第107話 決着
しのぶに刺された槍を抜こうともがいているところに、槍を構えたしのぶが近づいた。
必死で逃げようとする僕だったが、しのぶは再度僕に槍を突き刺したのだ。
激しい痛みが全身を駆け巡り、僕の意識を容赦なく奪おうとする。
しかも突き刺した槍が地面まで到達し、僕は身動きすらできなくなってしまった。
止めをさそうとしのぶは3本目の槍を振り上げた。
薄れゆく意識の中で、僕は彼女の攻撃をただ見つめることしか出来なかった。
ドンッ、
鈍い音と共にしのぶの体ははじけ飛んだ。
タケルだ。
タケルがしのぶに体当たりを行ったのだ。
「兄貴、しっかりしな!」
タケルは僕に刺さった2本の槍を引き抜き、【応急処置】のスキルを使用する。
おかげで意識は回復したものの、大きなダメージを受けてしまっていた。
タケルは僕を助けに来るまでに、ナースとアヌビスを倒してきたようだ。
タケルが戦っていた方向には2体の姿はすでに無かった。
一体タケルはどのくらい強いのだろう。
僕はタケルに助けられて安心したと同時に、タケルの強さに恐怖すら覚えていた。
「兄貴、終わらせちまおうぜ。」
タケルはそう言うと重複亭箱太郎に向かって突進した。
彼なりに僕にしのぶに反撃する機会を残してくれたのだろう。
僕は再度しのぶに向き合い、攻撃を開始した。
かなりのダメージを受けてしまったが、ここで負けるわけにはいかない。
僕がここで勝たないと計画の全てが失われるのだ。
スピードで勝るしのぶに対抗するため、僕は【暴食】で彼女との距離を食べた。
離されても離されてもしのぶに接近し、攻撃を繰り返した。
彼女もただ逃げるだけではない、僕の隙を突き槍で攻撃を仕掛けてくる。
しかし、一度見た攻撃は僕には当たらない。
彼女の槍を【奪うLv9】で奪い、怯んだ彼女に僕の舌がまともにヒットした。
彼女がぐらついた隙に、僕は使役ミミック37体に彼女を襲わせた。
しのぶは使役ミミックに囲まれて、攻撃を避けることに手が一杯となっている。
それでも彼女は強かった。
群がるミミックたちを、彼女は避けながら倒していく。
ミミックの攻撃を避けると同時に、しのぶは異空間収納から取り出した新しい槍をミミックに突き刺していたのだ。
攻防一体。
彼女の闘いは実に理に敵っていた。
おそらく彼女は現世でも何かの格闘技に精通していたのだろう。
彼女の華麗な闘いに、使役ミミックたちはみるみるその数を減らしていった。
しかし、そんな彼女も意表をつく攻撃に弱い。
彼女が着地する地点に、僕は瞬時に落とし穴を設置した。
着地したところに床はない。
彼女の体は落とし穴に引き込まれてしまった。
落ちまいと耐える彼女に、僕は落とし穴の中に【ブラックホール】を設置した。
強力な吸引力が彼女を穴の奥へと誘う。
穴は異空間を通り僕の口に繋がっているのだ。
僕は穴に落ちた彼女を、異空間を経てぱくりと噛みついた。
残るは重複亭箱太郎ただ一体だ。
箱太郎はタケルの連続攻撃に防戦一方となっていた。
僕は残った使役ミミック20体に、箱太郎を攻撃するように指示をした。
もちろん、僕も箱太郎の元へと向かう。
僕が来るのを待っていたのか、箱太郎は急に方向を変え僕の方へと向かってきた。
確かに箱太郎は強かった。
しかし、【物質移動】と【物理無視】を持っていると分かっている箱太郎は恐くはない。
彼は僕にスキルを見せすぎた。
マジックの種が分かっているマジシャンは、何の脅威も感じないのだ。
箱太郎は異世界収納からいくつもの剣を取り出した。
それを一か所に集め、僕に向かって放出したのだ。
僕は使役ミミックに多方向から箱太郎を攻撃するように指示。
数匹は僕の周りで護衛をするように伝えた。
剣が僕に到達する前にタケルとミミックが箱太郎に攻撃を仕掛ける。
しかし次の瞬間、箱太郎は僕に向かって飛ばした剣のうちの一本と位置を入れ、替え僕の目の前に現れた。
しかし、それも想定内。
僕は箱太郎が移動する直前に、【大飯食らい】を発動していた。
箱太郎が僕の目の前に現れた時には、僕はすでに箱太郎に噛みつこうとしていた。
ガチン!
間一髪僕の攻撃を避けた箱太郎だったが、避けた方向に使役ミミックたちが口を開けて待機している。
さすがの箱助も、ミミックたちの攻撃を避けることは出来なかった。
態勢を崩し地面に倒れた箱太郎に、ミミックたちが集団で飛び込んだ。
ガツ!ガツ!ガツ!
ミミックたちは箱太郎のあらゆる部分に噛みついた。
箱太郎の小さな悲鳴がミミックの集団の中から、弱々しく聞こえてきた。
ついに箱太郎の退場が決定した。
審判のジークフリートが戦闘に参戦することも予想していたが、審判のジークフリートはこれ以上闘いを延長するつもりはなかったようだ。
これにて100対3という、圧倒的不利な条件でのミミックバトルは終了した。
苦戦を強いられたが、僕らはなんとか勝利することができたのだ。
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