4 新しい仲間
『ガアアァァァ!!』
シャドウウルフが耳を塞ぎたくなるような轟音で吠える。
その声はただの音の振動なのにビリビリと空気を振動しルーナとキカの二人を縛り硬直させた。
明らかに不自然な停止。
「畏怖咆哮か!」
モンスターにはその特徴となるスキルがある。
スライムが強酸を出し、サイクロピアバットが意識を眩ませる超音波を持っているように、シャドウウルフは口から魔力を乗せて対象を縛る強烈な咆哮を出した。
それに縛られると強制定期に体が動かなくなる。
「(くっ、これは! 咆哮でこのプレッシャーか!!) 避けろ!」
当然、ルーナ達を停止したあとに動いたのはシャドウウルフだった。
ルーナたちより距離がある場所にいたミゲルには効果が薄く、彼はすぐに立ち直った。
すぐさま注意を促しそのおかげか金縛りが解けた二人はギリギリで意識を回復し回避しようとするが間に合わない。
その二人の間をシャドウウルフの巨体が切り裂く。
『ギィィィィィィ!!』
標的となったのはサイクロピアバットだった。
爪に深々と突き刺されただの一撃で消滅する。
さらにそれで終わりではない。シャドウウルフはルーナたちに追撃しようとした。
が、小さな魔法陣の障壁が現れ二人を直撃から遠ざけられ、衝撃で吹っ飛ばされたものの直接的な傷は負っていない。
「い、今のは?」
「な、なけなしの魔力障壁だ。に、二度目はないぞ……」
ルーナたちを守ったのはミゲルが出した魔力障壁だった。
思ったよりは強固だったが一度出しただけで壁に手を突いて苦しそうに呻くミゲル。
額には汗が浮かんでいて本当に二度目は無さそうな緊迫した雰囲気は伝わってくる。
「(だいぶ無理させちゃってる!)ごめん! 私やるわ!」
「やめろ、ルーナ! 私たちの敵う相手では……!」
狩人としてモンスターと戦うことも多いキカは経験としてかなりの難敵だと肌で感じており、迂闊に手を出すのはその怒りを買うだけだと悟っていた。
その反面、知識と経験が少ないルーナの方が先に地を蹴った。
無謀ではあるが、無理をしているミゲルを見て逸る思いが湧いてしまっていた。
「やぁ! 【ニンブル】」
短時間の間に一人前の戦士として認められるほどに成長したルーナが一瞬で普通ではあり得ない速度で急接近する。
死体の山を見れば分かるが、ただの盗賊風情では防げないのが【武行】だ。
本来であればたゆまない努力の末に会得出来る技術をミゲルによって昨日までただの村娘だったルーナが扱う。
風を切り反応出来る者がいなさそうなスピードに達した。
『グルゥ!』
だがシャドウウルフは四肢をバネのように折り曲げ一瞬で後方へ跳んだ。
サラブレッド並みのサイズでその素早さは瞠目に値するほど。
シャドウウルフの危険度はBで特殊な武器やスキルを持っていないと相対することも敵わない。
「そんな!」
すでに何人も盗賊を倒しルーナは今の自分の実力に自信を付けていたのだろう。
けれどその過信は難なく空を切るだけに終わる。
少なくてもルーナの俊敏性より上らしい。
「ならばこれはどうだ!」
次にキカが弓を持ち出し速射した。
『ガァ!』
ひゅっと風切り音がしてシャドウウルフに向かうが幾人もの盗賊の命を一射で奪った苛烈な矢はなんとシャドウウルフが口で噛んで止めてしまう。
バキリ、と犬歯が見えた歯で矢は真っ二つに粉砕された。
「なっ!?」
今度はキカが目を丸くする番である。
固い鱗で弾かれたり素早く避けられるというのは今まで狩人として経験した中にあったが、口で掴み取るという荒業を見せられたのは初めてだった。
それだけに実力の差が如実にハッキリとした。
