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「お久しぶりですよー。この姿になるのもここを飛び出して三年…
いや、三百年くらいという設定でいきましょうか( 『・∇・)『」
「わざわざそこにこだわる必要は分からないし、そこまで経ってないからね。けれど来てくれてありがとう。
そう言えば世界征服の進捗はどうなの?」
「いやー人間なんて赤子の手、いや、猿の赤子の手をひねるくらい簡単だと思ってたんだけれど意外に手強いのですよー(『 ̄∀ ̄)『」
「……そ、そうなのね」
月明かりが水溜りで反射して眩い夜。
どこかの草むらで久しぶりの再会を楽しむ二人。いや、二匹か。
一方に呼ばれた1匹。
普段は人間を征服するために人間化している元はカマキリのトウロウ様。
名前に“様“とついているがこれは女王様でもなければ当然、王様であるわけではない。かつては虫界で名を馳せていたアイドルであり、その美しさ、尊さをこめてトウロウ様と呼ばれているのだ。
呼んだ一方の一匹。
遠い昔には明るみに出て生活していたが、いつしか暗闇にしか現れなくなったラーパ。
茶色い毛玉に覆われているが実体は誰も知らない正体不明の生命体。古くからのトウロウ様の知り合いである。
ラーパに呼ばれたトウロウ様は人間化を解きいつものあるべき姿へとなり、草の陰で談話している。
「で、何か用なのですか?またいつもみたいに愚痴を聞くのはイヤですよ(『 ̄  ̄)『」
「えーとそんなに愚痴話は嫌だったのね。ごめんね」
「まーたまにくらいは聞いてあげてもいいですよ。アメリカンドック一本で(『*⁰▿⁰*)『」
「相変わらずだなぁ。
それで、今日はお願いがあって呼んだのだけれど頼まれてくれる?」
「いいでしょう‼︎
最近は暇をしていましたから(『*´꒳`*)『」
そう言いながらトウロウ様は大きな鎌をぶんぶん振り回し、「あぶないあぶない」とラーパは跳ねながら距離を取る。
「請負いましたよ〜‼︎
なにをすればいいのですか⁇あまり難しい事は頼まないでくださいね(『 ・∇・)『」
「では火星に行って来てくださいね」
とてもじゃない頼みごとに鎌の動きが硬直する。
「えっ…正気ですか(『´⊙ω⊙`)『
行き方が分からないのですが…そもそも行く事は可能なのでしょうか…」
「じゃあMARSは天体に詳しい猫村さんに聞いてみるといいよ」
「えっあっ、聞けばなんとかなるのですね⁇( 『˙-˙ )『」
「駄洒落だということに気づかないのはなかなかにMARSいですね」
「…(『´・ω・)『カエル」
ようやくラーパの駄洒落に気がついたトウロウ様は呆れて人間の姿になりその場を立ち去った。
こんな一夜は誰も知る余地もない。
今回の送っていただいたワードは猫村様より
「土星」「猫村」でした‼︎
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