生じ、天井部分の一部が破壊された。

その周囲のツララ型の鍾乳石群は、根本から崩れ地面に落下した。


思った以上の破壊力だ…

うまくコントロールしないとダンジョンにもダメージを与えてしまいそうだ。


僕の間合いまで近づいた大蛇は、頭から体の前面を天井に向かって反り返らせた。

6mほどの高さから僕を見下ろす大蛇。

その眼は僕をしっかりと凝視している。


おそらく、このまま加速をつけて僕に噛みついてくるだろう。

僕はその攻撃を後方に避け、無防備になった頭に攻撃を仕掛けてやろう。



一瞬の間を置き、大蛇は大きく口を開き、僕に向かって頭から突っ込んできた。

開いた口から鋭く尖った牙が左右に2本ずつ見える。


この大きさの敵にあの牙で噛まれてしまうと、いくら僕でもひとたまりもないだろう。

ただ、予想通りの攻撃だ。

直線的な攻撃を避けるのは、さほど難しくもないだろう。

あれ?


回避行動を行おうとした僕だったが、体が動かない。

まるで麻痺攻撃を受けたかのように、正面を向いたまま動けないのだ。


何で動けないんだ?

や、やばい!


僕の動揺をよそに、大蛇の口は最短距離で僕に迫ってくる。

僕に激突する瞬間、大蛇は更に大きく口を開いた。


噛みつかれた!

そう思ったが、大蛇の牙は僕の手前で止まっている。

ハルクだ。

ハルクが大蛇の尾の部分を引っ張り、動きを止めているのだ。


「ふん」

ハルクが力を込めると大蛇は僕の前から引っこ抜かれる。

ハルクは両手で大蛇の尾をつかみ、左右方向に振り回し始めた。


大蛇の体は一本の棒のようになり、振り回される度に鍾乳石や石筍に激突した。

2回転・3回転…ハルクは遠心力をつけながら回る度に、その回転スピードを増大させたのだ。

10回転目を超えた辺りだろうか、ハルクはその勢いのまま大蛇を投げ捨てた。


猛スピードで飛ばされる大蛇。

岩壁に激しい音を立てながら激突した。

ツララ型の鍾乳石がいくつも地面に落下し、大量の砂煙で辺りが包まれた。


あっ、体が動く。

僕の体の麻痺はいつの間にか解除されていた。

大蛇が何らかのスキルを使ったのだろう。


おそらくまだ大蛇は死んではいない。

僕は【千里眼】で大蛇の正確な位置を確かめると、大蛇はすでに動き始めようとしていた。

大蛇の動きを止めようと僕は【重力Lv4】で大蛇の周囲の重力を5倍とした。


明らかに動きが鈍る大蛇。

僕は間髪入れずに【ブラックランス】を連続で3回使用。

魔力に包まれた黒い槍が3本僕の前に現れる。

僕は、それぞれ角度を変えながら大蛇に向けて発射した。


【重力Lv5】で動きを妨げられながらも、回避行動をし始める大蛇。

ひょっとしたら避けられるかもしれない。

僕は確実に攻撃を当てるため、ブラックランスの一本ずつに【物理無視Lv1】を付け加えた。


一本の槍は突然その動きを止め、別の槍は直線的な動きから急に放物線を描き始める。もう一本の槍は急に加速した。


突然攻撃の軌道が変わり、攻撃を避けるタイミングを失った大蛇。

爆音を立てながら、全ての攻撃がまともにヒットした。


緑色の血を流しながらそれでも体を起こす大蛇。

この耐久力はさすがだ。


ただ僕も誰が見ているか分からないダンジョンで、これ以上の戦闘を長引かせるつもりはない。

僕とハルクは同時に大蛇に向かって行った。


大蛇はハルクに噛みつこうと口を大きく開けて攻撃を仕掛けるも、すでにスピードは無い。

ハルクは大蛇の攻撃をかわし、その首に太い腕を巻きつけた。

苦しそうにうめく大蛇の顔に、僕は魔眼【凍結】を使用しその顔を凍らせる。

ハルクは大蛇を締めていた手を離し、凍った大蛇の顔にパンチを打ち下ろした。

まるで飴細工が地面に落ちたように、大蛇の顔は木端微塵に砕けてしまった。


顔が砕けてもしぶとく動き続ける大蛇の胴体。

僕は再度魔眼【炎上】を使用すると、大蛇の胴体が激しい炎に包まれる。

僕たちの6階層最初の食事は、大蛇の丸焼きだった。


「朝起きるとミミックになっていた~捕食するためには戦略が必要なんです~」を読んでいただきありがとうございます!


どんな評価でも構いません。少しでも気になると思っていただければどんな評価でも結構ですので★にチェックをお願いします。


もちろん厳しいご意見も随時受け付けております!


皆さまの応援が力となりますので、ぜひとも応援をよろしくお願いします!

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