「(まずいな、シャドウウルフは縄張りを侵す者にはその巨体で食らい尽くし、個体によっては森を守護する神になるとさえ言われているモンスターだ。それが相手となると今のあの二人では勝機は薄い)」
ミゲルが頭を捻っている間にもシャドウウルフはルーナとキカに体当たりを敢行し、二人はその質量に吹っ飛ばされ地面を転がる。
「そうだやっちまえ! ったく手下共を全部殺してくれやがってよ! お前らは痛めつけた後に生きるのが嫌になるほどたーっぷりお仕置きしてやるぜ!」
一人生き残った盗賊の頭からは下卑た男の声が聞こえる。
男は部下を殺された恨みと極上の女がすぐに手に入る喜びとでハイになっているようだった。
「(こいつが盗賊の首領か。この男がシャドウウルフを使役している? いやただの盗賊にそんな力などありはしないはずだが……)」
注意深くミゲルは観察する。
「きゃあ!」
刹那、ルーナの絹を引き裂くような悲鳴が聞こえミゲルの思考は中断される。
シャドウウルフの爪が彼女の手に当たり皮膚を切り裂いたのだ。
『グルルルルル!!』
倒れるルーナにシャドウウルフが迫ろうとすると――
「馬鹿野郎! 傷を付けるんじゃねぇよ! この駄犬が!」
『キャウウウウウン!!』
盗賊の頭が唾を飛ばすと同時にシャドウウルフの全身に雷のようなものが流れ苦痛を漏らした。
その瞬間、ミゲルはシャドウウルフの首辺りの長い毛の中に何かを見つける。
「(あれは首輪か。男からの微量な魔力信号があそこに送られていたが……さしずめモンスターを操るための魔道具と言ったところか。なるほど盗賊風情にシャドウウルフが飼われている訳だ。300年も経てばそのような品も出回るか)」
首にくくり付けられている首輪には中央に魔石のようなクリスタルがはめ込まれていた。
そこから想像を絶するような痛みが流れ縛り付けているのだと推測する。
『ガルルルルルルルルルゥ!!』
すぐに痛みが収まったシャドウウルフは歯を立て親の仇でも見つけたような視線を盗賊に向ける。
「なんだぁ? 俺様に盾付く気か? だったらもっと痛みを与えてもいいんだぞ? いいから傷を付けずに弱らせろ。それぐらいの知恵はあるだろ!」
自分勝手なことをのたまう盗賊にシャドウウルフは渋々といった様子でルーナたちに向き直ると、その全身がずぶずぶとまるで底なし沼にはまり込んだかのように沈んでいく。
「な、なんだ!?」
「シャドウウルフの代名詞である『影渡り』だ! 影に潜み獲物を狙う。気を付けろ、夜はそいつの独壇場だ!」
視界内であれば影から影へとワープし獲物をどこからでも追い詰める。それが彼らの鉄板の狩り方だった。
ミゲルからの切迫した注意が飛ぶが、体高が一メートル半はありそうな体が綺麗さっぱり無くなるとルーナたちはきょろきょろと辺りを見渡すしか方策がなかった。
音も無くそれはキカの背後に現れる。
「後ろだ!」
全体を俯瞰できる位置にいるミゲルからしても闇に溶け込むシャドウウルフの存在に気付くのはかなり難しい。
声が掛けられたタイミングではすでにキカに向かって迫っていた。
彼女の腹の下に顔をぶつけそこから掬い上げると空中に投げ飛ばす。
数メートル上からの自由落下。
「うわっ! ぐっ!」
キカは大した受け身も取れないまま数秒で痛烈に地面と激突した。
打ちどころが悪かったのか腕を抑えて歯を食いしばる。
「キカさん!」
怪我を押してキカの援護に向かおうとしたルーナにもシャドウウルフは容赦なく突進を掛け、交差する直前に彼女の剣を爪で弾き飛ばす。
「あ!」
剣が地面に滑りそれに気を取られている間にもシャドウウルフの連携は続いていた。
