育ち盛りの十一日目
彼は何かを思い付いたようだ。
「あ、そうだ!」
彼は錆びた剣を持って氷の壁の目の前へ。みおう見真似で構える。そして、壁に剣を突き立てた。
ザクッ
剣はご想像どおりに突き刺さる。
「てぃってぃってぃ!」
突き刺さった剣をもう一度引き抜いて刺して、引き抜いて刺してを繰り返す。
徐々に氷は砕けていく。
オダケンは氷に足がかけられるぐらいの穴を空けた。
「よし、こうやって穴を掘りながら足と手をかけていって地道に上にあがっていったらきっと上までいけるはずだ。」
すると、
かってにステータス画面が開いた。
彼が確認する。
経験値が稼げていることが表示された。
「もしや今の作業で!?」
剣を氷に刺してみる。
経験値が貰えた。
「これは良い!剣を使うだけで経験値が稼げるのか!すごいな。」
錆びた剣を掲げて叫んだ。
「経験値をもらえるならなおさらやるぞー!!」
気合いを入れていざ始動。
何分かはその作業をしていた。そんな矢先に彼はある感情に狩られてしまう。
「あれ…氷を彫るのって」
「面白いなぁ!」
面白い遊びを見つけてしまった彼は自分が外に出るための作業ではなく氷をひたすらに彫る。彫刻をすることに力を入れてしまった。
結果。
「おお。我ながら上出来だ。」
立派な二本足で立つ。機動戦士なんたらがその場に姿を現した。推定3mはあるかないか額の二本の角が妙にリアルだ。
思わず自分の作品を見上げる。
「流石に細部まで鮮明に出来なかったけど意外と形になるもんだな。そうだ。俺のレベルはどうなったかな。」
経験値が稼げたので
LV5にまで上昇した。
「LV5だ。上がった上がった。」
もうひとつ、テキストが表示された。
ついでに剣の技を取得できた。
項目を読んでみる。
「これは『剣の神眼』
必ず錆びた剣の攻撃が当たる。自動発動!?…へぇ。」
オダケンはわかっていないかもしれないが
これはどんなことがあっても攻撃が必ず命中するという必殺必中能力である。
彼はあまり自覚がないようだ。
そんな折り彼は何かの音を聞く。
「ん?何か音がするような…?」