ガリガリ磨くぞ十六日目
「大事なことを忘れてた。剣の錆びてる所をなんとかして磨いてやらないとな。」
あろうことか今、自分を凍らせてしまいそうだった持っている白い象牙で剣を磨きだした。
「ちょっと手が凍るけど今度は身体の全部は凍らないな。こんなすごいのならきっと錆も落ちるはず。」
ごりごり磨いてみた。が、
「牙が!削れて牙がなくなった。もう一個あるかな!?」
この調子で周辺に落ちていたドロップアイテムである牙を一通り使ってしまった。磨き続けている内に牙が全てなくなってしまう。
「だめだー!全然落ちない。」
あんなに磨いたのに錆びた剣はやっぱり錆びた剣のままだった。
だが何か剣が技を得たようで画面に表示があった。
「あ、これでも技を取得できるのか!えーと?」
そこにはこう書いてあった。
「なになに『白の一閃』かー気になるなー!」
「散策♪散策♪」
もう少し歩いていくと今度は何かが雪の上にあった。白いふわふわしたものがコロコロしている。
「え、これも魔物かな!?」
興味を持って近づく。
丸いふわふわを指で小突いてみた。
するとくるんっと宙返りして小さい目がひょっこり開いた。
「へぇー。白い毛玉だ!」
それは、雪みたいに真っ白でふんわりした毛がついておりボールのようにポンポン跳ねている。
彼はもこもこしたその者達を跳ねたところで両手でキャッチにしてしまう。
「よしよしよし」
手で撫で始めた。
「ふんわりしてるな。気持ち良いな。」
ふんわりしたその感触に酔いしれていると、毛玉のような生物がすり寄ってきてくれた。
「おおーよしよし!」
彼はなんだか嬉しいそうだ。
そんなふわふわな生物達は
よりにもよって錆びた剣にもすりすりしている。
「錆びた剣にも興味あるのか?いいよ。好きにしたらいい。」
錆びた剣をその生物に差し出すとみんながすりすりしだした。
「気に入ったか。そうかそうか!」
だが、その瞬間それらは形を失くして塵と化した。
「ど、どういうことだよ!?」
毛玉っぽいものは全て錆びた剣に吸収されてしまった。磨いた牙と同じような感じだ。
「うわぁ錆びた剣!それは可哀想だよ!?」
しかし、経験値が稼がれている。そして
LV10に上がった。
「あ、レベルがあがった。…剣の新しい技だ…」
消えてしまった毛玉達に手を合わせた。
「ごめんな白い毛玉達。お前達のおかげで新技を獲得できたよ…」
「『飛躍の剣』」
すこししんみりしてから
彼は立ち上がった。
「次は何があるかなーレッツゴー!」
とっても元気である。
白い雪の中を元気に駈ける。
「おお!発見!」
雪原に現れたのは森だった。
原生林だろう。雪が積もっている。
杉のように高い。ただモシャモシャした葉っぱは雪の中にして赤い色をしている。不思議な木だ。その上、
「果物もなってる!」
そうなのだ。淡くオレンジ色のおいしそうな果実がある。とっておこう。
何個か採取した。
「剣で切れるかな?」
錆びた剣を持って試しに切ってみる。
剣を振ってみた。
スパンッ
刃が走った。
ドッドォーンッ!
すぐに派手な音が響いた。
木が数本いっきに薙ぎ倒された。
雪の上に木が横たわった。
「すげー!切って切って。」
木を切ると経験値にもなるので一石二鳥だ。
剣を振りに振る。
「完成だ!」
彼が作りあげたのは
「馬!」
ペガサスらしき彫刻の完成だ。
何をしているのやら。オダケンは楽しそうに遊んでいる。
LVは11に上がった。
「さぁ探索を続けるぞ。」
いきなり猛吹雪が押し寄せてきた。
「うわっ!」
思わず顔を手で庇う。
その吹雪はとても激しくなって…次の瞬間