無防備なルーナの背中にタックルを入れると華奢な体は簡単に転ばされる。
「う、うう……ま、まだ諦めるわけには……あぁっ!」
立ち上がろうとするがたったこれだけの攻防で力が上手く入らず、それすら難しく再び倒れてしまう。
「(こ、ここまでなの……?)」
何をしても勝てる要素が見つからない。シャドウウルフはまだ本気すら出していないのだ。
体力も限界に近付き、ふり絞った気力すらも折れ欠けているようだった。
「ぎゃはははは! そこまでのようだな!」
それを見届けてから盗賊は勝ちを確信したのか体をミゲルに向けて余裕しゃくしゃくで話し掛ける。
「よお小僧、次はお前の番だ。だが安心しな命までは取らねぇ。お前のように魔法まで使えるガキは珍しいから奴隷商に売ってやるよ。そんであいつらは俺が大事に大事に死ぬまでしゃぶり尽くして可愛がってやる」
「奴隷商に売る? ということは捕まっていた娘は?」
「あぁそうだ。ちょうど夕方に街の奴隷商がやって来たんで売っ払っちまったよ、オークションでキモい金持ちの爺とかに買われるんだろうぜ」
盗賊の言葉は倒れているルーナの耳にも入る。
「そんな……」
ルーナの顔色がさらに悪くなる。
「ちっ、一足遅かったか。もう一つ訊く。あのような逸品のシャドウウルフをどうやって捕獲した? 盗賊風情では10人どころか100人掛かりでも取り押さえるは不可能だろう?」
「そんなことが聞きたいのか? まぁいいだろう、あれは半年ほど前に森で拾ったんだよ。その時は子犬ぐらいの小ささだったのにたった半年であの大きさだ。懐きもしなかったがちょうど商人から強奪した『隷属の首輪』があったから使ってやった。おかげでモンスターや盗賊退治の冒険者とか返り討ちにし放題だぜ。ぎゃはははは!!」
「そういうことか。つまりあいつは『はぐれ』なのだな。面白い。聞けば聞くほど欲しくなったぞ」
「あ? 何を言ってるんだ? あれを見ろよ。手加減されても女たちはあの犬に敵わねぇ! それともお前が破れかぶれで向かって来るか?」
盗賊の言う通り、まだ立ってはいるがルーナもキカも散々に体当たりで転ばされ体力は尽きる寸前のようだった。
対してシャドウウルフはほぼダメージを負っていない。勝負は誰の目に見ても明らかである。
一番元気そうなのはミゲルだが力も魔力も子供並み。ここからの逆転などありはしない。
だがミゲルは吠える。
「犬だと? 痴れ者が! シャドウウルフは本来はお前ごときが指図出来るモンスターではない! そして俺の配下たちもこのまま終わるような者ではない! 驕るなよ木っ端が」
その言葉を理解しているのかシャドウウルフはミゲルの台詞が耳に入った途端に動きが僅かに止まる。
「ミ、ミゲル……」
ルーナとキカもその言葉を聞いて鼓舞されほんの少しだけ反応があるが、それでも立ち上がるまではいかない。
「よぉぉぉく言ったな小僧、だったらもうお前は要らねぇ。殺してやるよ!!」
盗賊は青筋を立てて一発で怒り心頭になり、自前の剣を抜く。
名剣でもない何の変哲もないただの鉄剣だが、それでも子供の首ぐらい跳ね飛ばすことは可能だろう。
逃げることも不可能。
なのに彼は逃げようともしない。
「ミゲル! 逃げて! もう誰かを失うのは嫌!」
それを分かっていてルーナが沈痛な面持ちで叫ぶ。
しかし届くのは声と想いだけ。体は今すぐ駆け寄るのは厳しいほど消耗し切っていた。
「俺に喧嘩を売ったことを後悔して死ね! 小僧がぁ!」
盗賊の剣が振りかぶられ、そして一気に振り下ろされる。
「ミゲルゥゥゥゥ!!」
ルーナの最後の祈りもやはり届かない。
「――うあぁぁぁぁぁ!!」
その刹那、特大の悲鳴が森に響く。
