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第99話 ミミックキング

最北端でミミックたちを待つ僕とタケル。

投稿してから1時間が経ち、最初のミミックが現れた。

通常の宝箱よりも一回りも小さい宝箱。

その箱には無数の傷がついている。

そのミミックはまっすぐ僕の方に近づき、自分のハンドルネームを「ジークフリート」と名乗った。


彼は僕のスレッドに最初に皇帝的なレスをしてくれたミミックだ。

彼は今までの自分の経験と、7階層で孤軍奮闘してきたことを話してくれた。

その上で今の彼に足りないものをしっかりと分析し、仲間を作ることの重要性を認識しているようだった。


次に現れたのは、可愛らしい花柄の宝箱だ。

宝箱としては怪しすぎないかと思いはしたが、敢えて伝えずにいた。

花柄のミミックは、「うさぴょん」と名乗った。

宝箱同様本人もお花畑系らしい。

うさぴょんは、仲間になるかどうかは別として自分以外のプレイヤーを見たかったそうだ。


続々とミミックが集まってくる。

僕らに挨拶をしにくる者もいれば、敵意むき出しで睨んでくるミミックもいる。

投稿から2時間後には20体以上のミミックが集まったのだ。


(ひゃっはー!一杯餌があつまっているぜ!)

(ああ、全部食っちまおうぜ)


もちろん、全員が善意で集まったミミックではない。

中にはこれを好機ととらえ、集まったミミックを捕食しようとする馬鹿も現れる。

実はこれも僕の狙いの一つだ。

こんな馬鹿からミミックを守るという名目で、違和感なくプレイヤーミミックを食べられる。

スキルUPのために馬鹿を利用できるのだ。

また、僕の力を他のミミックに見せつけるということもできる。

主催者たるもの相手を惹きつける強さも必要だ。

弱い奴には誰もついて行かないのだ。


2匹のミミックは他のプレイヤーミミックに襲いかかった。

僕は一匹のミミックに魔眼【威圧】を行う。

このスキルは自分の力が相手を上回っている場合に効果を発する。

馬鹿は僕の【威圧】で動けなくなった。

僕は動けなくなった馬鹿に近寄り一口で平らげた。


もう一匹の馬鹿ミミックはタケルが相手をする。

攻撃しようとするミミックに、タケルは伸ばした舌に巻きつけた剣を蓋の上から勢いをつけて突き刺す。

地面に剣で縫い付けられて動けなくなった馬鹿ミミックを、タケルは一口で平らげた。

タケルの食べるスキルもかなり高いようだ。


あっさりとミミックを倒してしまった僕たちに、ミミックから歓声が沸き起こる。

掴みは上々だ。

おそらく同じような馬鹿はまだ現れるだろう。

僕はむしろそれを待っているのかもしれない。


馬鹿を平らげたおかげで僕は新たな称号【蛮勇】と、新たなスキル【食わず嫌い】【騙す】【武器耐性】を獲得した。


「【蛮勇】獲得により、【不意打ちLv8】がLv10となり【暗殺Lv1】に深海しました」

「【蛮勇】獲得により、【岩石投げLv1】がLv3 となりました」

「【蛮勇】獲得により、新スキル【防御無視】を獲得しました。


「プレイヤースキルを3つ取得しましたので、スキルの合成が可能です。合成しますか?」

チュートリアルが言っていた合成が可能になったようだ。


さまざま候補はあったものの、僕が選んだのは【ミミックキング】だ、

この称号はどうやらプレイヤーを3体食べるだけではなれないようだ。

【暴食】【真理】等最強クラスのレアスキルの獲得が必要らしい。

あくまでプレイヤー3体捕食というのは条件の1つにすぎなかった。

確認すると、僕が現在所持しているスキル、レベル、能力等、獲得する条件に達している。

僕は迷わず【ミミックキング】を選択する。


選んだ瞬間、僕の体は金色の光に包まれる。

まるで僕の体は宝箱というより、宝石の一部になったような感覚だ。

光が落ち着き始めると、さきほどまでざわざわしていたミミックが急に静かになる。

どのミミックも僕をじっと見つめ、目を逸らそうとするものはいない。

まるで僕の命令を待っている忠臣のようだ。


僕のステータスを調べてみると、【チャームLv5】が恒常スキルに追加されている。

つまり常に相手を魅了し続けると言うわけだ。

さらに【ミミック使役Lv5】も追加されている。

このスキルは、その名の通りミミックを使役出来るスキルだが魔眼【千里眼】の組み合わせで遠くにいるミミックも使役できるようだ。

さらにレアスキル【相互理解】を使用すれば、広範囲のミミックにも効果が現れるだろう。


チャームが有効な相手は自分よりも格下の者のみ。

しかも必ず成功するわけではないので、注意が必要だろう。

ただ、今ここにいるプレイヤーミミックたちの多くはチャームにかかっているようだ。

僕に対する彼らの態度は明らかに変わっていた。


約束の時間まではまだ3時間ほどある。

まだまだこれから続々とプレイヤーミミックがやってくるだろう。

今のうちに新しく獲得したスキルの使用方法について練習しておこう。


幸いこの部屋にも使役できそうなミミックは沢山いる。

まずはミミックたちを使役して、使い勝手を試しておこう。


僕は一旦その場を離れ、近くにいるミミックの方へ向かって行った。


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