#1
「まーたお呼びなのですか⁇
またつまらない頼み事なら早急にお断りさせてもらいますよ(『 ̄∀ ̄)『」
今宵も草陰に呼ばれてたくましき虫の姿に変幻して大きな茶色の毛玉の塊と会話が始まる。
「この前はすまないと思ってますよ。渾身のジョークだったと思ったのだけれど」
正体不明の生命体、ラーパはゆっくり揺れ動く。
「とてもつまらなかったでーす(『 ̄^ ̄)『」
そう答えながら大きな鎌を研ぎ始めるカマキリのアイドル、トウロウ様。
「早速本題に入りましょう。
私は今そうめんが食べたいのです」
「ほう!そうめん!いいですねぇ‼︎
トウロウ様も食べたいです(『・∀・)『」
美味しいものに目が煌き、研がれたピカピカの鎌をカンカンならす。
「なら頼みましたよ」
「え?(『 ̄∇ ̄)『」
思わずトウロウ様は硬直した。
「トウロウ様が持ってくるのですか⁉︎
なんでぇ〜(『・Д・)『」
「私はほら、あまり動けないからトウロウ様がその背中に生えた漆黒の翼で持って来てくれません⁇」
「漆黒じゃありません‼︎高貴なグリーンなのです‼︎見えないのですか⁉︎この美しき羽が‼︎
それに持ってくるってどうやってするのですか(『 ゜д゜)『」
トウロウ様は羽を広げて漆黒でないことをアピールする。なんと言ってもトウロウ様はアイドル。アイドルは漆黒などではなく明るい色を好むのです(トウロウ様曰く)。
「トウロウ様なら持って来れますよって。さぁ行って来てくださ〜い!」
「…(『 ˙-˙ )『」
トウロウ様はラーパの無茶振りを素直に従いグリーンの羽を広げて飛んでいった。その行動にラーパは少し驚く。
数分後……
集まっていた草むらに大きな足音が響く。その音にラーパは慄きすぐ様身を潜める。
「ラーパさーん。
出て来て下さーい(『 ・∇・)『」
聞き覚えの喋り方に気づきラーパは草陰から足音のもとへと顔を出す。
すると人の姿に変幻したトウロウ様がいた。
「ど、どうしたのですかトウロウ様⁇持って来てくれたのなら背丈を合わしてくださいよ〜」
「…( 『・∇・)『」
ラーパは黙るトウロウ様の異変に気づいた。
「トウロウ様、なんで男装なんてしているの⁇」
「…そう!!men(『*⁰▿⁰*)『」
「……。」
気まづい空気に涼しい夜風が長く伸びた草を撫でる。そしてラーパは暗闇へ消え去った。
「そうめん食べたい( 『;∀;)『」
こんな一夜は誰も知る余地もない。
今回の送っていただいたワードは
晴山猫様より
「漆黒の翼」
室園ともえ様より
「そうめん」
でした‼︎ご参加ありがとうございます♪
ではまたいつの日か!