しかしその声の主は――盗賊の方だった。
彼の顔にはべっとりと『スライム』が貼り付いていたのだ。
どうやら砦の外側の壁にいてそこからダイブしてきたららしい。
「ふんぐぐぐぐ!」
いきなりスライムによって鼻と口を塞がれ呼吸困難になった盗賊はしゃにむに力ずくで剥がそうとやっきになる。
しかしスライムも必死の抵抗をし、接着面からジュウ、と溶解液が出て煙が吹いてきた。
「やはりルーナより役に立つな。指示は出したがいいが入り口にいて足に巻き付いて逃げる者を止めようとしているのかと思いきや、まさか入り口の壁に貼り付いていたとはな。まんまと掛かりおったなこの大間抜けが!」
逃げる盗賊を足止めしろと指示は出した。
しかしそれは足を引っ掛ける程度の妨害で考えていたミゲルだったが、スライムはより逃がさないよう壁を伝って入り口の扉付近にまで移動していたのだった。
ドヤ顔で威張り散らすミゲル。
彼の魂胆は単純なものであった。すでに呼び出していたスライムが頭上にいたのに気付いていたので、あとはちょうど良い位置まで盗賊を誘導してタイミングを見計らっただけである。
「ぐっがががああああああ!」
だが昼間のゴブリンと違い盗賊は何とかスライムを引きはがして地面に叩きつける。
その衝撃で核に損傷を負ったのかスライムは消えていった。
九死に一生を得たのもつかの間、盗賊の顔は爛れて見るも無残な様相になっていた。
「はぁ……はぁ……て、手前ぇ、よ、よくやでぐれやがっだな! もうどうでもいい! やれクソ犬!! こいつを女たちの前で食いちぎってやれ!!」
怒り任せになった盗賊の続く言葉に緊張が走る。
もしここでシャドウウルフに本気を出されたらもう本気で止めようがなかったからだ。
だがその絶望はやってこない。ミゲルを食い殺そうと動く音が聞こえず、返ってきたのは静寂の音のみだった。
「ん? があっ!!」
盗賊がシャドウウルフに顔を向けようとすると一陣の風が、いや影が疾風となって盗賊を押し倒す。
それは今まで苦汁を舐めさせられていたシャドウウルフだった。
「ど、どういうことだ!?」
盗賊は何があったのかシャドウウルフの股下にいてなお理解出来なかったのだろう。顔は理解不能で満ち溢れていた。
対してそれを仕掛けた張本人だけは邪悪に嗤う。
「知っているか? スライムは簡単に増える。魔力源はお前の部下の死体だ。そしてお前が顔を焼かれ醜いダンスを踊っている間にもう一匹をあのシャドウウルフを縛る首輪へと投げ付けておいた」
「はぁ!? だとしてそれがなんで!?」
「あの手の魔道具は切断しようとしたり契約主に反抗しようとすると防衛発動するのだろうが、受信装置の魔石ごとスライムの粘液で全て包めば受信不可能になる。地下で魔石の使われている簡単な仕組みも見た。悪いが魔石の特徴については300年前から知っているのだよ。まぁこの時代にスライムで試そうとしたやつなどいないだろうがな」
シャドウウルフの首元の背中にぴょこんと新しいスライムが顔を出す。
そしてミゲルが盗賊に近付いた。
「――支配していたものに足蹴にされるのはどんな気分だ? えぇ三下? どうせなら命乞いでもしてみろ」
「た、助けてくれ。な、なんでもする!!」
「ほぉ、いいだろう」
「ミゲル!!」
涙目になった盗賊が命乞いをしてそれを大して考えもせず承諾するミゲルにルーナが咎める声を出す。
ここの状態になるまでかなりの苦労を要した。薄氷の勝利と言ってもいいかもしれない。それを無為にする発言だ。当然だろう。
だがミゲルは手でルーナを制す。
「ただし手を出さないのは俺たちだけだ。そこのシャドウウルフは違う。お前が真に愛情を持って接していたのなら助かるだろうが、そうでなければ……。まぁお伺いを立ててみろ」
「はぁ!?」
口の端は三日月のごとく吊り上がり普通は子供がしない邪気のこもった顔でミゲルはそう答えた。
盗賊の目線は上に向かう。そこには暴発寸前で口から涎が垂れるシャドウウルフがいる。
困ったのはもちろん盗賊である。愛情を持って接したなどと嘘でも言えるはずがない。その自覚があったからだ。
けれど毛を逆立て眉間と口吻に皺を寄せ尖った犬歯を剥き出しに狂暴に喉を鳴らすシャドウウルフが盗賊の僅か数十センチ手前にいる。
今も体を抑える前足の爪は肉にめり込もうとしていた。
出来ないではなく、やるしかなかった。
「ひぃっ! た、助けてくれぇ! お、怒るのは分かる! で、でもよ! お前に餌を与えて生き延びさせたのは、お、俺のおかげだぜ? お、思い出してくれよ? な?」
盗賊は顔を青くさせ頬を引きつらせながら命乞いにも似た説得をする。
確かにシャドウウルフが群れからはぐれ命を失わずに済んだのは下心があったとはいえ盗賊のおかげでもあった。
それに恩義を感じているならば一縷の望みは繋がる。
しかしながら当のシャドウウルフの脳裏に過るのは子犬の時に食べかけの残飯を顔に当てて寄越してくる盗賊や、蹴ってきてニヤニヤと笑う歪な笑い、首輪の電撃で痛めつけられる映像だった。
「お、俺は恩人だろ?」
だからシャドウウルフの眉間にはますます皺が寄り――
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
胸に牙を突き立てられ盗賊の絶命する声だけが森に木霊した。
廃砦を占拠した盗賊団の壊滅の瞬間である。
「ミゲル!」
それからややあってルーナとキカが駆け付けて来る。
キカの方は腕を庇っている様子だった。
「腕を痛めたのか?」
「あぁ、しばらく戦えないかもしれない。それよりよくやったな。さすがにもうダメかと思った」
「首輪の魔力遮断が出来るかどうかは知識としてはいけると踏んでいても半分は賭けだったがな。それより――」
ミゲルがこれみよがしにルーナに向かって同意を求める。
「あぁもう何が言いたいか分かったわよ! 私が悪かったわよ。スライムも使い方次第なのね、ごめんなさい!」
地面にいるスライムも体を伸ばして「気にすんな」と言っているようだった。
そしてシャドウウルフがミゲルに向かって頭を垂れる。
「グルゥ」
「ふっ、俺を主と認めたか。良かろうお前も幕下に降れ」
手をかざすと召喚陣が現れ、ガーディアウンウルフが光り輝いていく。
それは召喚の契約だった。
しかしその光のシルエットはに何か異変があったらしくルーナの表情が焦ったように変化していった。
「え? えええええええ!?」
―とあるギルドのベテラン男性職員―
「なんで盗賊をすぐに退治せずのさばらせておくかって? そりゃまぁひとえに金と見栄の問題だ。退治するには最低でもそれと同数の冒険者を雇うことになるよな? その金は一体誰が出すかっていう駆け引きなんだよ。盗賊によって街道が荒らされると一番困るのは当然商業ギルドの連中だ。だが商人が居つかなくなって物流が細くなるとその税金で食ってる領主にも被害が来る。そこで両者のどっちが金を出すのかって話になるのさ。まぁ領主の場合は私兵だがな。どっちも腹を痛めたくないから段々と被害が大きくなる。命より金と面子の問題なのさ。そしてぶくぶくに太ったところを叩いて盗賊が貯め込んだものを頂く。そんな腹黒い狙いもあるんだよ。冒険者も依頼でもなけりゃリスクは背負わん。世の中そんなもんなのさ」